


梅雨前のこの季節は、里山にもアブや蜂、ハエなどの虫が飛び始め鬱陶しいのですが、そんな森の中で陽の光を浴びて宝石のように光っているのがグミとモミジイチゴです。日曜日にふらっと出かけた武田信玄ゆかりの茶臼山で、このふたつを見かけました。
グミは、漢字で書くと茱萸、または、胡頽子。グミはグイ実の略されたもので、グイとは棘(とげ)の意味。つまり、棘のある木の実ということです。お菓子のグミは、ドイツ語でゴムのことで、果実のグミとは無関係です。
グミ科には、ナツグミ、トウグミ、アキグミとか色々あるのですが、このグミはなんていうのでしょうね。いわゆるグミの実にある白っぽい点々がなく艶があります。葉はグミなんですが…。林下にあるためか果実もやや小さめでした。渋みは全くなく、柔らかな甘さだけが残る美味しいグミでした。後で調べたところ、ミヤマウグイスカグラの実と分かりました。別名田植えグミなどと呼ばれます。
そして、モミジ形の葉の下に隠れるように白い花が咲き、オレンジ色のきれいな実も葉の下になるので、なかなか見えないのがモミジイチゴです。数あるキイチゴ(木苺)の中では最も美味しいイチゴです。黄苺ともいいます。梅雨時の山歩きで、鬱陶しいときにこのキイチゴに出会って口に含むととても爽やかになるのです。酸味もあってジャムも作れますが、枝にトゲがあるし実が小さいのでたくさん採るのは大変です。
キイチゴは、千曲川右岸の山には、主にエビガライチゴが、左岸にはモミジイチゴが多く見られます。土質のちがいでしょうか。エビガライチゴ(海老殻苺)も美味しいキイチゴですが、細かな刺のある硬い枝が張りだし、登山道や林道を塞いでしまうこともある、ちょっと厄介者でもあります。
梅雨入り前の茶臼山は、ときおり爽涼な風が吹いてモミジイチゴやグミの実をゆらしていました。あいにく鹿島槍ヶ岳や白馬三山など北アルプスの絶景は見られませんでしたが、この時期ならではの森の宝石に出会えたので満足の山行でした。
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