タイタニック号沈没事故は、広く知られており、みなさんご存知です。
私は学生の頃、マンガで読みました。
その後、映画にもなり、ロングランを続けました。
そして、教員になってからは、研修会で、タイタニック号の船長の発言について、興味深い話を聞きました。
船が沈むとなり、船長は乗客に海に飛び込むように言いたい。
どう説得するか。国によって、言い方を変えました。
アメリカ人に対しては、「あなたは飛び込めば英雄(ヒーロー)になれます」
イギリス人に対しては、「紳士なら、飛び込めるはずです」
ドイツ人に対しては、「あなたは飛び込まなければならない。それがルールです」
イタリア人に対しては、「飛び込めば、多くの女性から、あなたは愛されます」
日本人がもしいたら、「ほかの人はみんな飛び込んでいますよ」と言うだろうというジョークです。
このジョークを聞いて、その時は私は、「うまく国民性を表しているな」と思いました。
しかし、いまは少し考えが変わってきました。
三中生にも話したことがあります。
「ブラジル人なら、サッカーができるんでしょう」
「中国から来たのなら、中国語を話してみて」
「韓国人なのに、日本語が上手ですね」
私たちが、ふだんの会話で、無意識のうちに何気なく使う言い方が、相手を傷つけていることがあります。
これを、マイクロアグレッションといいます。
国によって、人をひとくくりにすることは、今の時代にはあいません。
国は人ではありません。人は多様で、一人ひとりちがっています。
まして、グローバル化が進む今日、一つの国にはさまざまな人が住み、移動します。
ブラジル人だからといって、みんながサッカーがうまいのではありません。
中国から来たからといって、みんなが中国語を話すわけではない。
このような、固定的な見方は偏見につながる場合があり、言われた側はときとして傷つくことがあることに、私たちはもっと敏感になりたいものです。