モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山長坂峠に陣場平の標識を。テングチョウの日向ぼっこ。貝母とセリバオウレン。変なキノコ。初蕗味噌(妻女山里山通信)

2022-03-15 | アウトドア・ネイチャーフォト
 日曜から月曜の夜と、月曜から火曜の夜にかなりの春雨が降ったので、厚いところで5センチはある長坂峠へのアイスバーンも解けたかもと登りました。見事に解けていました。これで重い山仕事の道具や大きな望遠レンズを積んで登れます。ただ雨後なので泥濘状態の場所もあります。スタッドレスはどろんこに弱いのです。そろそろタイヤ交換をしなければ。

 春の暖かい日差しをいっぱいに浴びて日向ぼっこをするテングチョウ(天狗蝶)タテハチョウ科テングチョウ亜科。成虫の頭部が天狗の鼻のように前方に伸びることから。鼻ではではなく下唇ヒゲです。幼虫の食草はエノキで、成虫で越冬します。真夏と真冬以外はわりとよく目にします。越冬したヒオドシチョウやルリタテハも舞い始めました。

 長坂峠の分岐。右へ斎場山(旧妻女山・上杉謙信本陣)。左へ陣場平、天城山、鞍骨山。写真は斎場山。山頂は古代科野のクニの古墳です。以前、ここ長坂峠に陣場平の標識を作って欲しいといわれたので作りました。

 素朴というか、手作り感たっぷり。うん十年ぶりに溝引きというフリーハンドで直線を描く技法を使いました。油性マーカーで描き、防水ニスを塗りました。う〜ん下手くそ。出掛けにチャイチャイと作ったにしても、元一部上場企業のアートディレクターをしていた人の作品じゃない罠。ご容赦を。一応ハンディルーターとかも持ってるので、エンボスとかも作れるはず。もちっと頑張れよ私。

(左)峠から左へ300mほどで陣場平入り口の標識。手前の山桜に天狗巣病になった小枝のヤブがあり、看板を隠していたので切りました。(右)道を挟んだ反対側にあるトーテムポールの様な標識があります。左へあんずの里ハイキングコースで、天城山(てしろやま)経由で鞍骨山(鞍骨城跡)へ。鞍骨城跡までは約1時間。右下に300m下ると堂平大塚古墳。ログハウスもあります。私有地につき立入禁止とありますが、古墳の見学は可能です。もし持ち主がいたら許可をとってください。今は福寿草が満開ですが、GWの頃は色々なツツジが満開になります。

 陣場平入り口の貝母(編笠百合)。4月の茶花です。春雨で成長も早くなりました。

 もう蕾をつけています。このまま50センチ以上に伸びます。開花は4月初めでしょう。満開は、10〜25日頃でしょうか。寒の戻りとかで変わります。開花情報は当ブログで確認してください。

 陣場平に入ってすぐ左の高句麗からの帰化人の積石塚古墳の周りにもかなりの群生地があります。高句麗からの帰化人と貝母が日本に入ったのは、ほぼ同じ頃です。本当に古墳にピッタリの花だと思います。万葉集については、前の記事を御覧ください。看板も設置する予定です。

 陣場平中央のメインの群生地。アントシアニンの赤紫が抜けて緑が濃くなってきました。まだ芽吹き前のものもあり、枯れ葉に隠れています。

 これも薬草のセリバオウレン。5株ほど咲いています。これからもっと咲くでしょう。

 雨露で光っています。

 ノビル(野蒜)もあちこちで。カルシウムをはじめ、マグネシウム、リン、鉄分などのミネラルも豊富な山菜です。抗ガン、抗菌、免疫力アップ、貧血予防、便秘解消、美肌効果、老化防止の効能も。これのおやきと餃子は絶品です。卵とじやパスタにも。醤油・本味醂・ゴマ油でノビルの醤油ダレも最高です。これに漬けて鶏の唐揚げを。在京時代は、調布市の野川へ息子と採りに行きました。乞食ネギなんていう失礼な俗名もありますが、古代から食べられていたので古事記ネギと言うべきでしょう。

 スギ花粉は樹冠にのみ付いています。量は多くはないですね。風速5mぐらいですが、まだ飛散していない様です。花粉症の私が痒くないので。ただ、数日中には飛び始めるでしょう。

 サンショウ(山椒)の実。ほとんどは弾けていますが、まだ残っているものもわずかにあります。新芽が出る頃には、すべて落ちるでしょう。春の山椒味噌が楽しみです。これを塗った焼きおにぎりは絶品です。鮎の塩焼きにも。

 リョウメンシダ(両面羊歯)オシダ科カナワラビ属。右は裏面で、胞子嚢群があり秋から冬に熟します。よく見ると胞子はすでに多くが飛んでいる様です。冬も緑色なので、ニホンカモシカの餌にもなります。胞子がついていないと、裏表が分からなくなります。それが名前の由来。

 タラの芽ではなく、これはハリギリの芽です。同じ様に食べられる山菜ですが、意外と知らない人が多い。亡き父はタラの芽より好きでした。天ぷらにしてあげると、すごく喜んでいました。味は、説明しにくいです。道の駅なので売られていることもあるので、ぜひ試してみてください。私も大好きです。タラの芽、ハリギリ、コシアブラが春の木の芽の三大王ですね。

 妻女山展望台からの北アルプスの爺ヶ岳。おそらく稜線部はもの凄い強風だと思います。

 妻女山展望台の説明看板。ここでいう妻女山は、ここ展望台のある赤坂山ではなく斎場山のことです。この文を英訳した人は、鞭声粛粛という意味を知らなかったのではないでしょうか。"making the sound of whips" では、ムチを振って音を立てるという意味になるので、鞭声粛粛ではないですね。自動翻訳したらむち打ち症と出ました(笑)。鞭声はムチを打つ、粛粛は相手に気付かれないように静かにの意味。Quietly whip the horse so that the other person does not notice. まあそういうことなんですが、これでは文学的な表現ではないですね。戦国時代の川中島の庶民の言葉に、「七度の飢饉より一度の戦(いくさ)」という言葉が残っています。七度の飢饉よりも一度の戦の方が嫌だと言っているわけです。戦争は絶対悪です。正しい戦争などありません。
■川中島(頼山陽:江戸後期の学者・漢詩人)
鞭声粛粛 夜河を過る
曉に見る千兵の 大牙を擁するを
遺恨なり十年 一剣を磨き
流星光底 長蛇を逸す


(左)菌糸束のツイートをリツイートしたら、RTとlikeが350以上もありました。「山姥の髪の毛」といわれるものは黒ですが、これは虫倉山で8月に撮影したもので白です。白の方がよく見ますね。南方熊楠が初めて菌類の菌糸と見抜いたものです。(右)これも珍しい、森の中で妖しく光る不思議なカビが生えたツエタケ。カビは、ケカビ科のタケハリカビの一種で、キシメジ科のクヌギタケ、チシオタケ、ツエタケなどに生えます。菌が菌につくという不思議。カビは6万種類もあるそうです。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 妻女山陣場平の春の妖精セリ... | トップ | 寒の戻りの前に妻女山陣場平... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アウトドア・ネイチャーフォト」カテゴリの最新記事