約1週間ぶりに妻女山陣場平へ。週末にかなり雨が降ったので林道が泥濘状態と心配しましたが、雨水を逃がす溝をいくつも掘ったために難なく登れました。しかし落枝がすごく5回ほど停車して除去しました。撮影の前にまず貝母群生地の保全作業。出始めた外来有害植物のオオブタクサやハルジオンを抜き取ります。寡占してきたヒカゲイノコヅチ(日陰猪子槌)も適宜除去します。 ヒカゲイノコヅチは薬草で、根は通経、鎮痛、利尿作用があり、月経不順,産後出血、腰痛や関節痛、リウマチ、神経痛、打撲、小便難渋などに用いるそうです。茎にイノコヅチクキマルズイフシという虫こぶができます。
ヒレアザミ(鰭薊)が咲き始めました。茎には幅の広いひれがつき、その縁にも刺があります。ウスバシロチョウも好んで吸蜜する花です。
オオアマナ(大甘菜)キジカクシ科オオアマナ属の多年草。明治時代に入った帰化植物が野生化したものの様です。別名は、ベツレヘムの星。毒草です。
妻女山展望台裏の四阿から望む白馬三山。手前に茶臼山。右奥に虫倉山。麓には帰化した高句麗の豪族に由来する篠ノ井の市街。茶臼山中腹のリンゴも花はもう散っています。
妻女山駐車場に咲くハリエンジュ(針槐:ニセアカシア)。北米原産のマメ科ハリエンジュ属の落葉高木。花は蜜が豊富で蜜源として有用です。葉、果実、樹皮は有毒で、棘が刺さると腫れてしびれが出るそうです。刺さったら抜いてステロイド軟膏を塗るといいとか。花は無毒で、天ぷらなどで食べられます。
ハルジオンで吸蜜するテングチョウ(天狗蝶)タテハチョウ科テングチョウ亜科。天狗の鼻の様に見えるのは、下唇ひげ(パルピ)です。幼虫の食草はエノキなど。貝母群生地のもの以外のハルジオンはとても除去しきれません。
桐の花が満開です。右奥は武田信玄のノロシ山。躑躅ヶ崎館まで狼煙で情報を送りました。約2時間で届いたとか。常時20人ほどが常駐していたといわれています。拙書でも紹介していますが、郭や空堀の遺構があります。
陣場平へ。貝母は日に日に枯れていきますが、5月いっぱいは殆どは倒れません。実がついていない茎から倒れていきます。実がついている茎は枯れてもなかなか倒れません。実だけはまだ緑色です。やがて実も枯れると弾けて種を飛ばします。その時に東風(こち)が吹くことが多いので貝母は西へと増えていくのです。ウグイスやサンコウチョウ、シジュウカラやヒヨドリの鳴き声が聞こえます。メスグロヒョウモンのメスやクロアゲハも目撃しました。ベンチを白樫のものに新調しました。腰掛けて風景を眺めながら小鳥のさえずりを聞くと癒やされ、自然との一体感を得られると思います。今の季節、淡竹の筍を求めて子連れのクマが来ることがあるので、たまに大きな声や音を立てて知らせることも大事です。ニホンカモシカもやって来ます。
貝母の実。約2センチほどですが、最終的には3センチぐらいになります。中心部が色濃く盛り上がっていますが、縦に種がぎっしり詰まっています。もうすぐメンバーを集めて貝母の球根の移植作業をします。オオブタクサなどの帰化植物の抜き取りも。里山保全は知識や知恵も必要で手がかかります。
ウスバシロチョウの不思議なバトルを目撃しました。一頭が別の一頭に執拗に襲いかかっているのです。最初は交尾を迫っているのかなと思いましたが、なにか可怪しい。
組んっずほぐれつして、結局掴まれていた一頭を置き去りにしてもう一頭は飛び去りました。残されたウスバシロチョウは前翅が折れています。どういうことなのでしょう。オス同士の縄張り争いなのでしょうか。不思議です。もし交尾を迫るオスならば、メスはまだ未成熟だったと思われます。
●すったもんだのウスバシロチョウの交尾。交尾後にオスがメスにつけるスフラギス(受胎嚢)(妻女山里山通信):交尾は女性上位で行われメスが主導する感じです。アリに襲われオスを引きずって登っていく逞しいメス。交尾は2時間ぐらい続きます。
土の斜面に穴を開けて土を食べている?アブ。2019年の記事でアリノスアブの一種かと書いたのですが、調べてもこんなアブは出てきません。妙に離れた複眼の間に3つの単眼があることからアブと分かります。体長は8ミリぐらい。毛深いアブですが、オスには腹部の背中に毛がありません。近づいても襲って噛むようなことはありません。この土面には小さな穴がいつくも開いているのですが、アリの巣ではありません。どう見ても土を食べて穴を開けているようにしか見えないのです。未同定の新種?
●不思議なアブの続き。アリノスアブだろうと判明したのですが、これまた不思議な生態で頭クラクラ(妻女山里山通信):2019年の記事。不思議な青い虫も写っています。
コミスジ(小三條)タテハチョウ科タテハチョウ亜科。滑空と羽ばたきを繰り返してワルツを踊るように軽やかに飛び回る蝶。幼虫の食草はクズ、フジなどマメ科の植物。人の気配に敏感で、なかなか撮影させてくれません。
ギンラン(銀蘭)ラン科キンラン属。白い花は蕾ではなく、これでもせいいっぱい咲いている状態です。ギンランは、「菌根菌」という菌類と共生する特殊な生育形態をもっています。ギンランは特に菌に対する依存度が強く、「外生菌根菌」は特殊な土壌にのみ生息するため、この花を採取して移植しても家で育てる事は不可能です。環境省の絶滅危惧II類(VU)-2012年レッドデータ。
作業と撮影の前に山蕗を採りました。ソフト鰊と干しホタルイカの煮物。山蕗は、ワラビ、ゼンマイ、ミョウガと同様に発がん物質が含まれるのでまず茹でてアク抜きをしっかりとします。流水で洗って自家製干し椎茸、昆布、鰹出汁、炒り粉出汁、本味醂、醤油で煮ます。ここでもアクを取って沸騰したら強火で5分、弱火で10分煮て冷まします。これを使って炊き込みご飯もできます。昔は大鍋で煮て常備菜として1週間以上食べました。山菜料理というのはまさに信州が舞台の映画『土を喰らう十二ヵ月』(沢田研二が主演を務め、作家・水上勉の料理エッセイ「土を喰う日々 わが精進十二カ月」を原案に描いた人間ドラマ)そのままです。
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◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、商用利用の場合、有料でお使いいただけます。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
ヒレアザミ(鰭薊)が咲き始めました。茎には幅の広いひれがつき、その縁にも刺があります。ウスバシロチョウも好んで吸蜜する花です。
オオアマナ(大甘菜)キジカクシ科オオアマナ属の多年草。明治時代に入った帰化植物が野生化したものの様です。別名は、ベツレヘムの星。毒草です。
妻女山展望台裏の四阿から望む白馬三山。手前に茶臼山。右奥に虫倉山。麓には帰化した高句麗の豪族に由来する篠ノ井の市街。茶臼山中腹のリンゴも花はもう散っています。
妻女山駐車場に咲くハリエンジュ(針槐:ニセアカシア)。北米原産のマメ科ハリエンジュ属の落葉高木。花は蜜が豊富で蜜源として有用です。葉、果実、樹皮は有毒で、棘が刺さると腫れてしびれが出るそうです。刺さったら抜いてステロイド軟膏を塗るといいとか。花は無毒で、天ぷらなどで食べられます。
ハルジオンで吸蜜するテングチョウ(天狗蝶)タテハチョウ科テングチョウ亜科。天狗の鼻の様に見えるのは、下唇ひげ(パルピ)です。幼虫の食草はエノキなど。貝母群生地のもの以外のハルジオンはとても除去しきれません。
桐の花が満開です。右奥は武田信玄のノロシ山。躑躅ヶ崎館まで狼煙で情報を送りました。約2時間で届いたとか。常時20人ほどが常駐していたといわれています。拙書でも紹介していますが、郭や空堀の遺構があります。
陣場平へ。貝母は日に日に枯れていきますが、5月いっぱいは殆どは倒れません。実がついていない茎から倒れていきます。実がついている茎は枯れてもなかなか倒れません。実だけはまだ緑色です。やがて実も枯れると弾けて種を飛ばします。その時に東風(こち)が吹くことが多いので貝母は西へと増えていくのです。ウグイスやサンコウチョウ、シジュウカラやヒヨドリの鳴き声が聞こえます。メスグロヒョウモンのメスやクロアゲハも目撃しました。ベンチを白樫のものに新調しました。腰掛けて風景を眺めながら小鳥のさえずりを聞くと癒やされ、自然との一体感を得られると思います。今の季節、淡竹の筍を求めて子連れのクマが来ることがあるので、たまに大きな声や音を立てて知らせることも大事です。ニホンカモシカもやって来ます。
貝母の実。約2センチほどですが、最終的には3センチぐらいになります。中心部が色濃く盛り上がっていますが、縦に種がぎっしり詰まっています。もうすぐメンバーを集めて貝母の球根の移植作業をします。オオブタクサなどの帰化植物の抜き取りも。里山保全は知識や知恵も必要で手がかかります。
ウスバシロチョウの不思議なバトルを目撃しました。一頭が別の一頭に執拗に襲いかかっているのです。最初は交尾を迫っているのかなと思いましたが、なにか可怪しい。
組んっずほぐれつして、結局掴まれていた一頭を置き去りにしてもう一頭は飛び去りました。残されたウスバシロチョウは前翅が折れています。どういうことなのでしょう。オス同士の縄張り争いなのでしょうか。不思議です。もし交尾を迫るオスならば、メスはまだ未成熟だったと思われます。
●すったもんだのウスバシロチョウの交尾。交尾後にオスがメスにつけるスフラギス(受胎嚢)(妻女山里山通信):交尾は女性上位で行われメスが主導する感じです。アリに襲われオスを引きずって登っていく逞しいメス。交尾は2時間ぐらい続きます。
土の斜面に穴を開けて土を食べている?アブ。2019年の記事でアリノスアブの一種かと書いたのですが、調べてもこんなアブは出てきません。妙に離れた複眼の間に3つの単眼があることからアブと分かります。体長は8ミリぐらい。毛深いアブですが、オスには腹部の背中に毛がありません。近づいても襲って噛むようなことはありません。この土面には小さな穴がいつくも開いているのですが、アリの巣ではありません。どう見ても土を食べて穴を開けているようにしか見えないのです。未同定の新種?
●不思議なアブの続き。アリノスアブだろうと判明したのですが、これまた不思議な生態で頭クラクラ(妻女山里山通信):2019年の記事。不思議な青い虫も写っています。
コミスジ(小三條)タテハチョウ科タテハチョウ亜科。滑空と羽ばたきを繰り返してワルツを踊るように軽やかに飛び回る蝶。幼虫の食草はクズ、フジなどマメ科の植物。人の気配に敏感で、なかなか撮影させてくれません。
ギンラン(銀蘭)ラン科キンラン属。白い花は蕾ではなく、これでもせいいっぱい咲いている状態です。ギンランは、「菌根菌」という菌類と共生する特殊な生育形態をもっています。ギンランは特に菌に対する依存度が強く、「外生菌根菌」は特殊な土壌にのみ生息するため、この花を採取して移植しても家で育てる事は不可能です。環境省の絶滅危惧II類(VU)-2012年レッドデータ。
作業と撮影の前に山蕗を採りました。ソフト鰊と干しホタルイカの煮物。山蕗は、ワラビ、ゼンマイ、ミョウガと同様に発がん物質が含まれるのでまず茹でてアク抜きをしっかりとします。流水で洗って自家製干し椎茸、昆布、鰹出汁、炒り粉出汁、本味醂、醤油で煮ます。ここでもアクを取って沸騰したら強火で5分、弱火で10分煮て冷まします。これを使って炊き込みご飯もできます。昔は大鍋で煮て常備菜として1週間以上食べました。山菜料理というのはまさに信州が舞台の映画『土を喰らう十二ヵ月』(沢田研二が主演を務め、作家・水上勉の料理エッセイ「土を喰う日々 わが精進十二カ月」を原案に描いた人間ドラマ)そのままです。
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★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
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