5月22日 国際報道2017
サウジアラビアの首都リヤドにあるファハド国王文化センター。
4月にここに日本からオーケストラの一行がやって来た。
イスラム教の厳格な解釈に基づく統治が行われているサウジアラビア。
西洋の音楽なタブー視され
公共の場で演奏されることはほとんどなかった。
そんなサウジアラビアで数十年で初めての公演が許可されたのである。
さまざまな産業を起こして石油に依存する経済から脱却したいサウジアラビア政府。
いま娯楽分野の活性化にも力を入れ始めているのである。
今年3月
サルマン国王が来日した際
日本が支援を約束しコンサートの実現にこぎつけた。
(サウジアラビア トライフィ前文化情報相)
「我が国と日本の芸術
そしてオーケストラにとって強力の始まりだ。」
今回の公演を心待ちにしていた人がいる。
首都リヤドにある自宅で西洋音楽の個人教室を開いてるハリル・ムウェイルさん(41)。
職業はエンジニアだが
音楽好きが高じて10年前には毎週のように隣国バーレーンに通って音楽を学んでいた。
(ハリルさん)
「音楽が大好きで国外で学びましたが
自分が教えるチャンスと思い私が学んだ音楽を教えています。」
音楽の学校がないサウジアラビア。
ふだんインターネットなどで西洋の音楽に親しんでいる人たちが通って来る。
(音楽学校の生徒)
「サウジアラビアの人たちはみな音楽好きです。」
今回の公演は音楽の素晴らしさをサウジアラビアの人たちに知ってもらうチャンスだと
ハリルさんは大きな期待を寄せてきた。
(ハリルさん)
「サウジアラビア人は常に“音楽は良くない”“間違ったことに導かれる”と聞かされています。
皆に
クラシックなど世界の音楽は良質で人間に良い影響を与えると知ってほしいのです。」
講演の3日前
リハーサルが始まった。
講演で演奏されるサウジアラビアの国歌のリハーサルを行っていると
音楽教室のハリルさんがやって来た。
(ハリルさん)
「サウジアラビアの国歌を演奏してくださるのは素晴らしいのですが
ひとつ言わせてください。
テンポが速すぎます。
もっとゆっくりでお願いします。」
そしていよいよ公演の日。
これまで鑑賞することができなかったフルオーケストラの生演奏を聞いてみたいと
約3,000人がつめかけた。
ハリルさんの姿もあった。
演奏されたサウジアラビア国歌。
拍手喝采。
大変な盛り上がりを見せた。
次々に披露されるクラッシックの名曲の生演奏に魅了されていく。
(観客)
「本当にすばらしいです。
初めてのことで最高です。」
砂漠の国で奏でられたクラシック音楽。
日本とサウジアラビアの新たな交流の歴史が始まった。
(ハリルさん)
「完璧な演奏でしたね。
指揮者の吉田さんとサウジアラビアにもオーケストラを開設する協力ができると話しました。
今後も交流を続けて
サウジアラビアのオーケストラを実現したいですね。」