1月14日 編集手帳
冬の公園には小さな妖精たちが隠れている。
葉を落とした木に近寄り、
目を凝らせば見えてくる。
とんがり帽子の小人、
笑い顔の子供、
サルやヒツジなどの動物も。
春を待つ冬芽と古い葉の跡の組み合わせが生み出す面々である。
葉のあった部分には養分や水を運ぶ管の跡が刻まれ、
しばしば顔のように見える。
樹種ごとに表情が異なり、
頭にのる冬芽の個性とともにユーモラスな姿を描く。
樹木は生命再生の力を冬芽に蓄え、
寒さに耐える。
その試練あってこそ、
やがて葉を茂らせ、
花を咲かせる。
ポプラの枝に宿る赤褐色のとんがり帽子に、
思わずエールを送りたくなる。
今日の成人の日、
125万人の若者が新たな門出を迎えた。
大人になるとは?
晴れがましさの一方で戸惑う新成人も多かろう。
今は冬芽の時期かもしれぬ。
新川和江さんに『名づけられた葉』と題された詩がある。
何千何万のポプラの葉はどれも同じ名だけど、
人には固有の名がある。
〈だからわたし
考えなければならない
誰のまねでもない
葉脈の走らせ方を
刻みのいれ方を〉。
自分なりの大人への道を、
焦らず、
逃げず、
着実に。