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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

天然舞茸ゲットで大逆転のキノコ狩り。小春日和のログハウスでバーベキュー(妻女山里山通信)

2021-10-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
 インディアン・サマー (Indian summer)と呼ぶにふさわしい穏やかな日曜日。妻女山里山デザイン・プロジェクトのメンバー3人を連れてキノコ狩りにでかけました。ここのところ全く雨が降っていないので、不安を抱えつつ車で山へ。案の定、途中の林内には毒キノコさえ見当たりません。これは厳しいキノコ狩りになるぞと思いました。

 実際そのとおり、キノコが全く見当たりません。もっと奥山へ連れて行くつもりでしたが、諦めて小一時間林道を歩いて藪山に入りました。予想通りほとんどありませんでしたが、最後の最後に私が大きな舞茸を発見! 皆も大歓喜の雄叫びをあげました。横幅は40センチぐらいあります。採取するとずっしり重く3キロはあるでしょう。仲間が場所を覚えたというので、いやここからは4年は出ないよ。4年後に必ず出るとは限らないと説明。そう、天然舞茸採りは簡単ではないのです。今回、下山中に顔見知りの二人の男性に出会ったので少し舞茸をあげました。少しですがじこぼうも採れた様です。雨が降らないと駄目ですね。本格的にキノコ狩りをするなら標高1000m以上をおすすめします。ただ遭難には要注意。

(左)最初に入った森で見つけたのは、死亡例もある猛毒のニガクリタケ。クリタケと思っても必ず噛んでみることです。クリタケに苦味はなく、ニガクリには嫌な苦味があります。右上の黄色いのはモエギビョウタケ。(右)山桜の枯れ木にツガサルノコシカケ。制癌作用があるといわれる硬いキノコ。N氏がノコギリで切り落として持ち帰りました。ノミで細かく割って焼酎漬けにしたり、煮出して飲んだりします。キノコ狩りのプロやベテランなら分かるはずですが、キノコが大量発生している時は、森に入った瞬間に菌の匂いが鼻を突くのですよ。今回はそれがありません(涙)。

 清々とした森ですが、そういうところを選んで案内したのです。この後で、大きな落葉松の倒木がたくさんある森を越えなければならないのですが。この夏の集中豪雨で、コナラなどの巨木が何本も倒れていました。それらも何年かすると、キノコが発生し始めます。そして長い時間をかけて栄養を取られ分解されて土に戻っていくのです。巨樹の倒木でできたギャップでは、ニッチのせめぎ合いが始まり、色々な植物が我先にと出てきます。このメカニズムは非常に複雑で、色々な学説があります。
「多様な種が共存するのは偶然か必然か?」国立環境研究所 竹内やよい:中立モデルとニッチモデル

(左)舞茸の老菌。(右)N氏が見つけたじこぼう(ハナイグチ)。傘がこれぐらいが一番食べごろです。

(左)綺麗なハナイグチ。石づきの上からハサミで切ると余計な菌を持ち帰ることもなく、掃除も楽です。(右)A氏が見つけたスッポンタケ。3本ありました。グレバは臭いのですが、白い軸は食べられます。中華スープの具に。幼菌は真っ白で卵の形。なんの卵だろうと勘違いしたことがあります。

(左)結構大変な思いをして今回借りるKさんのログハウスへ。近くの谷にある蟹沢(がんざわ)の泉。川中島の戦いで上杉軍の陣用水だったといわれる由緒ある泉です。(右)今回の収穫。しかし、最後にサプライズが待っていました。

(左)N氏が持ってきた海老の頭。塩焼きで。(右)信州のバーベキューには欠かせないジンギスカン。遠山郷のすずきやの鹿ジン。遠山郷のラムジン。ジビエも必須です。

 焼き肉には、S氏が持ってきた山葵をすりおろしてつけながらいただきます。気温も17度で小春日和の気持ちのいい午後です。ノンアルコールビールで。A氏が作っているシナノスイートとシナノゴールドがデザート。私もウィスキー漬けのイチジクを持っていきました。

(左)赤魚とシマホッケを焼いています。(右)七輪で天然舞茸を焼きます。粗塩をふっていただきます。栽培ものとは味も香りもまったく違います。皆が唸るほどの旨さです。何回も焼いて余った分は持ち帰ってもらいました。

 寒風もなく本当に穏やかで気持ちのいい日でした。見えているのは篠山ですが、その右には仁科三山も見えました。

 帰りに陣場平に立ち寄りました。もちろん貝母(編笠百合)は消えてありません。7月にN氏と球根の植え替えをしたので、来春が楽しみです。4月10日から20日頃が見頃になると思います。開花情報は当ブログにアップしていきます。満開の様子は、毎年の4月の記事をご覧ください。
妻女山陣場平の貝母は満開。オオヤマザクラにカスミザクラも満開です(妻女山里山通信)

(左)陣場平下のギャップで、A氏が山椒の赤い実を採取。これを細かく砕いて料理に使います。香りが豊かで爽やかです。(右) 大日如来像の向こうで椎茸のホダ木を見ています。かなり傷んできたので、この冬に新しいコナラを伐倒します。来春に1000駒ぐらい打ち込む予定です。この後、ひょんなところにハナイグチがたくさんあるのを発見。最後に結構なサプライズが待っていました。

 妻女山(旧赤坂山)展望台から北の眺め。善光寺平(川中島)が広がります。眼下では名産の長芋を掘る作業が始まっています。左に茶臼山。右奥に虫倉山。右へ陣場平山、富士ノ塔山、旭山。奥に雲がかかった飯縄山。ちなみにここは上杉謙信の本陣ではありません。左後方にそびえる513mの斎場山(旧妻女山で古墳)が本陣と伝わっています。

 展望台から東の眺め。松代の向こう左に奇妙山、右に立石山。奥に根子岳と四阿山が見えます。菅平の紅葉は今が見頃でしょう。

 展望台から西の眺め。茶臼山の右奥に虫倉山。その左奥に白馬三山がそびえています。手前の茶臼山動物園では二頭のレッサーパンダの赤ちゃんが生まれて公開されています。中腹の林檎畑ではシナノゴールドやシナノスイートが鈴生りで、出荷の最盛期です。

 まず夜に舞茸の天ぷらうどんを作りました。翌日は舞茸の炊き込みご飯。実を言うと若干老菌モードに入っているので、食感がややボソボソし始めていて歯切れはやや劣ります。しかし、味や香りはまったく問題ありません。炊きあがって蓋を開けたとたんに天然舞茸の香りに包まれました。餅米を3割ほど入れてあります。おにぎりにしても美味です。味が濃いのでビーフシチューやハヤシライスにも最適です。チーズドリアも作ろうと思います。ガーリック炒めして業務スーパーで買った葱抓餅(ツォンジュワビン)にのせていただこうとも思っています。

 わずかに採れたハナイグチ(じこぼう・時候坊)を使って豚汁を作りました。豚こま、親芋、薩摩芋、じゃがいも、人参、牛蒡、大根、冬瓜、長ネギ、蒟蒻です。ごま油で軽く炒めます。出汁は鰹出汁に手作りの塩麹、酒粕、手作り信州麹味噌を少々、鷹の爪。ハナイグチと冬野菜から出る出汁と甘みが充分にあるので味醂は入れません。体が心から温まる滋味豊かな郷土料理です。七分づきの米に15穀米のご飯で食べましたが、煮込みうどんやほうとう、すいとんにしても美味しいと思います。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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