
中学生になると、小学生のときとくらべ親から離れ、自分一人で行動する時間、一人でやらなくてはいけないことが一挙に増えます。
宿題は自分一人ですることが基本になります。友だち関係も自分でつくり、仲たがいをしたら仲直りをすることも自分の力でやらなくてはなりません。
しかし、困ったときは、お母さんやお父さんに聞くことができます。親は困ったら助けてくれるし、手伝ってくれます。
楽しかったこと、うれしかったこと、悲しかったこと、腹が立ったことなど、いろいろな話も聞いてくれます。
一方で、中学生になると、自分一人で行動することが増えるぶん、自由を求める気持ちや新たなことにチャレンジしたいという願いも高まってきます。
このとき、何かあれば自分を助けてくれる人がいるからこそ、いざとなればその人のもとへ戻れるからこそ、自由に新たなことにチャレンジしたいと思えるのです。
その意味で、親は子どもにとっては、「空母」のようなものです。
しかし、その空母は、飛び立つ航空機の飛行範囲を無制限に認めているのではありません。
「危険空域」に行ってはいけない、危険な飛行をしてはいけない、空母は飛行エリアを定めてくれます。
そのエリア設定により、航空機は危険にさらされることはないのです。
子どもは、親の言うことを守っていれば安全でいられる、ということを学びます。
小学生の中ほどまでは、「これをやったら、母は、父はどう思うだろうか」ということが、子どもの内的行動基準として定着します。
しかし、思春期の中学生は、親が反対することもあえてやろうとします。これは親が定めたエリアから飛び出すという行動です。
しかし、エリアからははみ出すが、いざ戻ろうとすれば空母に戻ればいい。
それをたよりに、自分で考え、自分で行動する。さらに、自分で責任を負う。これが、自立のために必要なことです。