1月15日 キャッチ!世界のトップニュース
12月 中国では「改革開放」40年を迎え各地で記念の催しが盛大に行われた。
この間 中国の経済発展に大きく寄与してきたのが1997年に中国に返還された香港である。
イギリス領だった時代から中国に旺盛に投資を行ない
中国の工業生産に基盤づくりに貢献した。
しかしいま中国の経済発展とともに香港の役割は変わろうとしている。
香港の博物館で12月から始まった展示会。
“中国「改革開放」と香港”をテーマに40年間を振り返る。
(香港 林鄭月娥 行政長官)
「この40年
香港は改革開放に貢献するとともに恩恵も受けてきました。
香港は国家の改革開放において欠かせない役割を果たしてきました。」
展示では代表的な例としておもちゃの製造が紹介されている。
最も多かった2007年には
香港の約8,500社の関連企業が中国本土で工場を構えていたという。
その1人 趙さん。
「これはカプセルのおもちゃです。
お菓子のおまけなどに使われます。」
改革開放が始まった1978年。
欧米や日本に輸出するおもちゃの工場を香港から中国南部の広東省に移転した。
当時は破格の歓迎を受けたという。
(趙さん)
「中国で私たちは大歓迎されました。
なぜなら技術から資金まですべて中国に持っていったからです。」
格安で工場の敷地を譲り受け
多いときには従業員400人を抱えていたという趙さん。
しかしここ数年は人件費の高騰が経営を圧迫。
また工場の環境対策にも追われるようになった。
(趙さん)
「中国の発展はとても早く
簡単には生き残れません。
もう必要とされていないなら
ほかに歓迎してくれるところに行くだけです。」
趙さんは一昨年 工場を現地の人に譲った。
いま中国本土から香港のおもちゃメーカーの撤退が相次ぎ
ピーク時の3分の1程度にまで減ったとみられている。
こうしたなか香港では新しい動きが生まれている。
中国で生まれた新しい技術を生かし発展させる
けん引役を担おうというのである。
去年の11月 香港の中小企業団体が開いた催し。
将来性のある企業の技術やアイデアなどを表彰する。
このなかに中国で設立された染料のメーカーがあった。
中国本土の染色の専門家が設立し
ナイロンやポリエステルなど化学繊維を染めるための特殊なインクをつくる。
手軽できれいに染めることができ
スポーツ選手のユニフォームなどに活用が期待できるという。
香港の投資家 陳さん。
陳さんはこの会社の将来性を見込んで
一昨年 共同経営者になった。
(香港の投資家 陳さん)
「いま必要なのは中国と一緒に新しい技術を作り出すことです。」
陳さんはいま工場を含め会社を丸ごと香港に移す準備を進めている。
技術はあるものの知名度がない会社にとって
国際的な信用力のある香港で資金や顧客を集めた方が有利だと考えたからである。
(陳さん)
「中国では政治的な要素に影響されますが
香港だとそういう問題はありません。
精密な機械も中国では買えないことがあります。
売る側がまねされるのが嫌だからです。
香港にはまだ信用してもらう力があります。」
香港政府も新しい技術やアイデアを持つ企業の誘致を積極的に進めている。
中国本土との境界近くに整備された香港サイエンスパークは
技術力や将来性などについての審査を経て
安価な利用量で使える研究室やオフィスを提供している。
約30万㎡の敷地に現在入居するのは700社。
このうち中国本土からも約60社が拠点を置いている。
本土からの問い合わせも相次いでいて
その数はさらに増えるとみられる。
(香港サイエンスパーク CEO)
「香港を拠点として資金を集めビジネスモデルを見つければ
企業はさらに発展できるはずです。」