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“資生堂ショック” 改革のねらいとは

2015-11-23 07:30:00 | 報道/ニュース

11月9日 おはよう日本


全国のデパートやスーパーなどに入っている資生堂の化粧品売り場。
一番のかき入れ時は
仕事帰りの客などでにぎわう午後5時以降と
土曜日と日曜日。
その売り場をまかされているのが全国に1万人いる「美容部員」と呼ばれる女性社員である。
1人あたりの営業ノルマは
1日18人以上接客すること。
資生堂ではより多くの客と接点を持つことが売り上げにつながると考えている。
美容部員の勤務体系はおおむね2種類。
10時から午後6時45分まで働く早番と
11時15分から午後8時まで働く遅番がある。
短時間勤務制度は早番の終わりの時間を最大2時間短縮できるものである。
その時間を子育てに充ててもらう。
この制度を利用している木内枝里佳さんは入社14年目に長男を出産し
去年11月に職場復帰した。
(美容部員 木内枝里佳さん)
「資生堂は女性に対して優しい会社というイメージがあった。」
木内さんのように短時間勤務を利用している美容部員は現在約1,100人いる。
これまで会社は女性社員が働きやすい環境づくりに力を注いできた。
短時間勤務制度は1991年に導入したが
店頭に立つ美容部員はなかなか利用しなかった。
2007年に当時の社長が美容部員にも制度の利用をすすめたところ
利用者は一気に増えた。
ところが同じ時期
会社全体で国内の売り上げが約1,000億円減少する。
会社では競争の激化やインターネット販売への対応が遅れたなど様々な要因があるなかで
美容部員がかき入れ時に店頭にいないことも原因の1つと考えるようになった。
(資生堂ジャパン 永劫統括部 新岡浩三永劫部長)
「過去の習慣的に短時間勤務取得者は早番と暗黙のルールがあった。
 一番忙しい時間に1人足りないということが発生していた。
 そういう時間にいないことが販売の機会喪失につながっていたのではないか。
 そこについては悩んでいた。」
販売の現場では子育てをしていない美容部員に遅番と土日勤務が集中。
こうした社員からは
「不公平だ」「プライベートの時間がない」などの声が続出するようになった。
経営陣は制度運用の見直しを迫られたのである。
そして一昨年
資生堂の人事部は子育て中の美容部員にあるDVDを配布した。
冒頭に役員が制度に甘えるなと警告した。
(資生堂が製作したビデオ)
仕事と育児の両立
新たなステージへの進化
(執行役員 美容統括部長 関根近子)
「月日を重ねるごとに育児時間を取るのが当たり前になってきた。
 甘えが出てきたりとか
 取るという権利だけ主張したり。」
さらに短時間勤務の利用者でも
公平に土日勤務や遅番をこなしてほしいという厳しい内容も伝えられた。
ひと月の土日8日のうち2日は勤務することを基本とし
遅番10日を基本とし
会社が決定する
(資生堂 人事部 ビジネスパートナー室 本多由紀室長)
「育児期の社員は常に支えられる側で本人たちのキャリアアップも図れない。
 なんとか会社を支える側に回ってもらいたいという強い思いがあった。
 働くことに対する意識
 ここに対してメスを入れていこうと。」
美容部員の木内さんは職場復帰の前にこのDVDを受け取った。
短時間勤務で子育てというプランが揺らぐことになったのである。
(美容部員 木内枝里佳さん)
「正直『え!?』と思った。
 本当にこれで大丈夫かという不安は大きかった。」
木内さんは復帰後
短時間勤務を利用しながら月3回の遅番と4回の土日勤務をこなすことになった。
また営業ノルマは1日18人の接客を行うこと。
これはフルタイムの場合と同じである。
会社側は改革を実現するため
夫や家族の協力は得られるかなどを聞きとってシフトを決めることにした。
木内さんの場合
夫や親に協力してもらい遅番や土日勤務をこなしてもらうことにした。
協力者がいない場合はベビーシッターの補助を出すほか
子育てサービスを活用するようアドバイスしている。
「月に3回遅番をやってもらったり
 土日も半分勤務してもらってるけどお子さん大丈夫でしたか。」
(木内さん)
「うちの場合は主人が比較的協力的で子供に関しては今のところ大丈夫です。」
午後8時
この日遅番勤務だった木内さんは閉店まで働いた。
帰宅すると迎えてくれたのは夫の昌志さんと息子の想士くん。
この日は夫が先に帰って保育園のお迎えに行ってくれていた。
木内さんはノルマを果たしながら子育てをすることでキャリアアップも考えるようになった。
(美容部員 木内枝里佳さん)
「時短者だから無理
 やる気がない
 そうは思われたくない。
 今後は一つ上のステップで店を統括できるチーフマネージャーの立場を目指せればと思う。」
資生堂は今回の改革によって
育児中の女性社員も会社の戦力にしていきたいと考えている。
(資生堂 人事部 ビジネスパートナー室 本多由紀室長)
「短時間勤務を取っている人は
 悪い評価でも文句を言えないから我慢してもらおうではなく
 ちゃんとそこは客観的に評価をしていく。
 厳しい部分はあったかもしれないが
 会社も社員もどちらも成長していく意義のある大事な取り組み。」



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