5月8日 キャッチ!
3月 ロシア極東のウラジオストクで行われた犬の品評会。
プードルやヨークシャーテリアなど様々な種類の犬が出場した中で
注目を集めていたのは秋田犬である。
(見学者)
「秋田犬が気に入ったわ。」
ロシアでは10年ほど前までほとんど秋田犬は飼われていなかった。
しかし近年 秋田犬をペットとして飼う人が急速に増えていて
ロシア全体では約3,000匹の秋田犬が飼われているということである。
ウラジオストクなど都市部では愛好家たちのグループもできている。
飼い主同士でしつけの仕方など訓練したり情報交換をしたりしている。
(飼い主)
「秋田犬は最高の犬だと思います。
とても賢くて
他の犬と全く違うし
ぬいぐるみのようにモコモコです。」
もともと東北地方や北海道で猟犬として活躍してきた祖先を持つ秋田犬。
寒さにも強く
ロシアの厳しい気候にも適応できるということである。
なぜロシアで人気が拡大しているのか。
(飼い主)
「きっかけは“ハチ公”の映画です。」
亡くなった飼い主を待ち続けた秋田犬がモデルの「忠犬ハチ公」。
ハチ公をテーマに2009年に公開された映画がロシアでヒットし
飼い主に忠実な犬として知られるようになった。
さらに知名度を広げたのはプーチン大統領。
愛犬家として知られるプーチン大統領は
2012年 秋田県からロシアとの友好を深めようと秋田犬をプレゼントされた。
プーチン大統領は「ゆめ」と名付けて可愛がり
その後の日ロ首脳会談の際にロシアメディアでも紹介され
人気が拡大した。
ペットとして人気が広がった理由には
ロシアの住宅事情の変化も背景にある。
旧ソビエト時代から
都市部の市民の暮らしのほとんどが集合住宅で
秋田犬のような大型犬を飼うのは一般的ではなかった。
ロシアでは経済の発展とともに郊外の庭付きの家に住む市民が急増。
富裕層を中心に体の大きな秋田犬も人気を集めるようになってきた。
3匹の秋田犬を飼っているタチアナ・アポリーヒナさんもその1人である。
毛並みの美しさと賢い性格に魅せられ
ウラジオストク郊外の自宅で飼い始めたが
ロシアで秋田犬を飼うのに思わぬ苦労をしたのが餌だという。
(飼い主 タチアナ・アポリーヒナさん)
「15%くらいはニンジンなど野菜を入れています。」
アポリーヒナさんは餌を自分で作っている。
低脂肪の魚や肉にゆでたニンジンやブロッコリーなどの野菜を
炊いた米と混ぜて与えている。
ロシアのペットショップで流通しているドッグフードは主に洋犬用のもの。
脂肪分が多いものが多く
秋田犬には適していなかったのである。
(飼い主 タチアナ・アポリーヒナさん)
「炭水化物やたんぱく質 野菜などバランスのとれた餌が重要でした。」
秋田犬の人気は日本への関心にも貢献している。
7年前に秋田犬を飼い始めたアンナ・バルコフスカヤさん。
秋田犬を気に入り
1匹さらに1匹と飼ううちに
今では秋田犬を交配し育てるブリーダーになった。
(ブリーダー アンナ・バルコフスカヤさん)
「見た目もそうですが
やさしいところや自立した性格に惹かれました。
もっと多くの人に秋田犬を知ってもらいたいと思ったのです。」
秋田犬についてさらに知りたいと本などで研究を重ねたバルコフスカヤさん。
育てた秋田犬は品評会などで賞を取るほどになった。
さらに興味は秋田犬を育てた日本の文化にも広がり
日本語の勉強も始めた。
秋田県への訪問も重ねているバルコフスカヤさん。
これからも秋田犬の飼育を通じて交流の輪を広げたいと考えている。
(ブリーダー アンナ・バルコフスカヤさん)
「秋田犬のおかげで
さまざまなすばらしい方とも交流できるようになりました。
日本人とも知り合えてとても素晴らしいことです。」