山の除草に行ったついでに、写真撮影をしました。オオムラサキも先週の倍ぐらいの数になりました。メスはまだ発生していません。もうそろそろですが。昨年よりは少し遅れているようです。しかも発生しているのは、長野市側だけ。空中散布した千曲市川は、今年は全く見られません。千曲市側の天城山林道を調査しましたが、ここは4年前まではゼフィルスの宝庫でした。しかし、今回は1頭も見られないばかりか、それ以外の昆虫もほとんど見られませんでした。恐ろしい事態が起きているように思います。
これは長野市側のシオカラトンボのオスです。成熟すると青っぽい色になりますが、メスは黄色っぽいままでムギワラトンボともいいます。蜻蛉の背中はメカニカルで好きです。オナガサナエのオスが枯れ葉に留まりました。今年はドクガ科のオオヤママイマイが大量発生しています。どこでも見られるのはそれだけ。異常事態です。
これも長野市側。ヤマトシジミが2頭、シロツメクサで吸蜜していました。ベニシジミが1等舞ってきました。林道から山仲間で蝶の研究家のTさんが歩いてきました。手には長い捕虫網を持っています。写真を撮りに来たそうですが、第一声は「何にもいない。ぜんぜんいない」でした。妻女山山系は全滅状態だそうです。彼は何年にも渡って長野市や千曲市の里山の蝶の観測をしていますが、ここ3年ばかりの千曲市のゼフィルス(シジミチョウ)の絶滅とも思える極端な減少は、間違いなく松枯れ病の空中散布によるものだと言っています。それしか考えられないと。しかも、農薬を有機リン系からネオニコチノイド系の変えたころから始まったと。千曲市と坂城町が空中散布したのは、ネオニコチノイド系のエコワン3フロアブルです。以前は十数種類もいたゼフィルスが、今はほとんど見られなくなってしまいました。以前は見られたニホンミツバチも全く見なくなりました。ハナアブも激減しています。
ネオニコチノイド系農薬の毒性については、2013年に金沢大学教授山田敏郎さんの研究によって蜂群が最終的に消滅することが確認されました。フランスでは2006年から使用禁止。2007年春までに、北半球の4分の1のミツバチが消えてしまったという報告があるのです。山田教授は「神経系に障害を起こすネオニコ系農薬によって、ミツバチは帰巣能力を失ったのでは」としているのです。
ネオニコチノイド系農薬は神経毒で、あのベトちゃんドクちゃんを生んだベトナム戦争の枯葉剤、遺伝子組み換え作物で悪名高きモンサント社のラウンドアップと同系統のものなのです。農薬メーカーがいう安全性などなんの保証にもなりません。現実にゼフィルスやニホンミツバチ、ハナアブなどが激減しているのがなによりの証明です。林野庁もあてになりません。
山田教授によると、同じく毒性が強くても、有機リン系など従来の農薬の場合は、巣箱の周囲にミツバチの死骸が落ち、時間が経つとともにミツバチの数は回復していくといわれています。教授は、「ネオニコは、毒性が強く分解しにくく、『農薬』というより『農毒』に近い。このまま使い続け、ミツバチがいなくなれば農業だけでなく生態系に大きな影響を与える。ネオニコの危険性を多くの人に知ってもらいたい」と語っているのです。神経毒では、100円ショップで売られているグリホサート系除草剤も極めて危険。殺虫剤も危険です。
既に危険極まりない毒物であるというエビデンスが出ているのです。それにもかかわらず使い続ける坂城町と千曲市は、愚かすぎて言葉もありません。Kさんによると、千曲市の一重山や坂城町の葛尾城跡辺りの山もゼフィルスは壊滅状態だそうです。もし来年から散布を止めたとしても、回復には5年ぐらいかかるかもしれないということです。止めなければいずれ全ての昆虫が絶滅し、やがて人的被害も出るでしょう。実際千曲市では、子供の発達障害が既に出ているという報告もあります。千曲市の農家のある方は、水田で使っているネオニコチノイド系の除草剤やカメムシ対策の殺虫剤が非常に危険だと思う。あんな米を食べていたらいずれ病気になると言っていました。農家の方でも勉強して分かっている人はいるのです。(写真はヤマトシジミ)
ヒメウラナミジャノメがハルジオンで吸蜜中。キチョウがオカトラノオで吸蜜中。ありふれた蝶ですが、活発に飛び回るのでなかなか撮影が難しい蝶です。ただこちらも以前と比べると、数は著しく減っています。オオムラサキは六文銭が好きなようです。鬼瓦の六文銭に1等翅を広げて留まっています。その周りを飛ぶもう1等。Kさんによると、長野市側のものも発生が山の南面の千曲市の場合は壊滅状態になるだろうと。実際、長野市側にもかかわらず、林道倉科坂線のゼフィルスは壊滅状態だそうです。
地面に下りて吸汁。まだまだ翅は傷んでおらず綺麗です。羽化不全の奇形の蝶も今のところ見ていません。空中散布をする頃には、オオムラサキは終齢幼虫か蛹になっているので、影響が少ないのかもしれません。しかし、大量発生していた千曲市側の長坂峠南面では、1頭も確認できませんでした。こんなことは初めてです。
昨年の今頃は既に樹液が出始めていたので、コナラやクヌギの樹液バーは大賑わいだったのですが、今年はまだ出ていないので、仕方なく地中に染み込んだ水分を吸っています。これも長野市側です。
これはコンクリートの上の水分を吸っているところ。オオムラサキに限らず、タテハチョウ科の蝶は、こういう習性を見せることがあるようで、コンクリートに含まれる石灰成分を吸っているのではないかなどという人もいますが、真相はまだ分かっていません。乾ききった砂に口吻を挿して何かを吸うなど不可思議な生態は色々あります。
ハルジオンに見慣れない昆虫が来ました。ハナアブに似ていますが、甲虫のような翅なので、ひと目で違うとは分かりました。ヒメトラハナムグリでした。撮影したのは今回が初めてです。シオヤアブが獲物を捉えて留まりました。なかなかのハンターで、ゼフィルスも犠牲になることがあります。桐の実がたくさん成っています。
妻女山展望台から見える景色はますます緑が濃くなってきました。左の茶臼山。その右奥の雲が少しかかる虫倉山。右手前の白い崖は中尾山。今秋も中尾山-茶臼山ハイキングのインストラクター(インタープリター)をします。ミニ講演会では、昨年は歴史について語ったので、今年は自然について面白い話をしようと考えています。写真も用意しましょう。もちろん、ネオニコチノイド系やグリホサート系農薬の危険性についても話すつもりです。
■必見資料
★NO! ネオニコ(子どもとミツバチのいのちを守る)
★蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかいしょうこうぐん、Colony Collapse Disorder、CCD)
★空中散布・松枯れ
★2014年度 松枯れ対策等の農薬空中散布予定
★長野県での空中散布廃止を求める活動 (長野県千曲市 池田靖子さん)
★反農薬東京グループのホームページ
★松枯れの原因・対策(木のお医者さん)
★オオムラサキの保護活動、妻女山里山デザイン・プロジェクトの記録。目次の一番下の妻女山SDPをクリック!
★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。
これは長野市側のシオカラトンボのオスです。成熟すると青っぽい色になりますが、メスは黄色っぽいままでムギワラトンボともいいます。蜻蛉の背中はメカニカルで好きです。オナガサナエのオスが枯れ葉に留まりました。今年はドクガ科のオオヤママイマイが大量発生しています。どこでも見られるのはそれだけ。異常事態です。
これも長野市側。ヤマトシジミが2頭、シロツメクサで吸蜜していました。ベニシジミが1等舞ってきました。林道から山仲間で蝶の研究家のTさんが歩いてきました。手には長い捕虫網を持っています。写真を撮りに来たそうですが、第一声は「何にもいない。ぜんぜんいない」でした。妻女山山系は全滅状態だそうです。彼は何年にも渡って長野市や千曲市の里山の蝶の観測をしていますが、ここ3年ばかりの千曲市のゼフィルス(シジミチョウ)の絶滅とも思える極端な減少は、間違いなく松枯れ病の空中散布によるものだと言っています。それしか考えられないと。しかも、農薬を有機リン系からネオニコチノイド系の変えたころから始まったと。千曲市と坂城町が空中散布したのは、ネオニコチノイド系のエコワン3フロアブルです。以前は十数種類もいたゼフィルスが、今はほとんど見られなくなってしまいました。以前は見られたニホンミツバチも全く見なくなりました。ハナアブも激減しています。
ネオニコチノイド系農薬の毒性については、2013年に金沢大学教授山田敏郎さんの研究によって蜂群が最終的に消滅することが確認されました。フランスでは2006年から使用禁止。2007年春までに、北半球の4分の1のミツバチが消えてしまったという報告があるのです。山田教授は「神経系に障害を起こすネオニコ系農薬によって、ミツバチは帰巣能力を失ったのでは」としているのです。
ネオニコチノイド系農薬は神経毒で、あのベトちゃんドクちゃんを生んだベトナム戦争の枯葉剤、遺伝子組み換え作物で悪名高きモンサント社のラウンドアップと同系統のものなのです。農薬メーカーがいう安全性などなんの保証にもなりません。現実にゼフィルスやニホンミツバチ、ハナアブなどが激減しているのがなによりの証明です。林野庁もあてになりません。
山田教授によると、同じく毒性が強くても、有機リン系など従来の農薬の場合は、巣箱の周囲にミツバチの死骸が落ち、時間が経つとともにミツバチの数は回復していくといわれています。教授は、「ネオニコは、毒性が強く分解しにくく、『農薬』というより『農毒』に近い。このまま使い続け、ミツバチがいなくなれば農業だけでなく生態系に大きな影響を与える。ネオニコの危険性を多くの人に知ってもらいたい」と語っているのです。神経毒では、100円ショップで売られているグリホサート系除草剤も極めて危険。殺虫剤も危険です。
既に危険極まりない毒物であるというエビデンスが出ているのです。それにもかかわらず使い続ける坂城町と千曲市は、愚かすぎて言葉もありません。Kさんによると、千曲市の一重山や坂城町の葛尾城跡辺りの山もゼフィルスは壊滅状態だそうです。もし来年から散布を止めたとしても、回復には5年ぐらいかかるかもしれないということです。止めなければいずれ全ての昆虫が絶滅し、やがて人的被害も出るでしょう。実際千曲市では、子供の発達障害が既に出ているという報告もあります。千曲市の農家のある方は、水田で使っているネオニコチノイド系の除草剤やカメムシ対策の殺虫剤が非常に危険だと思う。あんな米を食べていたらいずれ病気になると言っていました。農家の方でも勉強して分かっている人はいるのです。(写真はヤマトシジミ)
ヒメウラナミジャノメがハルジオンで吸蜜中。キチョウがオカトラノオで吸蜜中。ありふれた蝶ですが、活発に飛び回るのでなかなか撮影が難しい蝶です。ただこちらも以前と比べると、数は著しく減っています。オオムラサキは六文銭が好きなようです。鬼瓦の六文銭に1等翅を広げて留まっています。その周りを飛ぶもう1等。Kさんによると、長野市側のものも発生が山の南面の千曲市の場合は壊滅状態になるだろうと。実際、長野市側にもかかわらず、林道倉科坂線のゼフィルスは壊滅状態だそうです。
地面に下りて吸汁。まだまだ翅は傷んでおらず綺麗です。羽化不全の奇形の蝶も今のところ見ていません。空中散布をする頃には、オオムラサキは終齢幼虫か蛹になっているので、影響が少ないのかもしれません。しかし、大量発生していた千曲市側の長坂峠南面では、1頭も確認できませんでした。こんなことは初めてです。
昨年の今頃は既に樹液が出始めていたので、コナラやクヌギの樹液バーは大賑わいだったのですが、今年はまだ出ていないので、仕方なく地中に染み込んだ水分を吸っています。これも長野市側です。
これはコンクリートの上の水分を吸っているところ。オオムラサキに限らず、タテハチョウ科の蝶は、こういう習性を見せることがあるようで、コンクリートに含まれる石灰成分を吸っているのではないかなどという人もいますが、真相はまだ分かっていません。乾ききった砂に口吻を挿して何かを吸うなど不可思議な生態は色々あります。
ハルジオンに見慣れない昆虫が来ました。ハナアブに似ていますが、甲虫のような翅なので、ひと目で違うとは分かりました。ヒメトラハナムグリでした。撮影したのは今回が初めてです。シオヤアブが獲物を捉えて留まりました。なかなかのハンターで、ゼフィルスも犠牲になることがあります。桐の実がたくさん成っています。
妻女山展望台から見える景色はますます緑が濃くなってきました。左の茶臼山。その右奥の雲が少しかかる虫倉山。右手前の白い崖は中尾山。今秋も中尾山-茶臼山ハイキングのインストラクター(インタープリター)をします。ミニ講演会では、昨年は歴史について語ったので、今年は自然について面白い話をしようと考えています。写真も用意しましょう。もちろん、ネオニコチノイド系やグリホサート系農薬の危険性についても話すつもりです。
■必見資料
★NO! ネオニコ(子どもとミツバチのいのちを守る)
★蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかいしょうこうぐん、Colony Collapse Disorder、CCD)
★空中散布・松枯れ
★2014年度 松枯れ対策等の農薬空中散布予定
★長野県での空中散布廃止を求める活動 (長野県千曲市 池田靖子さん)
★反農薬東京グループのホームページ
★松枯れの原因・対策(木のお医者さん)
★オオムラサキの保護活動、妻女山里山デザイン・プロジェクトの記録。目次の一番下の妻女山SDPをクリック!
★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。