「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)6月24日(木曜日)弐
通巻第6963号
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表現の自由よ、さようなら。全体主義よ、こんにちは
香港リンゴ日報、最終巻は百万部を印刷
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6月24日、香港の自由の最後の砦だった「リンゴ日報」は最終号を編集し、印刷、配送した。百万部を印刷し、同時に24日午后零時をもってネット版も閉じた。
自由のために戦ってきたリンゴ日報は26年の歴史に幕を引いた。
言論の自由は消えた。
リンゴ日報本社の編集室には最終版の割り付け風景を撮影する世界各国のメディアが取材に殺到した。本社ビル周辺には香港市民数百があつまりスマホのライトを照らしながら、リンゴ日報の勇気を称えた。
香港で残るメディアのうち『大公報』『文わい報』『東方日報』は中国共産党の機関紙のごとく、中立は『明報』、やや共産党に批判的なのは英語媒体の『サウスチャイナ・モーニングポスト』だけとなった。
欧米メディアは拠点をシンガポール、ソウルなどへ移転した。とくにNYタイムズはソウルに拠点を移した。
日本のメディアで香港に支局があるのはNHKと日本経済新聞くらいで、あとは台北支局から出張取材している。
英国のドミニク・ラーブ外相は批判の声を強め、政治秩序を保つなどとして、言論の自由を警察力を使って圧殺するのは深刻な脅威であると記者会見した。
台湾の頼清徳副総統も批判し、「国境なき記者団」も言論の自由を冒涜するものと香港政庁の措置に強い抗議姿勢をしめした。珍しく日本のメディアも批判的な姿勢だった。