


今年の夏は雨が多く、やや冷夏で夏キノコは大盛況でしたが、逆に9月の気温が高く雨がほとんど降りませんでした。そのため秋のキノコは大不作と聞いています。確かに妻女山近辺でも毒キノコさえ見られません。それでももう少し高いところへ行けばと出かけてみました。
朝8時過ぎ、標高800m辺りに車を止め山道を登り始めると、上から鈴の音が聞こえてきました。もう取り終えたのかな、それにしても戻りが早いなと思っていると、丸々とした芝犬を連れたおじさんが大きな籠を背負って下りてきました。採れましたかと尋ねると、ダメダメ毒キノコ1本さえない、との応え。やはりここもだめかと、落胆しつつ上の方は行きましたか?と尋ねると、いや行っていないとのこと。一縷の望みを持って登り始めました。
着いた所は熊も棲息する標高1000m以上の山中。山道を外れて急斜面に突入です。しかし、全く見あたりません。探しているのは主に時候坊。滑りの非常に強い、甘い香りのキノコです。ここ一週間雨は適度に降ったのですが、気温が高すぎます。森の中を歩いていても汗ばむほど。同様に地温も高いのでキノコが出ないのです。そこで、こんな時でも出そうなポイントだけを狙って探索。ポツポツと採れ出しましたが、100m四方に2、3本の割合。大発生すれば、道の上から森の中まで何人入っても採りきれないほど出るのですが…。出ない時というのはこんなものです。
森も紅葉が遅れていてなんだか秋の森に来た気がしません。それでも日当たりの良い林道に出ると、ヤマザクラ、ヌルデ、ヤマウルシ、ハギなどの紅葉は始まっています。今年は、今のところ秋キノコは不作ですが、山栗は大豊作でした。ドングリも豊作で、山の動物たちは大喜びでしょう。この間も鏡台山で木の実をたくさん食べた月の輪熊の大きな糞を見たばかりです。
まだ緑の多い山ですが、ツルリンドウの赤紫の実が地を染め、コムラサキの紫の粒が林間にたくさん浮いています。珍しいナンキンナナカマドの赤い実も見つけました。オオシワカラカサタケの群生を見つけました。可食?とありますが、粉っぽい匂いを嗅ぐととても食べる気にはなりません。
そして、帰り際に日当たりの良い斜面で見つけたピンク色の花。キク科かなと思うのですが、花後の菱形が碁盤の目に並んだ形が特徴的で、記憶の隅にあるんですが思い出せません。なにかの花に似ていると思っていたのですが…。そうです高原の花、マツムシソウです。やはり、これもマツムシソウ科のナベナ(鍋菜)という花でした。目立たない地味な花なので、アサマヒゴダイと同様に、見ようとしなければ見えてこない花かもしれません。
★鏡台山のトレッキングは、フォトドキュメントの手法で綴るトレッキング・フォトレポート【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】にアップしました。アサギマダラの特集も。どうぞご覧ください。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。キノコ、粘菌、秋の花、昆虫、樹木、蝶などを更新しました。トレッキング・フォトルポにない写真も掲載してあります。