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ワークライフバランス NZ企業の挑戦

2019-01-12 07:00:00 | 報道/ニュース

12月10日 キャッチ!ワールドEYES


現職のアーダーン首相が産休を取得するなど
ニュージーランドは仕事と私生活の両立が進んでいる国のひとつである。
ニュージーランド最大の都市オークランド。
従業員240人の資産や遺言などの信託を請け負う会社。
一見ふつうの職場に見えるがよく見るとところどころに空席が。
実はこの会社は11月から
生産性を落とさないことを条件に
従業員が希望すれば週休3日にできる制度を導入した。
社長のアンドリュー・バーンズさんは人間の集中力や生産性に関する記事から発想を得た。
(社長 アンドリュー・バーンズさん)
「雑談やインターネットの閲覧は時間の無駄です。
 小さな無駄を洗い出して
 時間ではなく賢く働く意識を持ち
 休みを取って元気になれば従業員の生産性も上がります。」
ただニュージーランドでは週40時間の勤務が基本となっていて
これを下回れば給料が下がるため
週休3日で働く場合 1日の労働時間が長くなるのが一般的である。
このことに疑問を持たバーンズさん。
今年2月
週休3日で勤務時間も週32時間に減らすという制度を試験的に導入すると発表。
さらに生産性を落とさないことを条件に
給料を減らさないことを約束した。
(社長 アンドリュー・バーンズさん)
「席を温めても給料は支払いません。
 週4日の勤務で週5日働く人と同じ労働成果をあげられるなら
 同じ給料が支払われるべきです。
 つまり考えかたの問題です。」
最初は戸惑いを見せた従業員たちも
私生活が充実したことで働き方にも変化があらわれたという。
(従業員)
「すばらしい制度です。
 効率よく働き
 生産性をあげたくなりました。」
従業員のひとり レイガン・スト―アーさん(32)。
制度が始まり働き方を見直してきた。
(従業員 レイガン・スト―アーさん)
「これまでの仕事を振り返り改善方法を探るきっかけになりました。」
毎朝その日の業務を書き出して
時間を決めて取り組み
机の上には携帯電話を置かないようにした。
これにより効率も集中力も上がったという。
同僚から会議に誘われたスト―アーさんが向かったのは時短を目的に作られた共有スペースである。
互いの距離が近い空間にしたことで意見を率直に交換しやすくなり
実際に会議の時間も短くなったという。
(従業員 レイガン・スト―アーさん)
「働き方や同僚とのやりとりが大きな違いを生みます。」
新しい働き方に慣れてきたスト―アーさん。
今のペースを維持するため週半ばの水曜日に休みを取っている。
楽しみにしているのはジョギングや海辺での散歩である。
これまでは疲れて動けない休日もあったが
休日が増えたことで身心ともに余裕ができたという。
(従業員 レイガン・スト―アーさん)
「元気を取り戻し
 多くのことに挑戦できるようになりました。
 週半ばの休みで切り替えることができ
 さらに仕事に集中できます。」
(社長 アンドリュー・バーンズさん)
「授業員のやる気や生産性も高まり
 それが私生活にも反映されています。
 こうした状況をうれしく思います。」
人材管理の専門家は
効果的な結果が得られている背景には
労働を時間ではなく成果で評価し
報酬として休みを提供していることが大きいと指摘する。
(オークランド工科大学 ジャラッド・ハー教授)
「早く仕事を終えたら休みがもらえる。
 満足な報酬を得ることでやる気も生まれます。
 従業員が幸せになり
 企業の生産性も上がる。
 互いの利益になります。」
休みを報酬として生産性を高めようという試み。
ワークライフバランスを推し進める新たなカギとなるのか注目される。

専門家の調査では試験導入の際に課題がいくつか確認された。
仕事を週4日で終わらせるのが難しく
結局 週に3日も休めなかった人が何人かいたということである。
また働いている人が少ない日に病気などで休む人が出ると
負担が一気に増えたということである。
事前の引継ぎをしっかりと行なうなど
業務に支障が出ないよう
職場での情報共有と連携をどのように高められるかが問われる。
休みが増えたことで私生活に対する満足度は高まり
ワークライフバランスの実現具合は平均して78%と
試験導入前より24ポイント上がっていて
全体としてはおおむね従業員からは好評と言えるとしている。
現在 利用者は約40%ほどだが
申請が増えていて
クリスマスまでには80%ほどになりそうだということである。
生産性を落とさないという条件を全員が満たせるかは難しいため
11月の本格導入にあたり制度を選択制にしたということである。
人によって仕事のスピードは異なり
働き方に満足している人もいる。
制度を押しつけるのではなく
従業員が自分に合った働き方を選べることも上手く運用できている理由になっている。
さらに制度を利用しやすいように柔軟性も持たせている。
たとえば
丸1日休む代わりに半休を2回取得したり
時短に変更も可能である。
特に時短への振り替えは子育て中の従業員を中心に好評ということである。
子育てと仕事の両立を目指す人が増えるなか
女性の労働力を確保する上でもこの制度は大きな可能性を秘めている。
この会社はこれまでに約40か国のメディアで取り上げられ
各国の企業からも問い合わせが寄せられているということである。
しかし一定のスピードで生産を行なう工場やコールセンターの従業員など
勤務時間と業務が密接に関わっている職種がある。
また生産性を重視するあまり質が損なわれる懸念もある。
こうした課題をどのようにカバーできるかが
制度を普及させるうえでのカギとなる。



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