「永遠に反省しない朝日新聞」
021.05.13 (木)
「櫻井よしこvs西岡力」敗訴でも「慰安婦報道」を永遠に反省しない朝 日新聞
(後半転載)
西岡 改めて整理すると、朝日新聞は植村氏の記事が出る前の82年に、「自分は軍の命令で女子挺身隊として朝鮮女性を強制連行して慰安婦にし た」という吉田清治なる男性の証言記事を掲載した。翌83年に吉田はその 証言を単行本にしています。いわば「女子挺身隊」を語る・加害者・を世 に出したのが朝日です。
朝日のお墨付きをもらった吉田証言の影響が絶大 で、80年代半ばから「女子挺身隊」の名で慰安婦狩りをしたというウソ が、左派が支配する日本の学界の定説になった。韓国に留学した経験のあ る私からすれば、そんなことが起きていたら韓国人が蜂起していただろう けど、そうした話は現地で聞いたことがない。事実なら日韓関係の根底が 崩れるし、本当に「人道に対する罪」みたいなことがあったんだろうかと 疑っていた。
植村記事が出た91年に朝日は吉田を2回大きく取り上げ、植 村氏の記事で“被害者”の証言を出すことで、慰安婦は女子挺身隊の名で強 制連行されたという朝日のプロパガンダが完成してしまった。植村記事は 吉田証言のウソをサポートした悪質な捏造記事だった。
櫻井 今回の裁判で、もともと植村氏は「女子挺身隊」が「慰安婦」とは 別の存在であるということを知っていたと、法廷で語っています。
これは 植村氏に対する尋問の最後に、裁判官が踏み込んで質問したことに対する 回答でした。つまり「女子挺身隊」として連行された「慰安婦」という話 が、本来成り立たないことだったと、彼自身知っていたことになります。 それなのに、なぜそういうことを書いたのか、理解に苦しみます。
西岡さ んが先ほど仰ったことは非常に重要なことですね。それまで吉田清治の詐 欺話で日本軍が女性たちを強制連行したと言われていたけれども、研究者 や朝鮮問題の専門家の多くが「そんなことはあるはずがない」と疑ってい た。韓国の人たちもみんな知っていた。日本軍による慰安婦の強制連行
な どなかったこと、「女子挺身隊」が連行されたこともなかったと知ってい た。しかし、植村氏の記事で被害者の“実例”が出てきた。
今まで虚構だろ うと思っていたのが、初めて証拠が出てきた。これは大変なことだと大騒 ぎになった。
その頃から朝日以外の新聞も書き始めた。朝日新聞がつくっ た壮大なフィクションが、植村氏の記事によって「本当かもしれない」と いう現実味を帯びてきた。こういう構図が現実世界の中で創られてしまっ た。
その結果、植村氏の記事は本当に深刻な結果をもたらした。私は西岡 さんの先程の説明と重なることを言っているのですが、この構図をしっか りと頭に入れておくことが、慰安婦問題についての朝日の責任を知る上で とても重要です。
西岡 本当の加害者と被害者が証言して、国内外から批判を浴びるのなら 仕方ありません。被害者がそう言ったなら特ダネに値しますが、実際は 言ってないことを朝日が書いた。しかも、それが記憶違いじゃなくて、 言ってないどころか彼女が女子挺身隊ではなかったと知っていたと。あえ てウソを書いたという事実は重い。
14年の慰安婦記事の検証報道でも、朝日新聞が謝ったのは「うそつきの吉 田に騙された」ことだけ。植村氏の記事については、「意図的な捻じ曲げ などはありません」と書いて未だに恥じない。
櫻井 私は今回の一件は「天網恢恢疎(てんもうかいかいそ)にして漏らさ ず」だと感じています。植村氏が提訴してくれたおかげで、彼が「女子挺 身隊」と「慰安婦」は関係がないにも拘わらず、両者を一体のものとして 記事を書いたという事実が判明しました。
そこからさらに発展して、西岡さんが指摘なさったように、この問題は朝 日新聞そのものの問題であることが明らかになった。天の目は朝日の悪行 をきちんと見ていたということです。この判決を受けて、もう一回、自分 たちの行った捏造をきちんと反省しないといけないと思う。
朝日新聞は 「誤報」という指摘については受け入れるけど、「捏造」ということに対 して強く反発して否定します。けれど、西岡さんの説明にもあったよう に、どう見ても捏造をしたとしか思えない。
日本人に対する裏切り
西岡 見過ごしてはならないのは、私の最高裁判決を報じた朝日新聞の姿 勢です。3月13日付の朝刊に目を通すと、どこに書いてあるのかわからな いくらい小さな扱いで、そのベタ記事にはウソが書かれている。
判決に 至った経緯を〈東京地裁は、日本軍や政府による女子挺身隊の動員と人身 売買を混同した当記事を意図的な「捏造」と評した西岡氏らの指摘につい て、重要な部分は真実だと認定〉したと書き、これは正しいのですが、問 題はその次ですよ。〈東京高裁は指摘にも不正確な部分があると認めつ つ〉と、私の指摘に不備があったとわざわざ書いた上で、〈真実相当性が あるとして結論は支持していた〉。地裁では「真実性」が認められていた けど、高裁からは「真実相当性」に格下げしたとしか読めないのです。
櫻井 「真実性」が認められたことを省いた。とんでもない記事ですね。
西岡 はい。実際の裁判では、一番重要な「女子挺身隊として連行されて いないのに、そのことを植村氏は知っていながらあえてウソを書いた」と いう点について「真実相当性」ではなく「真実性」が認められています。
その評価は地裁と高裁で変わっていないのに、朝日が掲載した記事が「捏 造」だったと最高裁が認めたということになれば、最終的には自分たちに 責任がかかってくる。読者がそう思うかもしれないからと、あえて自分た ちの責任を回避するためにウソをついたとしか思えません。少なくともこ の判決を受けて、朝日新聞は改めて見解を出すべきだと強く思います。
櫻井 朝日新聞は慰安婦報道によって、国内外にどれほどの影響を与えて きたかという自覚と反省があまりにもない彼らがしたことは日本国に対す る、日本人に対する裏切りであり、ジャーナリズムへの信頼性を大きく損 ねました。
西岡 今回、自分たちの罪を再び反省する契機となる判決が出たわけじゃ ないですか。その判決を報じる記事でも「捏造」をしているのだから呆れ てしまいます。
櫻井 常に自分にも言い聞かせていることですが、ジャーナリズムというも のは完璧ではないと私は思っています。人間が完璧ではないように、 ジャーナリズムも人間のなせる業ですから残念ながら間違いもあるでしょ う。大事なのは過ちが生じた時の姿勢です。自ら検証して反省すること で、メディアは一歩先に進み、深めることもできる。けれど朝日は自身の 間違いを認めようとしない。そういう態度では、未来永劫同じことを繰り 返すと思います。