【安倍晋三元首相国葬儀を前に~憲法改正】
今月27日に安倍晋三元首相の国葬儀が行われます。
残念ながら、参院選の遊説の最中に凶弾に斃れた元首相を偲ぶよりも、旧統一教会との関係ばかりに焦点が集まっています。
安倍元首相が何を考え、何を行い、何を遺そうとしたのかが忘れ去られています。
(略)
今回は安倍氏が首相時代の平成30年8月12日に長州「正論」懇話会で、憲法改正について発言した一部を紹介します。
◇
毎年、防衛大学校の卒業式に出席し、服務宣誓を受けますが、最高指揮官、内閣総理大臣として、真新しい制服に袖を通したばかりの自衛官から
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託に応える」
との重い宣誓を受けます。そうです。まさに彼らは国民を守るために、その命を懸けるんです。
しかし、近年でも「自衛隊を合憲」と言い切れる憲法学者はわずか2割で、違憲論争が存在しています。その結果、多くの教科書に自衛隊の合憲性に議論があるとの記述があり、自衛官の子供たちも、その教科書で勉強しなければなりません。
ある自衛官は息子さんから「お父さん、憲法違反なの?」と尋ねられたそうです。そのとき、息子さんは、目に涙を浮かべていたと言います。
皆さん、このままでいいんでしょうか。こんな状況に終止符を打つ。全ての自衛官が誇りを持って任務を全うできる環境を整えることは、今を生きる私たち政治家の責任であります。
憲法の中にわが国の独立と平和を守ること、そして自衛隊をしっかりと明記することで、私はその責任を果たしていく決意であります。
こうした思いの下に昨年の総選挙でわが自民党は初めて、選挙公約の柱、主要項目の1つとして憲法改正を位置づけ、自衛隊の明記など4項目を具体的に掲げました。
教育の無償化もその1つです。明治の近代化、さらには戦後の焼け野原からの復興。日本はこれまで数々の困難に直面しながらも、そのたびにそれらを見事に乗り越えてきた。すべては日本人の力であります。人づくりこそ、国づくりです。
戦後憲法に普通教育の無償化が明記され、そこから小中学校9年間、義務教育制度がスタートした。しかし、70年以上が経過し、経済も社会も大きく変化しています。子供たちがそれぞれの未来を、それぞれの夢を追いかけるためには、高等教育もまた、全ての国民に真に開かれたものでなければなりません。
そうした思いの下に昨年の総選挙で、大半を借金返しに使うことになっていた消費税の使い道を大きく見直すことを訴え、幼児教育の無償化と合わせ、真に必要な子供たちの高等教育の無償化に踏み出すこととしました。
これは未来を見据えた、まさに国家百年の計であります。だからこそ、国の形、理想の姿を示す。憲法の中にしっかりと書き込んでいくべきであると、私はそう考えています。
約束したことは必ず守る。実行に移すのが自民党であります。
(以下略 転載了)
メルマガ「週刊正論」令和4年9月23日号より
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓