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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

再び妻女山の陣場平へ。大きなカブトムシ・オオムラサキのメス。妻女山山系遠望と山座同定(妻女山里山通信)

2020-07-23 | アウトドア・ネイチャーフォト
 再び貴重な晴れ間なんですが、日がさす時間は短そうです。妻女山陣場平のクヌギの樹液バーへ。前回とは異なるメンバーがいました。ただ、アオカナブンは同じ個体かも知れません。

 前回、今年のカブトムシは小さめと書いたのですが、いました大きいのが。でもまだパートナーはいない様です。そして、オオムラサキのメス。アオカナブンも一匹。ただこのシチュエーションは、オオムラサキにとって少し危険です。カブトムシが吸汁しているのとほぼ同じ場所に口吻を差し込んでいます。時折カブトムシが右の前脚でオオムラサキをどかそうとしますが、ゆっくりでオオムラサキは少し避けますがどきません。何回目かでカブトムシの脚がオオムラサキに当たり、オオムラサキは飛び去りました。当たりどころが悪ければ、口吻が切れてしまうこともあります。6ミリぐらいに切れた個体を見たことがありますが、それでも元気に吸汁していました。
カブトムシのオスがメスを守る際に出す奇妙な鳴き声。花と虫と万葉集(妻女山里山通信)

 カブトムシの上から腹部、胸部、目と角のある頭部。口にはオレンジ色の毛があり樹液を吸います。息は腹部の左右に9つある気門でします。胸部から下に向かって曲がる短い角と、頭部の長い角で相手を挟んで、短い角を相手に刺してとどめを刺すこともあります。アオカナブンは例年ならば十数匹は集まるのですが、たった一匹。

 しばらくしてオオムラサキは戻ってきました。翅を開いたり閉じたりしながら樹液バーに向かいます。吸汁中に他の昆虫が来ると、翅をいっぱいに広げて阻みます。これにはオオスズメバチもかないません。翅が欠損していますが、地上でイノシシの糞を吸っているときにトカゲなどに襲われたか、縄張り争いで傷ついたのか。

 カブトムシが木を下りていったので安心して吸汁しています。口吻の黒い筋ですが、口吻は筒ではなく、二つの樋(とい)が合わさった構造をしています。羽化したときに合わさるのですが、まれにうまく合わさらなくて、隙間が開いて樹液が漏れていることもあります。昆虫なのに四本脚に見えるのは、前の二本が退化して胸に折りたたまれているからです。

(左)コナラの木を下りてきたカブトムシ。飛べばいいのにと思いますが、飛ぶのは得意ではないので、特に緊急事態でないときは歩きます。樹液バーのヒエラルキーではトップの座ですが、天敵はタヌキやカラスです。(右)登ってきたのは、ノコギリカミキリでしょうか。

 樹液バーにゆっくり向かうのは、コクワガタのメス。無事に樹液バーにたどり着けたでしょうか。例年なら見られるオオスズメバチ、コガタスズメバチ、チャイロスズメバチやカナブン、ミヤマカミキリなどは見られません。

 貝母群生地のある陣場平から林道を見たところ。オニグルミの木が何本もあります。9月に拾いに来ます。右から登っている林道は、標識のある中央を300mほど下ると堂平大塚古墳。左へそのまま登っていくと、天城山(てしろやま)経由で鞍骨山(鞍骨城跡)。鞍骨山まではここから約1時間です。

 倒木にヒメカバイロタケ。毒キノコではない様ですが、不食です。不味いのでしょうか。だれか食べてみたのかな。

 テングタケ科の猛毒のドクツルタケかと思ったのですが、つばがないのでシロツルタケでしょう。可食ですが、死の天使といわれるドクツルタケやシロタマゴテングタケとうり二つなので絶対に食べてはいけません。なんらかの理由で、つばが落ちていることもあるのです。ドクツルタケは、一本で8人分の致死量の毒があります。

 妻女山松代招魂社。戊辰戦争以降の戦没者を祀っています。例年なら、拝殿の屋根や壁にオオムラサキがたくさん集まって昼寝をしたり舞ったりするのですが、今年は一頭も見られません。招魂社までは舗装路があり車で登れますが、1〜3月は凍結で危険。特に3月が危ない。

(左)招魂社の拝殿の中の額には、真田幸民(ゆきもと)(1850年生~1903年没)ではなく、滋野幸民と書かれています。松代藩の第10代(最後)の藩主で、伊達政宗の男系子孫です。戊辰戦争で新政府軍として参戦。北越戦争、会津戦争へ出兵し、重要な戦功を挙げ、新政府から賞典禄3万石を加増されました。 (右)鳥居脇にある妻女山と招魂社の説明。妻女山とはここではなく、100m上の斎場山(里俗伝謙信本陣跡)のことです。それが書かれていないのは残念。誤解を生みます。川中島の戦いの説明は、江戸時代に作られた物語で、おおよそ史実ではありません。
明治の暁を見ることなく散った男達! 妻女山松代招魂社(妻女山里山通信):戊辰戦争とは。

 千曲川対岸の堤防上から見た妻女山山系。(陣馬平は誤りで、正しくは陣場平)
「妻女山」「妻女山 行き方」「妻女山 地図」「斎場山」「さいじょざん」「さいじょうざん」:陣場平と鞍骨城へも。地図と鞍骨城へのトレッキング・スライドショー。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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