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守れ伝統の味 ドイツのパン職人

2015-07-31 07:15:00 | 報道/ニュース

7月23日 キャッチ!


ドイツパンの味や風味は様々だが
かみごたえのある固めの食感や香ばしい香りが特徴である。
ドイツでは一般的な黒パンは
ほのかな酸味があり
ビタミンやミネラルなど栄養素を多く含むことで知られている。
約1200年前にドイツに伝わったとされるパンの種類は3,000以上にのぼる。
ドイツはこのパン文化を
日本の和食などと並ぶユネスコの無形文化遺産に登録しようとしている。
しかしこのパン文化を支えてきたパン屋がいま苦境に陥っている。
国が与えるマイスターの資格を持つ職人のパン屋は
20年前にドイツ全土で約2万3,000店あったが
去年には半分近くの約1万2,000店にしまったのである。
背景にあるのがスーパーやチェーン店でおいしいパンが売られるようになったことである。
街中にはできたてのパンを安く販売する店が競うように出店している。
ドイツのパン職人たちは不安を隠せない。
(ドイツパン職人教会 ベッカー会長)
「販売量は手作りのパンが4割
 大量生産のパンが6割です。
 より個性を生かして手作りパンの魅力を伝えるべきです。」
こうしたなかマイスターならではの技術を生かして存在感を示すパン屋もある。
ベルリン市内のこのパン屋のこだわりは徹底した手作りである。
粉づくりに使っているのは自家製の石うす。
専門の職人が毎日6~8時間かけてじっくりと粉を作る。
機械で大量に作るよりも体に良い粉ができると言う。
(パン職人 イェルク・ミンダッハさん)
「石うすで粉を作ると原料が熱くなり過ぎないので
 高熱で栄養素が消えることはありません。」
原料となる小麦やライ麦も
有機栽培を行っているベルリン近郊の農家から直接仕入れる徹底ぶりである。
この店で売られているパンは1キロあたり5~6ユーロ(約670~810円)。
スーパーで売られているパンの数倍の値段だが
それでも本物を求める市民の支持を集めている。
(客)
「ここのパンは体に良くておいしいし
 お店の雰囲気もとても気に入ってるわ。」
(パン屋経営者 イボンヌ・ノイマンさん)
「お客さんの評判は上々です。
 『おいしい』と言って値段が高くても買ってくれるのが店の励みです。」
地域に密着したパンで人気を集める店もある。
ベルリンの北西に位置する町でパン屋を営むカールディートマル・プレンツさん。
店の前の広場に設けたのはまきを燃やしてパンを焼く“薪オーブン”。
地元の人たちに焼き立てのパンを楽しんでもらおうと
週末になるとこのオーブンで焼いたパンを提供している。
(パン屋社長 プレンツさん)
「オーブン内部を煙でいっぱいにします。
 まきに炭を混ぜて焼くのがコツです。」
ほんのりとした炭火の風味が特徴で
地元だけでなく往復1時間かけて買いに来る客が出るほどの人気である。
(客)
「ここのパンは特別なパンだわ。
 オーブンで焼くスタイルもいいわね。」
プレンツさんは地元の農家と一体になったパン作りも進めている。
18世紀にフランスからこの地域に伝わったとされるシャンパンライ麦。
プレンツさんは消滅寸前だったこの伝統的な麦をパンの原料にできないかと
2002年 保存組合に入った。
地道な保存活動を続けて収穫量を増やし
その結果完成したパンはこの地域独特のパンだとして
無形文化遺産の登録を目指してリストにも名を連ねている。
(パン屋社長 プレンツさん)
「小さなパン屋は個性的で良質なパンを作るのが大事。
 それを魅力的に紹介して売るのも大切だね。」
スーパーやチェーン店との厳しい競争にさらされるドイツのパン職人たち。
手作りの味や地域に密着した店づくりで伝統のパン文化を守ろうとしている。


 

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