箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

協力を知っている子になってほしい

2017年03月10日 22時05分41秒 | 教育・子育てあれこれ


私は、高校生の頃、友だちといっしょに徳島県の海部(かいふ)というところへ泊りに行きました。そこには、友だちの親戚の家があり、一泊させてもらいました。

家の前には、海部川という山の中を流れる川がありました。

清流といえるきれいな水の川で、水深は3mくらいあり、水中メガネで川底を見ると、大きな鮎か何かの魚が何匹も泳いでいました。

その川幅は狭く、10m程度だったと覚えていますが、私は対岸の岩の上に乗り休憩していました。

すると、友だちが「助けてくれー」と叫んでおり、溺れかけていました。私は川に飛び込み、泳いで助けに行きました。

溺れる者は、ワラをもつかむ。
その友だちは私の首にしがみつきました。

私は自分が沈んでいくのがわかりました。自分は泳げても、しがみつく友だちの体重は重く、体の自由がきかなかったのでした。

「ああ、これで死ぬんや」と思いながらもがいていました。

しかし、幸運なことに山の谷間を流れる川は、流れが速く、私たちはどんどん流されていたのでした。

気がつくと浅瀬にたどりつき、足が川底につくようになっていました。

いまでも、ときどき思い出しては、私たちはラッキーだったと思います。

いっしょに旅行に行った友だちはほかにもいましたが、遠くのほうで遊んでいました。
溺れる彼を助けることができるのは、私だけでした。

でも、よく考えると私は人を引っぱって自力で泳ぐ練習は一度もしたことがなかったのです。でも、自然と体は友だちを助ける行動を起こしていました。

考えてみれば、私には「いっしょに溺れるだろう」という先を読むよりも、仲間の命を大切に思ったのかもしれません。



先日のブログで、学習を教えあえる生徒たちのことを話題にしました。たとえ入試は競争でも、学校は、競争する場ではないというメッセージを発しました。

ただし、競争しながら切磋琢磨していく面も子どもの成長には必要なこともあります。

学校は助け合う場です。競争しか知らない子は協力することはできません。

しかし、協力するということを知っている人は、必要があれば競争することができます。

だから、どんなに優秀な成績でも、自分さえよければいいと思うような子になってほしくはない。

このように思うのです。





生徒は旅人

2017年03月09日 14時14分34秒 | 教育・子育てあれこれ

この写真は、今年の1月15日、前夜から降り積もった雪景色のうちの家の庭である、

これを見て、多くの人が美しいと思うだろう。

しかし、ずっと同じふるさとに住む私にすれば少年の頃から見慣れた風景であり、その土地の人びとは自分たちの自然や環境に慣れている。

ほかの人がもつ感銘や感動はあまりなく、季節ごとに似たような毎日を淡々と過ごすのである。



人びとは旅行に行くと、見知らぬ土地の爽やかな空気や食事を味わう。

奇跡のような風景をきれいと感じ、その土地の素朴な人情に温かさを感じる。

夕暮れの美しさに触れ、カメラに収めようとする人もいる。

では、なぜ旅行者だけがこれほどまでに感動するのか。それは再びこの地に戻ることはめったにないと思うからである。


人は旅人。生徒は、教師にとって、3年間という期間限定の旅人である。

縁があって、たまたま出会い、そして3年経つと、また通りすぎていく。

ところが、親にとって、子どもは見慣れたた人。

ならば、教師は生徒との出会いを、感銘と感動をもって向き合っていきたい。

学校での仲間づくり

2017年03月08日 17時48分59秒 | 教育・子育てあれこれ


本日、3年生の英語の授業を見ました。

台湾と日本の友好関係を考える内容でした。

授業者は同じみのAll Englishで話します。また英文の内容はかなりハイレベルのものでした。

壁に貼った英文はいくつかのパートに分けてあり、グループでその情報を読みとり、席に戻ってその情報から、パートをつなぎあわせ、一つのストーリーにする活動でした。

さすがに、この時期の3年生です。英語の得意な子は苦手な子に、自然に教え合って、グループ全体が、台湾と日本の友好関係を理解していきました。

仲間関係が成熟しているので、すべての生徒が授業についていけてました。


さて、公立高校一般入試は、明日となりました。

1.4倍を超える高倍率になっている学校もあります。

入試はたしかに競争です。

1.4倍の倍率は、140人が受験すれば、40人が不合格になります。

ほかの受験者より、高い点数をとれば合格しやすくなります。

しかし、たからといって、私たちの生きる世界や社会がすべて競争であるわけではありません。

まわりの人は、すきあらばおとしいれようとねらっている敵ではない。

必要ならば、わたしを助けようとしている仲間であることを学んでほしい。

加えて、自分もまた他者を助けたいと思い、行動できる子どもになってほしいのです。

自分のことしか考えれない子どもでは困るのです。

学校は、人を助けたいと思う子どもを育てるところです。

それがさまざまな状況の子が一緒にまなぶ学校の一つの存在意義です。


校舎にありがとう

2017年03月07日 16時40分48秒 | 教育・子育てあれこれ


本日6限の学活で、3年生は卒業前の大掃除でした。

長年使ってきた教室やその周辺を、手分けしてきれいにしてくれました。

ふだんなかなかできない換気扇、床の汚れとり、耐震バーの奥の窓ガラスなど、心を込めて掃除してくれました。

卒業式まであと1週間。

その間に公立高校一般入試があります。

学習面でも、堅実にがんばる学年です。

いい結果を残してくれると期待していますし、実際そうなると思っています。

子どもが変わった?

2017年03月06日 17時28分04秒 | 教育・子育てあれこれ


私たちは一人ひとり違います。一人として同じ人はいません。

だから一人ひとりは尊い存在なのだと思います。

しかし、ちがいは往々にして、人と人を隔てる材料になります。

ときとして、他者との間に超えられない溝を感じることすらあります。

でも、それぞれはちがっているが、みんなそれぞれに共通してもっているものもあるはずです。


「子どもが、昔と比べて変わった」という人がいます。

たしかにそうかもしれない。

なかなかはっきりと自己主張できない。

友だちの意向を気にしすぎる。

我慢強くない。

このように、私が学級担任をしていた頃の中学生と比べて、変わった点もある。


しかし、三中の子と接してつくづく思うこと。

それは、

子どもの願いは変わらないということです。

友だちを大事にしたい。

勉強ができるようになりたい。

いいクラスをつくりたい。

クラブでもがんばりたいな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

このような願いは、いまも昔も、何も変わりません。


子どもの願いは、保護者の中学生の頃も、いまのお子さんにも共通しています。

だから、教職員は子どもたちの願いに応える学校づくりに取り組むのです。

愛を育てる

2017年03月05日 13時02分56秒 | 教育・子育てあれこれ

みなさん、恋と愛のちがいはなんでしょうか。

これについては、さまざまな人が、そのちがいを言っています。

私が思うに・・・

恋とは、関心が自分に向いている。

愛とは、関心が相手に向いている。


こんなふうにいうと、若いカップルは言うかもしれません。

「こんなに、彼(彼女)のことを愛してるのに」

これほどまでに相手のことを考えている。

加えて、彼らは「愛してる」のだから、相手に要求するのも愛だと思っています。


しかし、長年生活を共にしてきた夫婦の愛はそんなものではない。

パートナーへの感謝がつまっている。

だから、感謝は相手に向いているのです。

これが、愛でないかと思うのです。

ただし、そのような夫婦はあまり多くないのです。

みなさん、私も含めてですが、パートナーに感謝できるような愛を育みましょう。


春風のような人

2017年03月04日 12時07分16秒 | 教育・子育てあれこれ

規則やルールを守ることは、社会や組織の秩序を維持するために大切であるのは、もちろんです。

規則やルールは、いわゆる「正しいこと」です。

しかし、「正しいこと」は万能ではないのです。
「正しいこと」をふりかざして、他者を批判ばかりしている人間関係は、いきづまります。

たとえば、あるタレントが、その母親について生活保護費を不正受給していたことが明らかになったことがあります。

あのとき、マスコミは寄ってたかって不正受給を書き立てました。国会議員まで出てきて、大きな問題になりました。

私たちはちゃんと税金払っているのに、不正はいけない!

うん、そうだ、そうだ!

不正はゆるさないわ。

こんな感じで、世間はそのタレントに厳しかったのです。

いまの時代、ほんとうに他者に厳しい人が多いなと思います。

あれだけテレビの番組に出て稼いでいるんやから、ちゃんとお母さんの生活費くらいみてあげたらいいのにね。

こんなふうには、なかなか済まそうとしない人が多いのです。


しかし、私たちはほかの人の不正はよく見えますが、自分のまちがいにはなかなか気づくことはできません。

知らず知らずのうちに、まわりに迷惑をかけているかもしれません。

自分だって、そのまちがいを指摘されたら・・・。

こう考えてみることも大切だと思います。

相手の心情に思いを馳せる人になりたいと思います。

私はそんなふうに思います。


考えてみれば、教師にもあてはまります。

生徒のできていない点はよく見えても、自分のまちがいに気がつかない教師。

ぜったいに「正しいこと」で、生徒を理詰めする教師。

謙虚に生徒の状況や心情に思いを馳せることのできる、春風のようなさわやかな教師でありたいものです。


PS そのタレントについては同情していたのですが、またしばらくして、その人は車で人身事故を起こしながら、逃げたそうです。
それは、人として決して許されないのですが。
このときには、「不正は許さない」でいいと思います。

弥生に想う

2017年03月03日 10時13分08秒 | 教育・子育てあれこれ



早いもので、もう三月。
今日は3月3日。

生徒もひな祭りに際して、想いを書いています。


昨日は、1年生を対象に校内授業研究会を行いました。

大学教授の田村壽先生を指導助言者に招聘して、1年生の研究授業を、教職員全員で参観しました。

授業後は、研究協議会で研究授業について振り返りをしました。

田村先生からは、言語活動を重視した授業について、コメントをもらいました。

その中でも指摘がありました。三中の生徒は自分の考えや気持ちを表現する力が高い資質が見えます。

3月のアニバーサリーを見ても、うまく自分の想いを表しているので、私も納得しました。

その力を伸ばすのは、三中の役割だと感じました。

3年生 卒業前に

2017年03月01日 20時39分47秒 | 教育・子育てあれこれ




3年生の卒業制作は、卒業式の舞台を飾る大壁画です。

下絵から描き始め、色を塗り、最後に合わせてつなぎます。

また、卒業の歌「大地讃頌」も、合唱祭の後も、目下ハーモニーに磨きをかけています。


明日は公立高校一般選抜を受ける生徒は出願です。

よくがんばる生徒たちですので、私学入試も特別選抜も、よい結果を残してくれました

確かな学力が、三年間で育っています。

一般選抜も着実に点数をとり、合格してくるだろうと、私は考えています。