4月19日 編集手帳
「マラドーナ マラドーナ 来たあ~ マラドーナァ!」。
1986年、
サッカーワールドカップ(W杯)メキシコ大会のNHK、
山本浩アナウンサーの実況である。
アルゼンチンのマラドーナ選手が“5人抜き”でゴールを奪った場面はファンにはおなじみだろう。
きのうの女子サッカー中継で解説の松木安太郎さんが「マナドーラだねえ」と感嘆の声をあげた。
岩渕真奈選手(25)が先制点を決めたそのときだ。
女子日本代表「なでしこ」の躍進が再び始まったらしい。
アジア杯準決勝で中国を圧倒し、
決勝進出をはたした。
素早いドリブルに、
股抜き…エース岩渕選手の技に伝説のストライカーを重ねる人は松木さんだけではあるまい。
大震災の年にW杯を制し、
暗い世相に光を灯(とも)したチームは前回五輪では予選で負け、
出場さえできなかった。
今度は再出発を我らが応援する番だろう。
岩渕選手といえば、
いつか佐々木則夫前監督が得点を待ちわびる心境を「まなかなあ」と語っていたのを思い出す。
おやじギャグに囲まれて大変だと思うが、
今度のは世界共通語になる可能性がある。
なでしこの栄光とともに。