男と女の話（２）

「原始女は太陽だった、しかし今は月である」と言う言葉が有った、男の光を浴びて輝いて居るという意味なのか、それともその静かな佇まいと美しさからか、歴史上の出来事を見てみると確かに政治的に国を動かす様な話はほぼ無い、文学や絵画音楽も比較的少ない、しかし一方「歴史は夜作られる」と言う言葉もある、
「傾城」と言う言葉も有る、「犯罪の陰に女あり」共言う、人間の半分は女である、どちらが優れて居るかと言う話では無い、看板として或いは旗印として男の方が残ったと言う事かも知れない、
「女は弱し、しかし母は強し」と言う言葉も有る、女としてはやはり弱い物かもしれないが母親としては我が身を捨てても我が子を守る強さはある、しかし此の強さは「我が子を」が基本になってしまう、だとすれば女の強さは母の強さだとすれば限定的になり個人的利害関係が主になる、それが歴史に多くを残さなかった所以だろうと思う、しかし男の弱さは此の無条件の愛情に支えられて生きて来たし今もそうだと思う、
それを認めるのは沽券にかかわると言う様な感情が矛盾した印象を与えるのだろう、若しかしたら男が女に求めて居るのは母親としての無条件の愛情かも知れない、しかし無条件の愛情は当然母親はその愛情の対象として独占を求める様になる、所謂「子離れが出来ない」と言う事になる、そしてその独占から妻に移動する事が嫁姑の確執のなるのだろう。
生物的に言うと結婚と言う文化は人間の特徴で他の動物にはほとんど見られない、雌雄と言う分化を持った動物でも繁殖期単位でしか関係を持たない、無論夫婦的に見えるケースもあるが殆ど人間社会と密接に関連した動物である、強い子孫を残すのが生殖の最大目的だが恋愛感情はこれとは殆ど無関係に起こる、
恋愛と笑うと言う感情は人間だけが手に入れた素晴らしい感情だろう、全ての芸術は此の感情から起きる、
絵画も音曲も小説も詩も欲得とは関係なく揺さぶられる様な心の動きから発生したと言っても過言ではないだろう、だからこそ人間は恋をして失恋をして笑って泣いて生きて行くのが一番人間らしいのだと思う、
さて、こんな話を女性にすれば恐らく「本当に理屈っぽい、」と言われるのが目に見えて居る、しかしむさい野郎共は結構酒を飲みながらこんな話もする、やはり男と女は違う生き物だ、しかし両方とも此の理屈に合わない感情に憧れて居る事も間違いないだろう、
余談だが今歌を歌うタレントを全て「アーチスト」と言うのはどうにも納得がいかない、アーチストとはアート（芸術）と言う意味から昔はアーチストとは芸術家を意味した、日本の場合は狭義に画家を指す事が多かったが今の流行音楽が「芸術」とはどうしても認められない、音楽業界が作り上げた言葉だろうと思うが芸術も安くなった物だ