2月26日に千曲市戸倉と倉科の節分草が開花したとの一報が入りました。しかしその後一日か二日ごとに雪が降ったためその後の開花が遅れています。とりあえず倉科の群生地に行ってみました。この日も1センチほどの積雪がありました。行ってみるとほとんど咲いていませんでした。12日にかなりの積雪があったため三分から五分咲きですが、満開は20日頃でしょう。
セツブンソウ(節分草)は、キンポウゲ科セツブンソウ属で、本州の関東地方以西に分布する、高さ10センチほどの小さな多年生草本。花の直径は1から2センチ。花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。千曲市が長野県の北限です。東京ではいつも1月に咲いていました。
前夜の降雪のために林下は真っ白です。わずかに節分草が咲いていたのは、写真の入口の左側の雪のない部分だけです。見頃は来週でしょう。昨年は戸倉に行きましたが、8日には満開でした。
可憐な節分草は早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物で、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春の儚い命)と呼ばれます。セツブンソウの種は、アリが巣に運んで発芽する虫媒花。アリ散布植物です。絶滅危惧種なので地元の方が大切に保護されています。
石灰質の土壌を好み、晩秋から冬の間に、地中深くにある黒褐色の塊茎から発芽します。種子から開花まで3年以上かかるわけですから、林床の環境が良い状態で続かないと生育できません。昔は雑木林に入って草刈りや灌木の除伐や薪拾いをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのだとか。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物だったのです。ですから、盗掘や自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です。
アリ散布植物は、セツブンソウ属やカタクリ属以外にスミレ属、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、エンレイソウ属などがあり、自然界におけるアリの働きの重要さが分かります。日本には、アリが絶滅すると絶えてしまう植物が200種以上あるのです。
一年目の節分草は葉が一枚で丸いのです。注意深く探すと必ず見つかります。一つの茎から二輪の花が咲くものもあります。今回は咲いている花の数が少なすぎて見られませんでした。
節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。
12日に雨が降れば雪は消えます。その後は気温が上がる予報なので節分草も来週末以降から見頃になるでしょう。戸倉の群生地の様子は昨年3月の記事をご覧ください。
とぼとぼと歩き去る猫。実はこの直前に私の車の横で石垣の間から顔を出した白いネズミを捕らえたのです。口に加えて満足気に去っていく後ろ姿です。
体が冷え切ってしまったので温泉へ。雪を冠った尾根の下の谷に節分草の群生地があります。これから紅梅、ロウバイ、ダンコウバイ、セリバオウレンなどが次々に咲き始めるので見過ごさないようにしないといけません。信州の春は始まったら駆け足で過ぎ去って行きます。今年は昨年同様に杏も桜も早そうです。
●インスタグラムはこちらをクリック。ツイッターはこちらをクリック。YouTubeはこちらをクリック。
もう一つの古いチャンネルはこちら。76本のトレッキングやネイチャーフォト(昆虫や粘菌など)、ブラジル・アマゾン・アンデスのスライドショー。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
セツブンソウ(節分草)は、キンポウゲ科セツブンソウ属で、本州の関東地方以西に分布する、高さ10センチほどの小さな多年生草本。花の直径は1から2センチ。花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。千曲市が長野県の北限です。東京ではいつも1月に咲いていました。
前夜の降雪のために林下は真っ白です。わずかに節分草が咲いていたのは、写真の入口の左側の雪のない部分だけです。見頃は来週でしょう。昨年は戸倉に行きましたが、8日には満開でした。
可憐な節分草は早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物で、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春の儚い命)と呼ばれます。セツブンソウの種は、アリが巣に運んで発芽する虫媒花。アリ散布植物です。絶滅危惧種なので地元の方が大切に保護されています。
石灰質の土壌を好み、晩秋から冬の間に、地中深くにある黒褐色の塊茎から発芽します。種子から開花まで3年以上かかるわけですから、林床の環境が良い状態で続かないと生育できません。昔は雑木林に入って草刈りや灌木の除伐や薪拾いをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのだとか。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物だったのです。ですから、盗掘や自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です。
アリ散布植物は、セツブンソウ属やカタクリ属以外にスミレ属、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、エンレイソウ属などがあり、自然界におけるアリの働きの重要さが分かります。日本には、アリが絶滅すると絶えてしまう植物が200種以上あるのです。
一年目の節分草は葉が一枚で丸いのです。注意深く探すと必ず見つかります。一つの茎から二輪の花が咲くものもあります。今回は咲いている花の数が少なすぎて見られませんでした。
節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。
12日に雨が降れば雪は消えます。その後は気温が上がる予報なので節分草も来週末以降から見頃になるでしょう。戸倉の群生地の様子は昨年3月の記事をご覧ください。
とぼとぼと歩き去る猫。実はこの直前に私の車の横で石垣の間から顔を出した白いネズミを捕らえたのです。口に加えて満足気に去っていく後ろ姿です。
体が冷え切ってしまったので温泉へ。雪を冠った尾根の下の谷に節分草の群生地があります。これから紅梅、ロウバイ、ダンコウバイ、セリバオウレンなどが次々に咲き始めるので見過ごさないようにしないといけません。信州の春は始まったら駆け足で過ぎ去って行きます。今年は昨年同様に杏も桜も早そうです。
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◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
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