就職指導室の徳永です。
面接試験の質問の定番が「最近気になったニュースは?」ですが、私が最近気になったニュースと言うより、最近よく見かけるニュースは、アメリカ・メジャーリーグのエンゼルスに移籍した大谷翔平選手の話題です。ピッチャーとバッターの二刀流は早くもアメリカの野球ファンを魅了しているようです。
しかし日本のプロ野球から人気選手が抜けてしまうのはとても寂しいです。マー君こと田中将大選手はヤンキース、マエケンこと前田健太選手はドジャース。野球ファンとしては、日本の人気選手がアメリカに渡って活躍するのは嬉しいことですが、日本のプロ野球の試合がなんだか二軍戦のようにも思えてしまいます。
読売ジャイアンツに松井秀喜選手がいたころ、打った瞬間にホームランとわかる素晴らしい打球を東京ドームで見たことがあります。しかし、そこで私の記憶が途切れています。その後、松井選手はメジャーリーグのヤンキースに移籍、数チームを渡り歩き、アメリカで現役を引退しました。
一方で、燃え尽きる寸前、日本の野球界に帰ってきた選手もいます。今年、中日ドラゴンズに入団した松坂大輔選手です。12年ぶりの日本での勝利は見事でした。
松坂選手は、「平成の怪物」と言われた豪速球投手で、平成11年に西武ライオンズに入団しました。デビュー前の高知県の春野球場に、前職の私も報道陣のひとりとして行きました。報道陣の人数も異常なほど多く、ブルペンでの松坂投手を必死の思いで取材して、やっとお昼を迎えました。
放送室が休憩スペースとしてあてがわれました。そして、朝予約しておいた弁当を手にしたときでした。あまりの報道陣の多さから椅子やテーブルの上にカメラバックが置かれていて座るスペースがありませんでした。途方に暮れている私に、「こっちあいてるぞ」と声をかけ呼んでくれた人がいました。それは放送用のマイクがある方から聞こえてきました。これでゆっくりおひるご飯を食べることができると、その人にお礼を言って横に座りました。その人は振り返らず、「うん」と言っただけです。きっと荷物を寄せて無理やりスペースを作ってくれたのだろうと思いました。弁当を食べていると、狭いので、その人と足や腕が摺りあってしまいます。ずいぶん固い体をした人だな、ちょうど鉄のように。そう思ったとき、テーブル上に置かれていた取材許可証が目に入りました。「テレビ朝日・衣笠祥雄」と書かれていました。
先月、残念ながら、衣笠さん急逝を伝えるニュースが流れました。2215試合連続出場で国民栄誉賞に輝いた衣笠さん。「こっちあいてるぞ」と優しい声が聞こえてくるようです。