梟の独り言

色々考える、しかし直ぐ忘れてしまう、書き留めておくには重過ぎる、徒然に思い付きを書いて置こうとはじめる

男の話

2011-04-20 09:46:53 | 雑記
Sと言う友人が居た、30代前半の頃の事、仕事は町の電気店の店員で接客から工事までやる人当たりの良い男である、
彼は所謂女性に手の早いと評判の男である、実際に女性にはまめだった、やはり飲み屋で知り合ったのだが行く店の女の子に片っ端から声を掛け半分位の率で落とす、
取り立ててそれを自慢する訳ではないが行きつけの店だから直ぐに分かる、彼の接し方はそれ程変わらないが女の子が言わずもがなで分かってしまう、問い詰めるまでも無いがどうも此方も他の客も面白くないので結局河岸を変えるかその子が辞めてしまう、
次々とそんな事が有るので段々と女たらしの噂が広まるとどういう訳か余計にもてる、ついにはママから出入り禁止の店もでたりしても全く懲りないで行き付けの床屋の女の子や定食屋の店員まで口説き落としてしまう、友人同士では「あいつは病気だな」と羨望交じりに話していた、
そいつがある時からこの遊びをぷっつりと辞めて田舎から送ってきた見合い写真で突然結婚すると言い出した、
「随分簡単に年貢を納めたけどどういう心境の変化だ?」と女気の無い焼き鳥やに宗旨替えしたSに聞いてみたら手痛い失恋をしたらしい、本人曰く「何時もと同じで自分ではそんなに好きになっていたとは思わなかった」と言う女性を口説き落としたと言う、
何処で知り合ったかは聞かなかったが大手の銀行に勤める真面目な女性だったらしい、地味な女性で大抵彼女のアパートに行ってテレビを見たり話をしたり手料理を食べたりしていた、「こんな女性だったら結婚も良いかな」と思い始めた頃、何時もは在宅を確認してから訪れるのだがふとアパートに行く気になったと言う、しかし彼女は居たのだが入る事を頑なに拒んだ、押し問答を繰り返していたらどうも部屋に誰かの気配がする、どうも男の声の様だった、彼は自制を失って内鍵の掛かった扉を足で蹴り付けて大声で怒鳴ってしまい、他の住民から「警察を!」と言う声に追い立てられる様に帰ったがその後知らない店で浴びるほど酒を飲んで歩いたと言う、
「気が付いたらN川の中でびしょ濡れで寝ていたよ」と自嘲する様に話してくれた、
「二股掛けられているとは思わなかった、しかし此れほどショックを受けるとも思わなかった」
今まで口説き落とした女性の一人でしかないと思ったが自分がその立場になって「女性に対する人生観が変わった」そうだ、
田舎に帰省したら前々から親が色々持ってくる見合いの話があったので会ってみる事にしたら
如何にも都会とは関係の無さそうな女性を見て直ぐに結婚を決めたらしい、一時の感情で結婚をしたのでは無いかと思っていたがそのまま幸せな結婚生活を送っている
まあ、自分とは全く違う女性遍歴だが、何となく分かる様な気がするのはやはり男同士だからか