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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山陣場平の春の妖精セリバオウレン。灌木の伐採終了。テングチョウとミヤマセセリ。(妻女山里山通信)

2022-03-12 | アウトドア・ネイチャーフォト
 週末も妻女山陣場平へ。積石塚古墳の周りの灌木(かんぼく)の伐採がやっと終わりました。アイスバーンでまだ車では登れません。作業を終えていつもの様に昼過ぎにログハウスへ行くと、Kさんがいました。選定した梅の枝を片付けに来たそうです。昼を食べながら久しぶりに色々な話をしました。

 セリバオウレンは、前回より開いていました。セリバオウレンは、キンポウゲ科オウレン属の多年草。葉はすべて根生し、2回3出複葉。雄花と両性花があります。これは雄花。花びらのように見えるのは5枚の萼片で,その内側の淡い黄色の9枚が花弁なのですが、遠目に肉眼で見るとほぼ純白です。

 セリバオウレンは薬草で消炎、止血、精神不安などの薬です。健胃(けんい)、健胃、整腸薬として消化不良や下痢止めにも用います。有効成分は、アルカロイド(ベルベリン)、パルマチン、コプチシンなどです。

 芹葉黄連という名前の由来は、古代には、カクマグサ、ヤマクサと呼んでいたそうですが、中国名の黄連と、カクマグサ、ヤマクサと同じ植物と間違って、黄連の名をあてたといいます。「本草和名」や「和名妙」に記述があります。また、江戸時代の貝原益軒は「大和本草(1708)」で、「日本の黄連性よし。故に中華、朝鮮にも日本より多く渡る。中華の書に日本産黄連を良とす」と記しています。

 積石塚古墳越しに見る貝母(ばいも・編笠百合)の群生地。間にあった灌木を100本以上伐採しました。その後、棘のあるヤマガシュウやノイバラを剪定ばさみで切りました。陣場平がすごく広くなった感じがします。伐採地には、7月に貝母の球根を植える予定です。

 陣場平入り口からの貝母の群生地。あちこちに芽吹いているので、踏まないように枯れ葉をどけて小道を作ってあります。

 陣場平中央の貝母の群生地。芽吹いたら成長は早いです。しかし、暖冬だった昨年と比べると、10日ほど遅れています。満開は、15〜25日頃になるかも知れません。開花情報は当ブログで逐一アップしていきます。

 日当たりの良いところの貝母は、緑色になってきました。枯れ葉が膨らんでいるところは、下に貝母が芽吹いています。

 陣場平入り口の西斜面の貝母。毎年最初に芽吹いて開花します。
 「時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ」丈部(はせつかべ・はせべ)真麻呂(万葉集) 「季節ごとに花は咲くのに、どうして母という花は咲かないのだろうか(咲くのだったら摘み取って共に行くのに)」。
 天平勝宝七年二月に、交替して筑紫に遣わされる諸国の防人たちの歌の中の一首です。これが貝母のことであるという説があります。貝母は球根の形から、母栗(ははくり)という古名があったそうです。丈部真麻呂は、遠江国山名郡(現在の静岡県袋井市)で徴兵され九州に派遣され国境警備にあたった兵士・防人(さきもり)でした。
 防人というのは、21歳から60歳までの健康な男子が徴兵されました。任期は三年で、延長もされたそうです。食料・武器は自弁で帰郷は一人で帰るため、途中で野垂れ死ぬ者も少なくなかったとか。人民には重い負担になったようです。

 ログハウスへ下る道すがら。日向ぼっこするテングチョウとミヤマセセリ。実はヒオドシチョウも初見したのですが、撮影できませんでした。

(左)長野市は、予報ではスギ花粉がやや多めと出ましたが、花粉がついていません。目も痒くありません。ちゃんと山に来て調べて予報を出して欲しいですね。むしろ今は黄砂の方が要注意です。(右)吊りカマスと呼ばれるウスタビガの繭。今シーズンは非常に少ない。鞍骨などの標高の高いところは多かった様です。昨夏の猛暑と関係あるのかも知れません。

 ログハウスでKさんとおしゃべりした後、下ります。長坂峠の手前。左側がナラ枯れ病が心配される森です。

 長坂峠から斎場山。川中島の戦いで最初に上杉謙信が本陣としたところで、山頂は円墳で平らです。用事を思い出したので駆け下りましたが、驚愕の事態が。なんと椎茸のホダ木が何者かによって盗まれていました。ひどいことをする輩がいるものです。目の前に大日如来の石仏があるのに。なんという罰当たり。この上のカーブに積まれた山桜の丸太もなくなっていました。犯人は薪ストーブを持つものか、薪として売る者でしょう。ごく一部ですが、粗大ごみを不法投棄したり、栽培椎茸を盗む輩もいるのです。しかし、たいてい特定できます。また、仲間を集めてクヌギの伐採をしなければなりません。やれやれです。
 翌日、新たに伐採するクヌギを探しに登りました。幸い前回のすぐ近くにいいクヌギを見つけました。苔や地衣類、木材腐朽菌などがついていないことが条件です。もちろん伐採が可能な地域です。伐採することで森が更新され、ギャップができて新たなニッチの鬩(せめ)ぎ合いが始まります。具体的には、草木や樹木の生存競争が始まるのです。伐採されたクヌギも、蘖(ひこばえ)が生まれて成長します。たくさん出た場合は、ある程度大きくなったら最も太いものだけ残して切ります。残ったものが主幹となりいずれ大木となります。

 今年初物の山蕗。信州人のソウルフード、スギヨのビタミン竹輪とのかき揚げです。今回は、四国の物産展で買ったじゃこ天も入れた絶品かき揚げ。米は仲間と作ったコシヒカリ。カブの自家製千枚漬け。地大根の酢辛子漬けも手作り。今回はすべて自家製です。春のデトックスプレート。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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