結局、出たのは11時近くになって。
ホームセンターでガラスの風鈴、大学ノート、墨汁、麦藁帽子を買う。
SRで、いやカブで、と迷ったもののコペンで出て正解だった。
今日はジャケットなし。暑くなるのは分かっているので。
先日の「仕方なしジャケット丸洗い」は理屈上GOサインを出したが、基本やっぱり頻繁にすることではない。テーラー仕立てのジャケットなら絶対にできない。
用は済んだ。けど、ここからが本筋。
隣の市のホームセンターにも寄ってみる。ガラス以外の風鈴も見ておきたい。
「カランカラン」となる風鈴もいいけど、「リーン」と鳴る風鈴もいい。
ガラスの小さな風鈴は「チリンチリン」と鳴る。可憐な音がする。
少し大きくなると「カランカラン」と鳴る。暑気を忘れさせる乾いた音がする。
もっとでかくなると「ガランガラン」と鳴る。可憐さは全くない。暑気を忘れさせてくれるどころか下手をすると耳障りですらある。
けど、押し付けてくる暑さを「そんなもん、どうってこたぁねえよ!」と思わせてくれる。
神社で穢れを祓うために鈴を持って舞うのと、大きな風鈴が暑気を掃うように鳴るのとは同じようなものなのかもしれない。
とは言え、まあ、暑いときはやっぱり涼し気な「リーン」という音がいい。
それで言えば鋳物の風鈴が一番いい音を立てる。
明珍の鉄火箸で作った風鈴なんかは信じられないほど良い音がする。加えて余韻が凄い。
もう「暑気払い」なんて目的から昇華されて、音楽会かなんかでタキシードに蝶ネクタイの奏者が慇懃に会釈をした後、おもむろにハープを奏でるように一撫で。「リーン」という音の余韻だけを数十秒楽しむ、「香道」みたいな「音道」の世界のもの、みたいな感じにまでなっている。
でも、風鈴って耳だけでなく、目でも楽しむものだから。旧来の釣り鐘型の風鈴があれば・・・・・。
ガラスの風鈴は見た目の涼しさと違って少しくぐもった、それでいて乾いた高めの音を立てる。鋳物は金属特有のキーンと透き通った音を立てる。
それぞれが夏の音色だと思う。
仕舞いそびれた秋の風鈴は「物悲しい」を一気に通り越して何とも寒々しい音を立てる。勿論、鋳物の方がその感じは強い印象がある。
というわけで、十数年ぶりに風鈴を二つ。
九月、秋風が立つとガラスの風鈴を吊り下げようと思っている。