12月18日 おはよう日本
40を超えるカジノが立ち並ぶマカオ。
わずか数分で億単位の金が飛び交う。
カジノの周りには富裕層が満足できるようなリゾート施設が相次いで誕生している。
スパではプラチナ製のマスクで肌の手入れ。
ホテル最上階のVIPルームには執事が24時間常駐。
価格は非公開。
泊まれるのはカジノでたくさんのお金を使った人に限られている。
こうした施設が人気を呼び
訪れる外国人の数は年間3千万人以上。
売り上げはカジノだけでも4兆円に迫る勢いである。
その恩恵によって町は一変。
20年前は干潟だったところが世界有数のリゾートへと生まれ変わった。
(マカオのIR経営者)
「カジノは財政上のエンジンだ。
日本でIRが注目されるのはなぜか。
それは新しい挑戦を可能にするからだ。
外国人観光客から得たカジノ収入で大きな発展につなげることが可能だ。」
マカオはどう変わったか。
大きく変わったのは雇用である。
今では労働人口の23%にあたる9万人がカジノで働いている。
税収の7割がカジノがもたらすようになった。
その結果市民65万人の教育費や医療費は無料。
さらに毎年1人あたり10万円以上のの現金が支給されている。
地元経済にカジノがもたらした恩恵は大きい。
しかしその一方で負の影響も深刻になっている。
最近マカオではカジノの従業員がチップを盗む事件が相次いでいる。
カジノ従業員自らが依存症になり
かけ金欲しさに窃盗などの犯罪に走ってしまうというのである。
依存症はカジノが生活の身近にある一般の市民にも及んでいる。
公務員だった妹が深刻なギャンブル依存症になったという女性。
最初は興味本位で3万円程度から始まったカジノ遊び。
負けが重なり見る見るうちに借金は1,200万円に膨れ上がっていた。
ばく大な額を取り戻そうと詐欺に手を染めそのまま海外に逃亡してしまった。
「ギャンブルは大嫌い。
家庭も何もかも壊してしまうんです。」
ギャンブル依存症の疑いのある人がピーク時には成人人口の6%
2万5,000人にのぼったマカオ。
こうした事態を受け対策も広がっている。
カジノにほど近い広場では家族が依存症になった人たちが参加する市民グループが注意を促している。
「少しの額ならいいですが大金をつぎ込んではいけません。」
さらに政府も最新のシステムを導入。
指紋など個人情報を登録すれば
依存症の疑いがある家族などの入場を制限できるという。
(マカオ政府 ギャンブル依存症対策担当者)
「2012年に運用を始めてから7万人が登録し効果をあげている。
カジノ従業員のカジノへの入場を法律で全面禁止にするなど
政府として対策を講じている。」