箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

国は人にあらず

2018年08月08日 13時00分08秒 | 教育・子育てあれこれ




タイタニック号沈没事故は、広く知られており、みなさんご存知です。

私は学生の頃、マンガで読みました。

その後、映画にもなり、ロングランを続けました。


そして、教員になってからは、研修会で、タイタニック号の船長の発言について、興味深い話を聞きました。

船が沈むとなり、船長は乗客に海に飛び込むように言いたい。

どう説得するか。国によって、言い方を変えました。


アメリカ人に対しては、「あなたは飛び込めば英雄(ヒーロー)になれます」

イギリス人に対しては、「紳士なら、飛び込めるはずです」

ドイツ人に対しては、「あなたは飛び込まなければならない。それがルールです」

イタリア人に対しては、「飛び込めば、多くの女性から、あなたは愛されます」

日本人がもしいたら、「ほかの人はみんな飛び込んでいますよ」と言うだろうというジョークです。

このジョークを聞いて、その時は私は、「うまく国民性を表しているな」と思いました。



しかし、いまは少し考えが変わってきました。

三中生にも話したことがあります。


「ブラジル人なら、サッカーができるんでしょう」

「中国から来たのなら、中国語を話してみて」

「韓国人なのに、日本語が上手ですね」

私たちが、ふだんの会話で、無意識のうちに何気なく使う言い方が、相手を傷つけていることがあります。

これを、マイクロアグレッションといいます。

国によって、人をひとくくりにすることは、今の時代にはあいません。

国は人ではありません。人は多様で、一人ひとりちがっています。

まして、グローバル化が進む今日、一つの国にはさまざまな人が住み、移動します。

ブラジル人だからといって、みんながサッカーがうまいのではありません。

中国から来たからといって、みんなが中国語を話すわけではない。

このような、固定的な見方は偏見につながる場合があり、言われた側はときとして傷つくことがあることに、私たちはもっと敏感になりたいものです。