11月12日 キャッチ!
9月 アメリカ東部ボルティモアで開かれた自然食品の見本市。
多くの食品が展示されるなか注目を集めていたのは
一見ただのプロテインバー。
実は材料に1本あたり約40匹のコオロギが使われている。
(客)
「すごくおいしいよ!
コオロギが入っているとは気が付かなかったよ。
本当に入っているの?」
この健康食品の製造・販売を行っているグレッグ・セウィッツさん。
セウィッツさんは去年友人と会社を起ち上げた。
今はニューヨーク中心部にある起業化が集まる共用オフィスに事務所を構えている。
昆虫食ビジネスを始めたきっかけは
FAO=国連食糧農業機関 報告書(2013年)である。
報告書では2050年までに世界の人口は90億人に達し
深刻な食糧不足に陥る恐れがあるとして
食料としての昆虫の重要性を強調している。
(健康食品会社 CEO グレッグ・セウィッツ氏)
「報告書を読んで
大学の友人と昆虫食ビジネスを始めようと決めたんだ。」
とはいうものの昆虫を食べる習慣は基本的に無いアメリカ。
ほとんどの人に取って虫を食べるというのは抵抗が大きいもの。
そこで2人が注目したのがコオロギを粉にしたもの。
コオロギの粉にカカオやココナッツを加えて
4種類の風味のプロティンバーを作った。
見た目からは昆虫が入っているとはわからず
味も違和感は無い。
タンパク質や鉄分が豊富で栄養価が高く健康にも良いと
コオロギの特徴を前面に出している。
インターネットを通じて1本約400円で販売を始めたところ
もの珍しさも評判になっている。
(健康食品会社CEO グレッグ・セウィッツ氏)
「抵抗を無くすために見た目で昆虫入りとはわからなくしました。
食べてもらえれば昆虫が入っていてもおいしいと分かっていただけます。」
そうすればさらに試してもらえると期待しています。」
昆虫食が注目されるなか
いま原料の大量生産に乗り出す人たちも出てきている。
ケビン・バヒュバーさんは
勤めていたカリフォルニアの金融関係の会社を辞めて
コオロギの生産を始めるために去年中西部オハイオ州に移り住んだ。
いまは約500㎡の飼育施設で食用コオロギを育てている。
約1か月半で出荷できる大きさまで育つコオロギ。
同じ量の家畜の牛や豚などを育てるのに比べて
手間もかからず
エサ代などのコストも低く済む。
食用コオロギの生産を始めてから1年
売り上げは順調で
伸び続ける需要に生産が追い付かない状態だと言う。
(食用コオロギ生産者 ケビン・バヒュバー氏)
「予想外の状況です。
最初の3年ぐらいは厳しい状況が続くと思っていました。
ここまで評判になり上手くいくとは思いませんでした。」
スーパーマーケットで昆虫を取り扱うところも出てきた。
昆虫を材料に使った健康食品や
家庭用の調理用のコオロギの粉末まで
この店では取り扱いを始めたばかりだが環境にやさしい健康食品として
今後売り上げが伸びていくことに期待を示している。
(食品店担当者)
「売り上げは徐々にですが伸びています。
新しい商品なので環境にやさしいことや栄養価などまだ知られていません。
皆がまだどんなものか学んでいる段階です。」
アメリカで広がる昆虫食ビジネス。
新たな食文化として定着していくのか
注目されている。