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苦境のアルゼンチン “生かせ通貨安”

2019-04-29 07:00:00 | 報道/ニュース

4月4日 キャッチ!世界のトップニュース


アルゼンチンの過去10年の国内総生産の実質成長率は
2010年経済が好調だったブラジルの影響を受け高い伸び率を記録。
その後ブラジルの景気後退に伴い低い成長を強いられるなか
2015年就任のマクリ大統領は積極的な政策で経済の立て直しを行ってきた。
さらに打撃となったのが通貨ペソの大幅な下落である。
10年前は1ドル3ペソ台だったが
2016年ごろからアメリカの利上げや緊縮財政などの影響で一気にペソが下落し
1ドルが40ペソ台という事態になっている。
厳しい状況のなか
この通貨安を逆手に取ることで景気回復につなげようという動きも出てきている。

アルゼンチンの首都ブエノスアイレス中心部にあるステーキ店。
夜になると長蛇の列ができている。
人気の秘密はその値段である。
アルゼンチン経済に打撃を与えている通貨安が海外から訪れる外国人には恩恵をもたらしている。
最高級の肉は約20ドル。
外国人観光客にしてみれば1年前の半額以下で食べられるようになった。
(オーストラリア人観光客)
「おいしいし大きいので誰かと分け合いたいです。」
(アメリカ人観光客)
「素晴らしい。
 柔らかくて完璧です。」
この店を訪れるのは多いときは8割が外国からの観光客。
予約は1か月先までいっぱいだという。
(店長)
「いろいろな国から客が来ています。
 観光客のおかげで飲食業も好調です。」
今年に入っても最安値を更新している通貨ペソは
外食産業だけでなく
国内の観光業全体を押し上げている。
観光地イグアスの滝には多くの観光客が詰めかけている。
(観光客)
「美しいパラダイスです。
 人にもぜひ勧めたい。」
世界3大滝など多くの観光名所を抱えるアルゼンチンは南米有数の観光地である。
通貨安でホテルなどの滞在費が5割以上安くなったこともあり
去年アルゼンチンを訪れた外国人観光客は前年に比べて13%も増えている。
政府や自治体も観光業をさらに盛り上げようと動き始めている。
ブエノスアイレス市は去年から今年にかけて市内の名所を巡る50以上の無料ツアーを企画した。
著名人の墓地を巡るツアー。
元大統領夫人でブロードウェイでミュージカルとしても上演された「エビータ」の墓が特に人気があり
観光客がツアーに参加している。
(ブエノスアイレス観光担当者)
「通貨安は大歓迎です。
 観光客も増えて
 市にも利益になります。」
外国人観光客の誘致に加えてアルゼンチン政府が力を入れようとしているのが輸出の拡大である。
(アルゼンチン マクリ大統領)
「輸出の機会を増やしていきたい。
 輸出はこの国の鍵になるだろう。」
通貨安で競争力のある今こそ
自国が誇る農産品を外国に輸出し
外貨を稼ごうというのである。
政府はいま大豆・牛肉・豚肉などを海外にもっと輸出できるよう
関税や検疫のルールについて様々な国との間で調整を進めている。
一方 外国企業のノウハウを取り入れて海外への輸出を検討する企業も出てきている。
首都ブエノスアイレスの郊外にあるアルゼンチンの豚肉加工会社。
日本の大手商社三井物産の担当者が訪ねてきた。
この会社では
豚などのえさである資料の価格が安く通貨安で輸出がしやすい今
高級ハムを輸出を検討している。
アルゼンチンではこれまで高級ハムは国内だけで消費されていて
海外へ輸出する発想自体がなかった。
それを変えたのも急激に進んだ通貨安である。
国内で思うように販売が伸びないなか
この会社は海外企業の力を借りてでも海外に打って出ないと生き残れないと考えたのである。
(生ハム工場 責任者)
「三井物産は世界に販売網があり
 輸出の大きな力になると思います。」
 今は輸出にとってとても有利な為替相場なので
 もっと商品の輸出に力を入れていく必要があります。」
三井物産としても
豚肉を加工し高級ハムとして付加価値をつけることで
十分に海外でも通用するとみているという。
(三井物産アルゼンチン)
「ここから輸出をして外貨を獲得することはアルゼンチン政府の政策でもあるので
 政府とも利害が一致していることをやっていきたい。」




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