6月27日 経済フロントライン
株価上昇の要因の1つとみられているのが
東京証券取引所が打ち出した新たな指針 コーポレートガバナンス・コード。
企業を見る際の新たな物差しと言える。
日本の企業の価値をもっとわかりやすい基準で観たいという声が
外国人投資家から強かった。
中でも注目されているのが
ROE=最終利益÷自己資本
この数値が高いほど資本に対して効率的に儲けているとを示す。
さらにROEが高いというのは余分な資金を貯めこまずに
投資や株主の配当にお金を使っていることを表している。、
ROEはいま上場企業の間で急速に注目されている。
今年1月 ある企業の株価がたった2日で1,000円近くも上昇。市場関係者を驚かせた。
紳士服などの販売で全国にに約860店舗を展開している青山商事である。
株価上昇のきっかけはコーポレートガバナンス・コードの導入を前に
創業以来初めて公表した中期経営計画だった。
その中でROEを今後3年間で7%に引き上げると発表。
すると投資家が殺到し株価が一気に上昇した。
この会社では目標達成のために女性向けのスーツなどの販売を強化。
さらに今後3年間 株主などへの配当を大幅に増やし
利益を還元することも明言した。
(青山商事 宮武真人副社長)
「成長のために投資をすることは当然ですけど
そうでなければ株主還元となっているわけで。
将来的にはROE10%を考えている。
それに向かって我々としては成長戦略をきっちりやっていく。」
ROEを重視する背景には外国人投資家の存在がある。
この会社の株式の約40㌫を占めている。
外国人投資家の多くは
日本企業を詳しく分析している投資助言会社のアドバイスを頼りにしている。
アメリカにある最大手のISSの方針。
5年間のROEの平均が5%を下回り
かつ改善しない企業については
株主総会で経営トップの人事に反対を推奨するとしている。
青山商事のROEは過去5年平均が3,7%だった。
その数字を上げることが会社にとって至上命題となったのである。
(尾山正二 宮武真人副社長)
「ISS(助言会社)の提言というか推奨するとかしないとか
非常に影響があるものですから
ROEをもっと上げなければいけない。
目標にしなければいけないというインパクトになっている。」
企業に求められているのはROEの向上だけではない。
コーポレートガバナンス・コードでは
会社と利害関係のない社外取締役を2人以上選任すべきとしている。
しかしこの会社はまだ1人しかいない。
株主総会を前に
社外取締役についての質問が出た時の回答について議論した。
形だけの社外取締役になっては意味がないので
時間をかけて人選していると強調することにした。
株主総会当日。
多くの投資家の賛同を得て役員人事などの議案が通った。
(株主)
「儲かったら株主に上乗せして配当します
と宣言していたのはとても好感が得られました。」
(青山商事 宮武真人副社長)
「株主総会に向けていろいろ準備してきたが
おかげさまで全議案とも承認可決ということで正直ほっとしているのが実感です。
株主の皆様に還元についてはお約束しているわけですから
皆様のご期待に応えられるようにやっていきたい。」