モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

今回の妻女山SDPには、4歳の天使が舞い降りて皆メロメロ(妻女山里山通信)

2014-07-23 | アウトドア・ネイチャーフォト
 連休最終日の妻女山SDP(里山デザイン・プロジェクト)は、帰化植物の除草作業でした。人海戦術となるはずでしたが、都合が悪い人が続出で、結局たった三名での作業となりました。しかし、今回は方法を変えたため、それでも1時間余りで終了しました。以前は、刈払い機を使って全部刈っていたのですが、その方法だと同じ様に皆また生えてきてしまうので、今回は春頃から対象の帰化植物のみを少しずつ刈っていたのです。それが非常に効果的であるということが分かったので、今回はその総仕上げの作業となりました。

 対象となる帰化植物は、主にヨウシュヤマゴボウとオオブタクサです。特にオオブタクサは、放っておくと2m以上になり、秋に大量の花粉を飛ばして酷い花粉症を引き起こします。また、他の在来種を駆逐してしまいます。ということで、今回はナタ鎌と鎌で、選択的に除草。春から少しずつ除草を何度も重ねてきたので、3人でも割りと簡単に済ませることができました。しかし、いずれにせよ絶滅させるということは不可能です。農薬を使えば必ず自分たちに戻ってきますし・・。
 その後は山を下って、椎茸のホダ木の点検です。椎茸栽培の天敵、ゴムタケの除去作業。この梅雨は、北信にしてはよく雨が降るパターンだったので、ゴムタケが異常繁殖。名前のようにゴムの様な弾力で、湿度が高いと出てきます。必ずしもゴムタケが出るとホダ木が駄目になるということではないのですが、胞子を出して異常繁殖されても困るので、除去します。ゴムタケはムコ多糖で癌に効くという話もあります。N氏がかじってみましたが、ゴムだな。味はないとの感想。実は私も食べてみたことがありますが、もの凄く弾力のあるキクラゲという感じ。旨味はありません。ただ、栄養はあるので、なんとか美味しい食べ方はないかなと思っています。とりあえず茹でてわさび醤油とか、キクラゲと同じ扱いで中華炒めがいいと思います。

 作業を終えて、冷茶や最近私がお気に入りの畑で採れたカモミールアイスティーなんぞを飲みながら、今回初めてBBQに招待したお客様3名を待ちました。やがて現れたのは2名。なんでも小4のお兄ちゃんは昨日までのキャンプで疲れて欠席とか。お母さんに付いてきた4歳のちびっ子は、最初はオドオドしていましたが、途中でオオムラサキ達のいるコナラの大木に寄ったら、感情が一気にマックスになりました(笑)。そして故Kさんのログハウスへ。
 前回、猟師のTさんから頂いた鹿肉と猪をマリネしておいたものを焼いて、野菜は食べきれないほどの夏野菜を大量に持ってきました。それと今回は欠席でしたが、K氏が作った幻の小麦粉、伊賀築後オレゴン(通称イガチク)でN氏の奥様が作ったパンと手打ちうどん。うどん作るから手伝ってというと、虫と遊んでいたちびっ子が嬉々としてやってきました。N氏の指示で小野式製麺機を回すと、うどんが出てくる出てくる。この辺りでまた、彼の感動はマックスに。そうなんです。男の子です。N氏もS氏も最初女の子だと思っていたようです。男の子と分かってからは、N氏とR君はお珍々談義に花を咲かせていました。結局R君は全部のうどんを作りました。イガチクは、採りたて挽きたてなので、ちょっと若い熟成していない感じはしましたが、なんとも言えない甘みとコクが有り美味でした。私が作った夏用辛味大根をお母さんのYさんにおろしてもらって長ネギと薬味にしたのですが、これがまた絶品。もうひとつのドライフルーツを入れたパンも味わい深いものでした。今回来られなかったメンバーは、損をしましたね(笑)。

 おしゃべりに興じながらの昼食の後に、R君をイワナがいる泉に案内しました。第四次川中島合戦の折に上杉謙信が陣用水にしたと伝わる泉です。残念ながら雨で泉の水が濁っていて、いつもは見えるイワナが見えませんでしたが、イガチクのパンを小さくちぎって投げ入れると、一匹のイワナが浮かんできて食べました。ちゃんとR君も見た様です。その後は、ログハウス隣の円墳へ。横穴式なので石室の中に入ることができます。これも興奮していましたね。天井になんかいる。動いてると言って。いやあ案内しがいのあるちびっ子です。内部はK氏が子供の頃、野菜の冷蔵室に使っていたという様に、ひんやりしています。外とは10度ぐらい気温差があるのではないでしょうか。昔、怪我をした子供のニホンカモシカが、この中に避難していたと故Kさんから聞いたことがあります。

 当日は、靄ってはいましたが、時折吹くのは爽涼な風でした。眼下の千曲川は上流で降った雷雨で濁っていましたが、これは梅雨明けだね、という午後。しかし、去年はあんなにいた昆虫たちがほとんどいません。去年は煩いほどいたカメムシさえ。たった1頭オオムラサキのメスがログハウスのデッキの中を通りすぎて行きました。セミも少なめです。豪雪の影響も考えられますが、やはり、7.5倍の高濃度で空中散布したという松枯れ病の農薬が原因である蓋然性が高いと思われます。こんなに昆虫の少ない山は、帰郷して6年で初めてです。ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)などを引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。
必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)

 帰りにもう一度オオムラサキ達のいるコナラの樹液バーに立ち寄りました。アオカナブンが占領していましたが、別の樹液酒場にはオオスズメバチもいました。R君はアオカナブンにも触ったりして大興奮でしたね。ミヤマクワガタの死骸を見つけて持ち帰りました。昨年は見かけたルリボシカミキリが見られなかったのは残念ですが、実はこの朝、椎茸栽培のホダ木で2匹を発見しました。空中散布をした千曲市側では見ていません。オオムラサキも例年と比べると、10分の1位という異常事態です。とても経年変化の範疇と言えるようなものではありません。

 すると1頭のオオムラサキのオスが舞い降りてきて、コナラの幼木の葉に留まりました。お母さんのスマホを借りて早速撮影するR君。オスの翅は、羽化直後と違い、縄張り争いなどでかなり傷んでいますが、そういう自然の営みを知ることも大切です。彼も横浜の保育園より、今の村の保育園が気に入っているようです。保育園の給食の話とか色々してくれました。私も息子達をそう育てましたが、自然は豊かで理不尽。子供とて容赦はしません。だからこそいい学校なのです。遊ぶことが学ぶことに繋がる。心の自由度や読解力の豊かさ、他者に対する思いやりは、子供時代のスキンシップと自然との関わり方に因ると思います。大学時代に愛読したホイジンガーの『ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)』を思い出しました。また読んでみましょう。
「遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生まれけん 遊ぶ子供の声聞けば 我が身さへこそゆるがるれ」『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』
 これは平安時代の作です。技術が進歩しても感性は変わらない。むしろ退化しているかもしれません。技術だってそう。重機なしでピラミッドが造れますか。前方後円墳が造れますか。奢ってはいけない。その挙句の果ての福一の大事故なのです。
 今度は私が、ちょっとした特技を披露。留まって吸汁しているオオムラサキを手で摘んで捕獲して見せました。めったにしませんが、オスのゲリタニアやメスが卵を持っているかななどの観察の時にする方法です。これも驚いたようです。彼に渡そうとしましたが、いやいやをするのでお母さんに。彼のお母さん凄い!みたいな表情が可愛い。その後、脳内が子供のN氏が真似して捕獲。これは、要領が要ります。間違って翅の端を掴むと、自ら引きちぎって逃げてしまいます。
タップリと自然を堪能して、我々は山を下りました。余りに彼が興奮するので、私達は夜中にひきつけを起こさないかなと心配した程です。
 彼のお母さんは、『EARTH&SKY』というフェアトレード(公平貿易)のネットショップを開設しています。オーガニックコットンのベビー服や子供服など。スキンケアやオーガニックコーヒーも。一度覗いて見てください。家族や友人や親戚の出産祝いや誕生祝いなどにも最適だと思います。信州の自然溢れるブログも必見。ヨガも教えるそうなので、興味のある方はお問い合わせを。
 さて次の妻女山SDOPは、イガチクをどう食べるかでしょうか。

オオムラサキの保護活動、妻女山里山デザイン・プロジェクトの記録。目次の一番下の妻女山SDPをクリック!
 

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