1月13日 編集手帳
土地には土地の不文律があり、
よそ者が知らずに禁を犯すと、
悶着(もんちゃく)に発展してしまうことがある。
古都・京都に伝わるのが「白足袋に逆らうな」との警句である。
お公家さんや茶人、
花街関係者、
室町の商人ら足袋をユニホームとする人たちには窺(うかが)い知れぬ力があり、
機嫌を決して損なうことなかれ、
との戒めだ。
本紙連載をまとめた『京都 影の権力者たち』で一端が紹介されている。
特に印象的なのが僧侶の生態だ。
皇室や政財界との深いつながり、
巨額の予算等々、
なるほど、
と納得するとともに、
もし彼らが北陸方面へドライブに出かけたらと少々不謹慎な想像を巡らせる。
福井の僧侶が僧衣で車を運転したことを理由に、
交通反則切符を切られたという。
県の規則が運転操作に支障がある衣服での運転を禁じている。
「会社員にスーツを脱げと言っているようなもの」と僧侶は訴え、
所属する浄土真宗本願寺派も「法令は順守するが、受け入れがたい」と困惑しているそうだ。
白足袋さんVS法の番人の騒動は、
海外でも報道されているとか。
不思議の国の、
不思議な規則といった受け止めなのかもしれない。