CubとSRと

ただの日記

リスクはなくならない

2021年05月15日 | 日々の暮らし
 リスク (英: risk)とは、将来のいずれかの時において何か悪い事象が起こる可能性をいう。
                (Wikiより)

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 「カンカンカン」
                   2019年03月07日

 セローに乗り始めて2年目、いや、3年目くらいだったろうか。
 ブレーキパッドを交換してもらわなければなぁ~、と思い始めた頃、何だかチェーン辺りから小さな音がするような気がした。
 どこかにチェーンが無駄に当たっているような音。
 止まって、バイクにまたがったまま見下ろすが、止まってる時にはチェーンも止まってるんだから、音はしない。
 当たり前。
 では乗ったままで動いてみたら?
 前方が全く見えないからチェーンの確認どころではない。危険過ぎる。
 そうなると降りてチェーンを動かすしかないんだけど、セローにセンタースタンドはない。ちょっと前進させては止まり、点検。前進、停止、点検、というやり方しかない。めんどくさい。でも、やるしかない。
 やってみた。思った以上にめんどくさい。何より路上でやるわけだから結構距離を取る。
 クルマや人が通るかもしれないことを気にしながら、いい加減にやってるんだから何も分からない。
 ブレーキパッドの交換をお願いした時に異音のことを言ったような気がするが、その時はそんなに大きくは考えてなかった。チェーンも少し延びていたんだと思う。
 けれど、異音は段々に大きくなっているような気がする。気になる。
 これはもう「困った時のプロ頼み」しかない、と早々と諦めて、ブレーキパッドを交換してもらう時にもう一度言ってみることにした。
 
 パッドを交換してもらう日が来た。音は原因が分からないまま続いている。ここまで数日。
 「カンカン、音がする」と伝える。
 「チェーンは延びている、というほどでもないですね。何だろう」
 「もう少し様子を見ますかね」
 と言いながら、点検の様子を見ていた。
 「そうですね~。どこだろう・・・・。当たるところはないんだけどな~」
 と独り言をつぶやきながら、しばらくチェーンを睨んでいた店長が 
 「・・・・・あっ!ここだ!」
 、と指をさす。
  よく見ると8の字型のチェーンの駒の片方が半分折れてなくなっている。チェーンの駒は左右二つで留まっている筈なのに片方だけになって、もう片方は半分しかない。その折れ残ったチェーンの駒が、ギヤカバーかチェーンカバーに、一周する毎に当たっていたんだろう。それでカンカン、音がしたんだ。
 勿論、このままだったら、いずれはチェーンが切れる。最悪の場合は、前後どちらかのスプロケットに一瞬で巻き付く。タイヤがロックした格好になるから、急減速。乗っている者は前方に放り出される。
 放り出されたら、運が悪ければ、地面に激突、成仏、墓参り、となったかもしれない。
 「もう少し様子を見ますかね」なんて悠長なことは言ってられない。すぐ交換するしかない。
 本来、延びるものではあるけれど、切れるなんてことはあってはならないことだから、
 「新車クレームで交換できます」
 と言われた。
 数日後。
 「それで、交換するチェーンですが」
 「金色のチェーンと銀色のチェーン、どちらにしましょうか」
 何だかどこかで聞いたようなセリフ。
 「丈夫さは変わらないけど、金色のチェーンの方が高いそうです。ちょっと派手だけど無料ですから、どちらでも」
 言うまでもない。金色のチェーンにしてもらった。貧しい樵じゃないからね。金色のチェーン、転売して儲けようなんて思わないし。
 
 白いタンク、緑のサイドカバー、黄色のフロントフォークブーツ。そして金色のドライブチェーン。
 ちょっとカッコイイ。
 けど、これ、下手すると死んでたかもしれないんだから。
 事故が起きる前で、何事もなかったから、こんな太平楽、言ってられるんだけれど。
 こういう「生死は表裏」といったことが、バイクに乗っていると現実に見えることがある。
 「だからバイクは危ない」
 と言われる。
 しかし、本当のところはバイクに乗らなくたって「生死は表裏」なんだ、ということを、人は考えなさすぎる。
 バイクに乗れば、意識する切っ掛けはそこら中にある。そして意識していれば回避の可能性は高くなる。
 スマホ見ながら歩いていたら自転車にぶつかられて転倒する。
 家に居たって、立ち眩みを起こして転倒する。階段踏み外して転げ落ちる。(←経験者)
 仕事で疲れて風呂に入り、いい気持で転寝し、溺れる。
 以前は床下収納にハマって抜け出せず、数日後に発見されたなんてのも。
 その時にならないと、「見えない」。そして、見えた時はもう遅い。



コメント
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