CubとSRと

ただの日記

振り仮名の重要性

2019年06月19日 | 重箱の隅
 昨日の
 【 現代中国語や韓国語が日本語の熟語だらけであるのは、言うまでもなくアジアの近代化は日本から始まったからである。欧米の思想を翻訳するために、日本の知識階級は、漢字を組み合わせた新たな語彙をたくさん創り出した。それを近代化に遅れを取った中国が逆輸入したのである。】
 の続きです。
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 1905年に科挙が廃止されるまで、シナ大陸の教育は、「四書五経」の丸暗記しかなかったが、それ以上に深刻なのは、話し言葉としての中国語という考えが、1918年までなかったことである。
 中国にはそれまで漢字にはルビがなかった。この1918年、中華民国教育部が、日本の振り仮名をまねて、「注音字母(ちゅうおんじぼ)」という表音文字を公布したのが、共通の話し言葉としての中国語の始まりである。
 注音字母は今でも台湾で使われているが、大陸の中華人民共和国の方では「併音(ビンイン)と呼ばれる、ローマ字によるルビを使用するようになった。
 しかし、日本人ならわかると思うが、漢字は同音異義語が多すぎるので、ローマ字だけが並んでいても、元の漢字に戻すことはたいへん難しい。
 「ニーハオ(こんにちは)」程度ならともかく、地名がローマ字だけで書かれていることを考えてみてほしい。地方の小さな町など、他の情報がよほどたくさんなければ、中国人だって漢字に復元できない。
 つまり、漢字はもともと、発音を軽視した表意文字なのである。
 どうしてこういうことになったかというと、シナ大陸に住んでいた人たちの話し言葉が、地方によってあまりに違っていたので、話し言葉の一致など、考えられもしなかったからだ。
 シナ(チャイナ)の語源となった秦の始皇帝は、紀元前221年、戦国七国を統一すると、他の六国が使っていた漢字を廃止し、民間にある政治学の書物を没収した。
 これが「焚書」で、このとき漢字の字体だけでなく、読み方も一定にした。
 つまり、漢字の国有化、コミュニケーションの統制をしたのである。
 このとき、一つの漢字に一音節の一音の読み、と決めた結果、漢字の音は特定の意味を表す言葉ではなくなった。
 同じ漢字というコミュニケーション・ツールを使っていながら九世紀初めに片仮名、九世紀後半にひらがなを発明した日本人は、話し言葉をそのまま書くことができる文字を持った上で、目で見て意味の分かる漢字を混ぜて使うことによって、豊かな精神生活を獲得した。
 しかし、二十世紀までルビを持たずに漢字を使用してきた漢人にとって、話し言葉と文字のギャップはいまだに大きいままである。
 これこそが、シナ文明と日本文明の差なのである。

  「中国・韓国の正体」~異民族がつくった歴史の正体~
  宮脇淳子

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 もう50年近い昔のことですが、NHKのラジオ講座で「中国語入門」というのがありました。
 高校生だったんですがそれを聴いていました。1965年から10年間続いた文化大革命の真っ只中の時期です。
 簡体字を知ったのはその時で、テキストにはローマ字によるルビが振ってありました。
 簡体字は日本の行書体や草書体を活字体にしたもので、書く手間を減らすために、日本に倣って始めたものでしたが、さらに時間を短縮するために、いずれはローマ字表記だけにする、その移行期間として採用したのだそうです。
 「時間を短縮するため」だけに自国の文字を捨てる・・・・。文字は文化そのものだから、それを捨てることは自国の文化を捨てる=否定することになる、とは考えなかったのでしょうか。いや、社会主義革命遂行の前にはそんなものは取るに足りない問題なんでしょうね、きっと。
 あれから50年経つわけですが・・・・。ローマ字表記だけになる日が来ることはあるのか?
 幸い(?)なことに、すぐ近くに自国の文字だけにして漢字を廃止した国があり、その経緯と結果を見ることができます。 
 それで50年も経ってるのに今でも漢字を使ってるのかな???



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コメント
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