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中国 さらば石庫門 わが心の長屋住宅

2015-11-12 07:30:00 | 報道/ニュース

10月29日 キャッチ!


“石庫門(せっこもん)”と呼ばれる住宅は
19世紀半ばから20世紀半ばまで建てられた西洋風と中国風が折衷した建物様式が特徴。
しかし1990年代以降進められてきた上海市の再開発に伴って急速に姿を消しつつある。

上海の高層建築のすぐわきに立ち並ぶ石庫門。
その名が示すとうり西洋風の彫刻が施された門が特徴である。
外壁には赤レンガが使われている。
人口密度が高い上海で限られた土地にできるだけ多くの人が暮らせるよう
隣同士が肩を並べる“長屋方式”になっている。
19世紀半ばに上海にあった外国人居住地は海外との貿易で栄えた。
石庫門は中国各地から集まってきた人々に住宅として上海市内に数多く建てられた。
いまでは当時の庶民の暮らしを知ることのできる歴史的建物として
海外の観光客に人気のスポットになっている。
1歳のときからずっと石庫門で暮らす朱蓮娟さん(79)。
外壁はレンガで覆われているが内部は木造。
急こう配の狭い階段を昇っていくといくつもの部屋がありそれぞれ別の家族が暮らしている。
朱さんの部屋はソファーとテーブルの間にトイレのあるユニークなレイアウト。
(朱さん)
「最初は嫌だったけど今は便利だわ。」
朱さんの暮らしにとって何より大切なのがご近所との関わり合いである。
石庫門の中の住民はみな顔見知りで
互いに助け合って近所の子供の世話を見るなど昔ながらの庶民の暮らしを続けている。
(朱さん)
「いいところよ。
 みな和気あいあいとして。
 お互い助け合っているのよ。」
しかしこうした昔ながらの生活もいつまで続くかわからない。
一時は上海の住民の約6割が暮らしていたという石庫門住宅。
しかし再開発が進められるなか急速に姿を消しつつあり
現存する建物はピーク時の約6分の1にまで減ったと言われている。
中国経済をけん引してきた上海。
2010年の上海万博開催など都市の発展に伴って多くの石庫門が取り壊され
住民たちは立ち退きを余儀なくされてきた。
石庫門で半世紀以上を暮らしてきた呉文娟さん(75)。
いま立ち退きを迫られており
知人の多くはこの場所からいなくなった。
(呉文娟さん)
「ご近所とはみな仲良くてね
 料理を作ってもお互い分け合って楽しかったよ。」
年配の人に取ってご近所は親戚同士のようなもの。
通いなれた商店での会話も生活の潤いになっている。
都市の発展とともに消えゆく庶民の生活。
上海の人々はいま万感の思いで石庫門を眺めている。



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