10月27日 キャッチ!
海外の食品の市場として今注目されている国の1つがUAE(アラブ首長国連邦)である。
UAEは中東におけるさまざまな流通拠点になっているうえ
自国で消費する食品も85%を輸入に頼っている。
輸入総額は1兆円を超えるが
日本からは50億円程度で日本のシェアはわずか0,5%である。
中東に食品を輸出するとき障壁となるのが“ハラル”と呼ばれるイスラム教の概念。
UAEのトップクラスのホテルにある高級日本食レストラン。
このレストランでキンキや毛ガニなど日本から取り寄せた食材をふんだんに使い
寿司や塩焼きなどの和食を提供している。
北海道の魚介類を使った特別メニューを割安で紹介するキャンペーンの一環である。
(客)
「地元の人は魚が好きなのでとてもいいと思います。」
「家族や友達にこのレストランを薦めるわ。」
繊細な味わいを特徴とする和食。
しかしUAEでは和食に合う食材を入手することは困難である。
そこで北海道の関係者たちは
最新の冷凍技術を導入して食材の鮮度を落とすことなく現地に調達する取り組みを始めているが
問題となるのは価格である。
現地の高級魚ハムールは1キロ当たり1500円だが
日本産ハマチはその数倍の価格で
マグロはさらにその数倍になるという。
(料理長)
「おいしい料理はだれが食べてもおいしい。
価格の問題さえクリアすればもう少し伸びると思います。」
10月19日にドバイで開かれたフードフェア。
北海道の外郭団体が主催するこのイベントは今年で3年目。
北海道の10社がラーメンやスイーツなどの農水産加工品30品をそろえ
UAEの企業と商談を行った。
スイーツを扱う北海道の会社。
シンガポールなどの東南アジアにはすでに商品を輸出しているが
UAEで初めてのイスラム圏進出の機会をうかがっている。
主力商品としたのが北海道牛乳を使ったソフトクリーム。
(会社経営者)
「アイスクリームはとてもフレッシュね。
ビジネスの可能性を感じたので価格について話を詰めなきゃね。」
この会社は自家製ソフトクリームを中間層をターゲットに現地高級店より割安で販売しようと考えている。
そのためには輸送方法や経路の確立
また店舗の形態など現地の取扱業者と詳細に話を進めている。
一方 現地の企業からはドバイの人々にうけるためのヒントが出た。
一般的なミルク味だけでなく
日本らしい抹茶味や中東でなじみのあるナツメヤシ味のアイスができないかという提案である。
(北海道の洋菓子メーカー 営業本部長)
「まだまだやることはあるなと思う。
手ごたえは8分目ぐらいまで感じた。」
北海道知事も水からトップセールスを展開した。
知事がアピールしたのは牛肉。
“和牛”の名前はすでにドバイで浸透している。
(北海道 高橋はるみ知事)
「和牛という言葉にビビッと反応される。
おいしい牛肉と言えば和牛なんですかね。
国際的に売り込んでいく。
攻めの農業を展開する上でもハラルに売り込むことをしっかり考えていきたい。」
そのおいしさに定評がある和牛。
きっかけとなったのがオーストラリア産の和牛である。
UAEではすでにオーストラリア産の和牛が広く提供されている。
レストランの関係者によると
10年前はオーストラリア産の和牛は年間数トンしか輸入されていなかったが
現在は200トン近く輸入されているとみられる。
ハラル認証を受けオーストラリア産和牛は日本産和牛より安く輸入されているが
日本産和牛の味に日本人料理長は胸を張る。
(料理長)
「オーストラリア産和牛も結構おいしいですよ。
ただ肉の甘みというところでは日本の和牛にはかなわない。」
高級な和牛の提供をコスト面で工夫できるところはないか。
北海道ではハラル認証を受ける食肉処理施設の設置を急ピッチで進めている。
現在日本国内で中東向けにハラル処理ができる施設は大阪と埼玉の2か所だけ。
北海道に独自の処理施設を作ることで輸送コストと時間削減を目指す。
UAE側からは年内の日程に向けて前向きな回答を得た。
(UAE政府幹部)
「日本の和牛はとても有名でおいしいと聞いている。
ハラルの日本ステーキが来るのを心待ちにしている。」
(北海道フード特区機構 佐川泰隆事務局長)
「肉のハラル認証が一番重要でハードルも高い。
その高いところになるべく早く到達したいと思う。」