
正確な知識や豊かな経験は、仕事に大いに役立ちます。
しかし、新しいことを始めるときには、それらがブレーキとなることもあります。
ある国内自動車メーカーの工場では、熟練工が1日に2台の車を作っていました。
売れ行きが伸びたため、改善を重ね1日に8台を作る体制を整備したところ、熟練工の多くは「2台でも精一杯なのに、8台も作ると体を壊してしまう」と、やる前から尻込みしました。
そこで、その工場はやむなく未経験者を雇い、標準作業を作ってやってもらったとこころ、8台を作って悠然としていたという実話があります。
本来はできるはずのことでも、過去の経験や先入観が「できない」と思いこませた典型です。
じつは、この夏、箕面市の学校では教職員の業務用パソコンは、Windows 7のノートパソコンから、一斉にWindows 10のタブレット端末に入れ替えられました。
この端末の入れ替えによって、本当は今まではできなかった業務ができるようになることがあります。
その点、若い人は柔軟で、吸収力があり、すぐに使いこなします。
「熟練工」のような教職員の助けが必要なときにはもちろん求めますが、今や、パソコンを使った業務は「熟練工」より若い教職員の方が適していることが多いのです。
なぜなら、「熟練工」は「できない」ことをあまりにも知りすぎており、「それはできない」と断定してしまいがちだからです。
経験や知識、スキルが、ときにはブレーキとなります。