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観光立国目指すウズベキスタン

2017-06-15 06:30:00 | 報道/ニュース

5月23日 キャッチ!


ウズベキスタンの古都サマルカンドの中心部にあるレギスタン広場で行われた光と映像のショー。
日本からのツアー客を対象にウズベキスタン政府が開いた。
(観光客)
「歴史とかシルクロードの流れ
 未来に向かうなどメッセージも良くて感動しました。」
サマルカンドは紀元前からシルクロードの交易で栄え
イスラム教の3つの宗教学校に囲まれたレギスタン広場をはじめ
モスクなどが世界遺産になっている。
歴史的な建造物にふんだんに使われた青いタイルから“青の都”とも呼ばれている。
ウズベキスタンでは
旧ソビエトからの独立後25年間にわたって国を率いてきたカリモフ大統領の死去を受けて
去年12月
ミルジョエフ氏が大統領に就任。
為替政策をはじめ
これまで厳しく管理してきた経済を自由化を進めて
外国との交流を活発化させ
経済発展につなげる姿勢を押し出した。
その切り札と位置付けているのが観光業である。
アジアやヨーロッパから観光客の誘致を図り
特に年間7,000人前後と少ない日本からの観光客を大幅に増やしたいとしている。
国営航空は今年
東京や大阪・福岡などから合わせて10便の直行チャーター便を運航することを決めた。
このチャーター便だけで合わせて2,500人の日本人観光客を見込んでいる。
4月に中部空港からの第1便が到着したときは民族舞踊団が歓迎。
入国や税関での手続きを簡素化する措置もとられた。
(国家観光発展委員会 ハキモフ局長)
「日本は戦略的なパートナーです。
 日本の方がこの国の歴史に興味が湧く観光を心がけます。」
ウズベキスタン政府は優秀な外国語の観光ガイドの確保にも乗り出している。
これまでに日本語や英語が堪能な約600人に公認ガイドの証明書を発給した。
さらに若い世代の人材育成も図っている。
地元の大学
日本のJICA国際協力機構と連携して
大学内に日本語コースを設置している。
(受講者)
「サマルカンドやウズベキスタンについて世界の人たちにもっと知ってもらいたいです。」
日本語のほかに日本人観光客向けのきめ細かな対応の仕方も指導し
公認ガイドをはじめ観光業の発展を担う人材を大幅に増やすとしている。
(国家観光発展委員会 ハキモフ局長)
「政府は意欲的な計画を立てており
 今後5年間で観光客を数倍に増やす予定です。」

ウズベキスタン政府が観光立国を目指す理由は立ち遅れた経済の底上げである。
カリモフ前政権は国境を接するアフガニスタンを拠点に国内に浸透するイスラム過激派に対抗するとして
経済分野をはじめとして国内の統制を強めた。
しかし外国からの投資が伸びず経済も停滞という結果を招いた。
若者の失業問題が深刻となり
約200万人が歴史的につながりが深いロシアに出稼ぎ労働を行っている。
経済の自由化を掲げるミルジョエフ大統領は
観光業の発展を起爆剤として国内経済の立て直しを図り
外資を呼び込んで経済発展を目指す方針を示している。
前政権で観光業が伸びなかったのは外国人に対する厳しい入国制限があったためである。
カリモフ前政権の時代にも空港やホテルの整備など観光業の発展に力を入れていたが
外国人はビザの取得に手間がかかって自由に訪れることができなかった。
ミルジョエフ大統領は大統領当選直後に
日本やヨーロッパ諸国など30か国近くの国民を対象に観光ビザの免除や緩和を図る大胆な措置を打ち出した。
この措置は当初は今年4月から導入されると発表されたが
突然2021年まで延期されてしまった。
その背景にはイスラム過激派の流入を警戒する治安機関の意向があったと言われている。
強大な権限を持つ大統領と言えども
治安機関の意向を抑えて経済の自由化を進めるのはなかなか難しい状況である。
今後の課題は
隣のアフガニスタンを拠点とするイスラム過激派にどう向き合うかである。
ウズベキスタンでは90年代の後半から2000年代の前半にかけてイスラム過激派によるテロが相次いだ。
アフガニスタンでのアメリカを中心とするイスラム過激派に対する軍事作戦を受けて
ここ数年は大規模なテロは起きていないがイスラム過激派の脅威は残ったままである。
ロシアの治安当局は
ウズベキスタンなど中央アジアから約5,000人がISに加わったと分析している。
ISに加わったメンバーが帰国してテロを起こす可能性も指摘している。
ミルジョエフ政権は
観光業を手始めに経済の自由化を図ると同時に
一定の統制も維持してイスラム過激派の流入と浸透を阻止するという難しいかじ取りを迫られる。





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