11月10日 キャッチ!
太平洋に面したアメリカ西海岸のロサンゼルス。
海にそそぐ川で環境保護団体が定期的にマイクロプラウチックの調査を行っている。
代表のマーカス・エリクソンさんは
15年間
世界各地の海や河川で活動を続けてきた。
(環境保護団体代表 マーカス・エリクソンさん)
「これもこれもプラスチックです。
この川からは何百万ものプラスチック破片が海に流出します。
世界では何十億という数です。」
処理されずに投棄され海に流れ出るプラスチックごみは
世界で1,300万トンにのぼるとされている。
それが太陽光線などによって劣化し
波や風で細かく砕けたものがマイクロプラスチックである。
大きさは5ミリ以下。
目に見えないほど細かくなったものもある。
大きな問題は生態系への影響である。
マイクロプラスチックは海中にある有害物質を付着させ
最大100万倍に濃縮させることが実験で明らかになっている。
小魚などが食べ
食物連鎖の中で有害物質がさらに濃縮される懸念が高まっている。
最新の研究では海洋生物の生殖機能や肝臓機能に障害が出る例が報告されている。
世界の海で汚染の実態を調べてきたエリクソンさん。
海流などの影響で5つの場所で大量のマイクロプラスチックが溜まっていることを突き止めた。
(環境保護団体代表 マーカス・エリクソンさん)
「プラスチックの有害物質が生態系に影響を与えています。
有害物質は海洋生物の寿命に影響するので
マイクロプラスチックが死因となるのです。」
さらにアメリカなど先進国でマイクロプラスチックをめぐる新たな問題が明らかになっている。
洗顔料などに使われるマイクロビーズと呼ばれる大きさ0,1ミリ以下のプラスチック。
(観光保護団体代表 マーカス・エリクソンさん)
「マイクロプラスチックよりも細かく
洗顔のあと排水溝に流れます。」
普及が進むなかで都市部の周辺で深刻な問題を引き起こしている。
(環境保護団体代表 マーカス・エリクソンさん)
「五大湖のプラスチック粒子の数はどの海よりも多かったです。
マイクロビーズは処理施設をすり抜けます。
それを魚が食べ
その魚を人が食べるのです。」
マイクロプラスチックの汚染に対する科学者の危機感はいま行政を動かし始めている。
去年9月 カリフォルニア州は
ゴミとして出されるプラスチックの量を減らすため
スーパーなどでのレジ袋の提供を禁止する法律を成立させた。
さらに10月
マイクロビーズの製造・販売を5年後に全面的に禁止することを決めた。
(カリフォルニア州議員 リチャード・ブルーム氏)
「これは市民が知るべき重要な問題です。
この州法は全米に影響を及ぼすでしょう。
世界にも。」
プラスチックに対する消費者の意識も変わり始めている。
会計士のベス・テリーさんはマイクロプラスチックの弊害を知り
できるだけプラスチックを使わない生活を心がけるようになった。
(ベス・テリーさん)
「冷蔵庫の中にプラスチック容器はないです。
ほとんどがステンレスかガラス製の容器です。」
ラップフィルムで食べ物を包むことはない。
さらに歯ブラシなども木製のものを使い
石鹸も量り売りのものを使っている。
買い物は商品が包装されていない店を選ぶ。
買う種類ごとに布製のバッグを用意。
しかし完全にプラスチックを排除することは難しいのが現状である。
(ベス・テリーさん)
「ここにプラスチックが使われています。
完全にプラスチックを排除することはできません。」
ベス・テリーさんのライフスタイルにアメリカの若者にも反響が広がっている。
地元の大学生が発起人となりベス・テリーさんの講演会が開かれた。
(ベス・テリーさん)
「プラスチックで小分けしている商品は避けてください。」
まず自分ができることから行動し
プラスチックを減らす大きな動きを作ろうと呼び掛けた。
(学生)
「生活の中で役立つ情報がわかりやすくて有益でした。」
「多くのプラスチックごみを出していることに気づかされました。」
(ベス・テリーさん)
「プラスチック問題が世界に知られ
より多くの人に賛同してほしいです。」
新たな環境問題として注目されるマイクロプラスチック。
私たちの大量消費社会のあり方に疑問を投げかけている。