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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

安藤(歌川)広重が描いた『信濃 更科田毎月 鏡台山』へ秋を探しに(妻女山里山通信)

2016-09-07 | アウトドア・ネイチャーフォト

 姨捨から見た浮世絵、安藤(歌川)広重が江戸時代後期に描いた『信濃 更科田毎月 鏡台山』の鏡台山(1269m)へ小さな秋を探しに出かけました。最近は首都圏からも信州の低山に登る人が本当に増えています。まず千曲市と坂城町の境の沢山峠の登山口の除草(左)。入り口だけいつも草で塞がれるのです。この直後に坂城から来たご夫婦が先に登って行きました。ヒョウモンチョウが沢山飛来。吸蜜していたのはタムラソウ(中)。アザミに似ていますが葉の形が違いトゲがありません。秋の訪れを告げる薄紫のノコンギクが咲き始めました(右)。

 結構翅の傷んだヒョウモンチョウがたくさんタムラソウやタイアザミで吸蜜していました(左)。ミドリヒョウモンですかね。次はフタスジチョウでしょうか(中)。活性が高くなかなか翅の全景が撮影できません。同定は仲間の蝶の研究家にお願いしようと思います。
 海外出張中の彼から返事が来ました。ヒョウモンチョウは、ミドリヒョウモンかメスグロヒョウモンのオス。右はメスグロヒョウモンのメスでしょうと。ヒョウモンチョウは、ミドリヒョウモンとメスグロヒョウモンと二種類いた様に思います。このところ妻女山山系でもヒョウモンチョウが見られるようになりました。

 吸蜜しているのはタイアザミ(左)。一度に吸える蜜の量が少ないのでしょう、頻繁に花を替えます。アサギマダラも飛来。海を渡ってきた後なのでしょうか、翅が相当傷んでいますが、元気に吸蜜していました(右)。

 翅は色褪せていますが、透けた浅葱色が美しい(左)。アサギマダラはこの一頭だけでした(中)。縄張り争いや天敵との格闘などで翅はボロボロですが、飛翔には全く問題ありません(右)。

 途中の富士見の岩から。富士山方向は赤松が育って展望がありません。西側が開けます。右に旧上田市の最高峰だった大林山。左手前に下って九頭龍山とその下に電波反射板。その下で尾根を左へ下って中央の三角の山が岩井堂山(自在山)。秋は松茸の留山で立ち入り禁止。愚かな坂城町は今年もこの山域でベトナム戦争の枯れ葉剤と同成分のネオニコチノイド系農薬の空中散布を行いました。土壌汚染により松茸菌が弱り、いずれ松茸も出なくなるでしょうし、水溶性なのでキノコにも染み込み洗っても落ちません。つまり毒の松茸の出来上がりです。村上義清公も泣くでしょう。そうでなくても菌根菌のキノコは放射性物質を溜めやすいのです。山菜やキノコ、ジビエは要注意です。

 今年は山栗が大豊作(左)。大きな実がたくさん成っていました。昨年はどんぐりも豊作で、暖冬だったため子熊の生存率も高かった様で、この山系でも熊の出没情報が相次ぎました。私も6月に妻女山奥の陣馬平で子熊を目撃、象山の遊歩道では三頭の子熊を連れた母熊が目撃されました。
 ナンテンハギ(南天萩)の小花(中)。アズキナといって、天ぷらや煮物、おひたしで食べられる山菜です。これも山菜のツリガネニンジンで吸蜜するキアゲハ(右)。山で旨いはオケラにトトキと亡父が言っていましたが、そのトトキです。

 山頂直下にあるハンゴンソウの群落。ヒョウモンチョウが盛んに飛び回っていました。ハンゴンソウも若芽は山菜になり天ぷらなどで食べられます。結構苦味やアクがあります。山頂では先の坂城から来たご夫婦と談笑しながら昼食。私はブラジル黒インゲンの煮込みハバネロソースとトマトの卵ガーリック炒め。まだ登られていない山が多いということで拙書の紹介と、山頂から見える山の説明をしました。里山好きが増えてくれるのは嬉しいですね。請われればどこへでも公演や講座に出向きますし、インタープリターもします。

 山頂とその周辺にあるズミの木に実がたくさん成っていました(左)。ヤマザクラのさくらんぼと共に、これもツキノワグマの食料になるのでしょう。ヨツバヒヨドリはほとんどが咲き終わっていました。その残花(中)。シロハツかツチカブリか(右)。シロハツなら可食ですが、ツチカブリだと毒キノコ。その上モドキもあり、どちらも辛いのであえて食べようとも思いませんが。

 山頂から左に鏡台山からは三角に見える冠着山(姨捨山)。右にアンテナのたくさん立つ聖山。鏡台山と共に拙書でも詳しく紹介している魅力あふれる里山です。冠着山の右奥に見える低いトトロの耳の様な山はヒカゲツツジで有名な生坂村の京ヶ倉。もちろん拙書でも紹介していますが、ヒカゲツツジが満開のゴールデンウィーク中は全国からのハイカーで賑わいます。1000mない里山ですが、非常に厳しく滑落死亡事故も起きています。『信州の里山トレッキング 東北信編』でコースを充分に把握してお出かけ下さい。晴れていれば北アルプスのスカイラインが一望できます。拙書ではその貴重なパノラマ写真も載せています。
 聖山の手前は拙書にも掲載の三峯山。低山ですが展望が最高。その手前が姨捨になります。
 鏡台山から富士山が見える看板がありますが、これは本には載せていません。このブログの過去記事の中に写真があるので御覧ください。私も2回しか見たことがありません。

 ザラエノハラタケ(左)。秋のキノコシーズンを告げるキノコです。美味しいという人もいるようですが、人によっては激しい腹痛を引き起こすとのことなので毒キノコとしていいでしょう。イノシシの大きなヌタ場(泥浴び場)もこのところの雨でほぼ満水(中)。近くにある泥浴びしたイノシシが体を擦り付けた跡(右)。これを追っていくとイノシシの塒(ねぐら)の方向が分かります。

 翌日、妻女山の樹液バーに行きましたが、いたのはオオスズメバチが7匹と2匹のヒメスズメバチ、1匹のチャイロスズメバチ、アカタテハとハエとアリ。一頭のアカタテハが飛来しましたが、オオスズメバチの多勢に無勢で飛び去りました。盛んに顎を付きあわせて情報交換をしていますが、キスしている様にしか見えません。あちこちでチュッチュしています。先日、カナブンを殺し肉団子にせずに一匹まるまる巣に持ち帰った場面を見た後では可愛すぎる光景です。
 しかし、実際は幼虫が育ち子育てのストイレスが溜まり始め、非常に攻撃的になる季節の到来なのです。実際この日も2回ほど追いかけられました。車の陰に隠れてなんとかしのぎましたが。秋のスズメバチは要注意です。カナブンが消えると、カマキリやセミも襲います。

 友人のログハウスで昼食中に、10ミリもないヒラタアブの仲間が手の甲に留まり汗を舐め始めました。非常にくすぐったかったのですが、我慢して撮影。左はログハウスのデッキの柱に留まったところ。右は私の手の甲を舐めるカット。同定は非常に難しいのですが、似ているホソヒメヒラタアブは8ミリ以下で細いことを考えると、ミナミヒメヒラタアブのメスが一番近いとは思います。どうでしょう。
 こういう小さなハナアブやミツバチはネオニコの空中散布をするとすぐに全滅します。受粉ができなくなり、果樹や野菜に大被害が出ます。もちろん人間にも。発癌性が高く、うつ病、多動性障害、脳の発達障害などを引き起こします。欧米では製造販売が禁止されているところも増えています。アメリカでさえ規制を始めました。野放しの日本。中国産の野菜が農薬まみれと忌避する人が多いのですが、日本は世界第三位の農薬使用国。単位面積辺りでは世界一かもしれません。放射能汚染も考えたら中国産の野菜の方が安全かもしれないという笑えない現状です。

川中島合戦の上杉謙信にまつわる妻女山と斎場山、陣馬平への行き方」『真田丸』で訪問者が激増中。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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