梅雨明けが7月6日と早かった昨年は、樹液バーもあちこちにでき、昆虫の発生も多く、どこも大賑わいでした。今年の梅雨明けは、7月22日でしたが、樹液の出がよくありません。昆虫も少なめです。数少ない樹液バーでは、席の取り合いで熾烈な生存競争が毎日繰り広げられています。そんな樹液バーを4軒ほどはしごしてみました。樹液バーとか樹液酒場と呼ばれるのは、樹液にはエタノールや酢酸、糖分が含まれていて、空気に触れるとすぐに醗酵するからです。樹液には、糖質やアミノ酸、リンゴ酸、ミネラル類などが豊富に含まれているので、昆虫たちの重要な栄養源になるのです。メープルシロップを思い出してもらうと分かりますが、コナラやクヌギの樹液も舐めるとかなり甘いのです。体の大きな人間には感じられませんが、昆虫たちにはかなりのアルコール分になるわけで、飲み過ぎてフラフラしているオオスズメバチを見ることもあります。
小さな樹液バーには、小さなコクワガタ(小鍬形)がいました。よく見るとオスのコクワの下にメスのコクワがいます。そうなんです。メスが吸汁している間、オスはずっとメスを守り続けているのです。ミヤマクワガタやカブトムシも同じ行動をします。他の昆虫が来ると執拗に追い払います。
隣のコナラの根本にカブトムシのオスがいました。様子が変です。弱っているようです。樹液が飲めていないのでしょう。1.5mほど上にある樹液バーへ向かってよろよろと登り始めましたが、途中で無理だと思ったのか飛び立ちました。しかし、カブトムシは飛翔が下手です。結局、上の樹液バーには辿りつけず、近くの小さなガマズミの木の葉に逆さにぶら下がって留まりました。長いことは無いかもしれません。樹液バーの席順では最上位にいるはずのカブトムシが、なぜ樹液にありつけないのでしょう。
その樹液バーでは、アオカナブンの団体さんが頭を突っ込んで吸汁中です。出ている部分が少ないので、ここでも熾烈な戦いが繰り広げられていました。
その樹液バーの下を見ると、4つの甲虫の死骸がありました。死因はいずれも餓死でしょう。席順が最上位のカブトムシが死んでいるのは、その角のせいなのです。角が邪魔をして、狭い隙間の樹液を吸えないのです。饅頭と呼ばれるメスは、角が無いので吸えます。ミヤマカミキリやアオカナブンは、席の取り合いに負けたのです。
そんな席の取り合いに負けて地面に叩き落とされたアオカナブンのオスメス2匹が、根本で出会いました。意気投合したかどうかは分かりませんが、オスがメスの背中に取り付きました。メスは最初迷惑そうで振り落とそうともしましたが、結局オスを背負ったまま1.5m上の樹液バーまで登りました。そして、席を取ろうと必死に先客を排除しにかかりましたが、なかなかどいてくれません。結局無理やり席取りに成功。このオスはメスを見る目があったということでしょうか。
また別の樹液バーでは、オオスズメバチ2匹が占領中。オオムラサキや小さな甲虫やハエが来ましたが、全て頭突きで追い払いました。オオスズメバチが追い払えないのは、カブトムシとミヤマクワガタぐらいです。
アオカナブンの団体さんが陣取る樹液バーにゴマダラチョウが訪れました。オオムラサキの近縁種で、食草も同じエノキです。アオカナブンの隙間から、長い口吻を差し込んで吸汁を始めました。
さらに別のアオカナブンの樹液バーには、オオムラサキが訪れました。アオカナブンやカブトムシの中に口吻を差し込むのは危険も伴います。毎年、口吻が途中で切れた個体を必ず見ます。それで死ぬことはないようですが、短いと甲虫達の隙間から吸汁するのが難しくなります。
樹液バーを離れて、長坂峠の草むら(叢)に行ってみました。ジャノメチョウが舞っています。クロアゲハが、葉で休んでいました。すると下から年配の男性が登ってきました。斎場山古墳を見に来たそうです。いつもならアブやハエに煩いほどたかられるのに、今年は虫が少ないねえと言っていました。気づいている人は気づいているのです。彼が斎場山の標識にバッタが留まっているのに気が付きました。セミの抜け殻、空蝉(うつせみ)の横にミヤマフキバッタがいます。しかし、変です。胴がだらしなく伸びきっています。触ってみるとわずかに脚を動かしましたが、もう動けないようです。バッタ茸に取り付かれたようです。菌がバッタに取り付くと、高い方へ誘い、瞬殺します。中で菌を増殖させ胞子を飛ばします。高い方へ誘うのは、なるべく遠くへ胞子を飛ばすためです。そのことを話すと、とても驚かれていました。
空蝉というと、源氏物語と一青窈を思い出します。
「いにしへもしかにあれこうつせみも嬬(妻)を争ふらしき」:万葉集
椎茸栽培のホダ木の場所へ下りると、ルリボシカミキリが3匹いました。この日はなんだか活性が低くて、あまり動き回りませんでした。交尾が済んで、やれやれというところでしょうか。
帰りに妻女山展望台裏の四阿に立ち寄りました。向こうに茶臼山が見えます。そうだ、次は茶臼山に行こうと決めました。茶臼山は長野市の中なので、ネオニコチノイド系殺虫剤の空中散布をしていません。昆虫の発生具合を比較できるかもしれません。
必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。
★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。
★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。
小さな樹液バーには、小さなコクワガタ(小鍬形)がいました。よく見るとオスのコクワの下にメスのコクワがいます。そうなんです。メスが吸汁している間、オスはずっとメスを守り続けているのです。ミヤマクワガタやカブトムシも同じ行動をします。他の昆虫が来ると執拗に追い払います。
隣のコナラの根本にカブトムシのオスがいました。様子が変です。弱っているようです。樹液が飲めていないのでしょう。1.5mほど上にある樹液バーへ向かってよろよろと登り始めましたが、途中で無理だと思ったのか飛び立ちました。しかし、カブトムシは飛翔が下手です。結局、上の樹液バーには辿りつけず、近くの小さなガマズミの木の葉に逆さにぶら下がって留まりました。長いことは無いかもしれません。樹液バーの席順では最上位にいるはずのカブトムシが、なぜ樹液にありつけないのでしょう。
その樹液バーでは、アオカナブンの団体さんが頭を突っ込んで吸汁中です。出ている部分が少ないので、ここでも熾烈な戦いが繰り広げられていました。
その樹液バーの下を見ると、4つの甲虫の死骸がありました。死因はいずれも餓死でしょう。席順が最上位のカブトムシが死んでいるのは、その角のせいなのです。角が邪魔をして、狭い隙間の樹液を吸えないのです。饅頭と呼ばれるメスは、角が無いので吸えます。ミヤマカミキリやアオカナブンは、席の取り合いに負けたのです。
そんな席の取り合いに負けて地面に叩き落とされたアオカナブンのオスメス2匹が、根本で出会いました。意気投合したかどうかは分かりませんが、オスがメスの背中に取り付きました。メスは最初迷惑そうで振り落とそうともしましたが、結局オスを背負ったまま1.5m上の樹液バーまで登りました。そして、席を取ろうと必死に先客を排除しにかかりましたが、なかなかどいてくれません。結局無理やり席取りに成功。このオスはメスを見る目があったということでしょうか。
また別の樹液バーでは、オオスズメバチ2匹が占領中。オオムラサキや小さな甲虫やハエが来ましたが、全て頭突きで追い払いました。オオスズメバチが追い払えないのは、カブトムシとミヤマクワガタぐらいです。
アオカナブンの団体さんが陣取る樹液バーにゴマダラチョウが訪れました。オオムラサキの近縁種で、食草も同じエノキです。アオカナブンの隙間から、長い口吻を差し込んで吸汁を始めました。
さらに別のアオカナブンの樹液バーには、オオムラサキが訪れました。アオカナブンやカブトムシの中に口吻を差し込むのは危険も伴います。毎年、口吻が途中で切れた個体を必ず見ます。それで死ぬことはないようですが、短いと甲虫達の隙間から吸汁するのが難しくなります。
樹液バーを離れて、長坂峠の草むら(叢)に行ってみました。ジャノメチョウが舞っています。クロアゲハが、葉で休んでいました。すると下から年配の男性が登ってきました。斎場山古墳を見に来たそうです。いつもならアブやハエに煩いほどたかられるのに、今年は虫が少ないねえと言っていました。気づいている人は気づいているのです。彼が斎場山の標識にバッタが留まっているのに気が付きました。セミの抜け殻、空蝉(うつせみ)の横にミヤマフキバッタがいます。しかし、変です。胴がだらしなく伸びきっています。触ってみるとわずかに脚を動かしましたが、もう動けないようです。バッタ茸に取り付かれたようです。菌がバッタに取り付くと、高い方へ誘い、瞬殺します。中で菌を増殖させ胞子を飛ばします。高い方へ誘うのは、なるべく遠くへ胞子を飛ばすためです。そのことを話すと、とても驚かれていました。
空蝉というと、源氏物語と一青窈を思い出します。
「いにしへもしかにあれこうつせみも嬬(妻)を争ふらしき」:万葉集
椎茸栽培のホダ木の場所へ下りると、ルリボシカミキリが3匹いました。この日はなんだか活性が低くて、あまり動き回りませんでした。交尾が済んで、やれやれというところでしょうか。
帰りに妻女山展望台裏の四阿に立ち寄りました。向こうに茶臼山が見えます。そうだ、次は茶臼山に行こうと決めました。茶臼山は長野市の中なので、ネオニコチノイド系殺虫剤の空中散布をしていません。昆虫の発生具合を比較できるかもしれません。
必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。
★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。
★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。