クロード・レヴィ＝ストロースといえば、構造主義の原典となった「悲しき熱帯」が有名ですが、本書は、その著者が二台のライカで撮った1930年代のブラジル、アマゾンの写真集です。美しいモノクロ写真と共に彼のスケッチも入っています。
白亜の高層ビルの建築が始まったサンパウロと、対照的に300年余りの白人による侵略の中で、追いやられ、殺され、略樽されて未開人へ転落したある部族。しかし、同時に見られるジャングルで暮らす先住民たちの逞しさと美しい笑顔。
アメリカ大陸発見と欧米人は言いますが、先住民は「俺たちがどう猛なお前達を発見したのだ」と言うかもしれません。そして忘れてはいけない、おぞましい民族大虐殺（ジェノサイド）。文明の不幸な衝突は古くて新しい問題。ヨーロッパ中心主義が破壊したものは限りなく大きい。それは、同時に日本にも置き換えて見ることができるものでもあるのです。近代化による世界的な画一化とそれに対する過激な抵抗。
それでも無邪気な笑顔を見せる少女、裸で戯れる子供達の姿には、心が和みます。しかし、同化政策や入植者、金堀人たちとの軋轢で、この光景の多くが失われた過去のものであることも事実なのです。
真に美しいものは忘却の彼方にある、のかもしれません。
「ブラジルへの郷愁」レヴィ＝ストロース
川田順造訳 みすず書房
白亜の高層ビルの建築が始まったサンパウロと、対照的に300年余りの白人による侵略の中で、追いやられ、殺され、略樽されて未開人へ転落したある部族。しかし、同時に見られるジャングルで暮らす先住民たちの逞しさと美しい笑顔。
アメリカ大陸発見と欧米人は言いますが、先住民は「俺たちがどう猛なお前達を発見したのだ」と言うかもしれません。そして忘れてはいけない、おぞましい民族大虐殺（ジェノサイド）。文明の不幸な衝突は古くて新しい問題。ヨーロッパ中心主義が破壊したものは限りなく大きい。それは、同時に日本にも置き換えて見ることができるものでもあるのです。近代化による世界的な画一化とそれに対する過激な抵抗。
それでも無邪気な笑顔を見せる少女、裸で戯れる子供達の姿には、心が和みます。しかし、同化政策や入植者、金堀人たちとの軋轢で、この光景の多くが失われた過去のものであることも事実なのです。
真に美しいものは忘却の彼方にある、のかもしれません。
「ブラジルへの郷愁」レヴィ＝ストロース
川田順造訳 みすず書房
レポートで行き詰まり、散歩してました。
私もそんなにたくさんの場所を訪れたわけではないのですが、世界的な画一化を寂しく思っている一人です。
アマゾンにはアマゾンの
日本には日本のいいところがあるのに
世界はどんどんビルとアスファルトに
埋められていきます。
どの場所に行っても同じような街になってしまったら、寂しいことこの上ないです。
変わらないでいてほしいというのは
日本人である私のエゴなんでしょうか‥
難しい問題がたくさんあって
あたまがいっぱいです。 笑
とりあえず、この写真集探して見てみたいな
と思いました。
確かにグローバル化っていうのは世界の画一化を促進しますよね。街だけでなく情報も。
そのことはリテラシーの共有につながるので共通話題が増えるということはあります。話が通じるってやつですね。アマゾンの人とも、昔同じミュージシャンが好きだったというだけで、一気に距離が縮まりますからね。
でも、結局今のグローバル化っていうのは、アメリカイズムの蔓延なんですよ。弱肉強食だったり商業主義だったり拡大主義だったり。イスラム原理主義の激しい抵抗もそれが根元にあるのでしょう。ローカルないいところを残しつつグローバル化というのは、今世界中がかかえている問題なんでしょうね。でも、いいところっていうのは、必ず悪いところとセットですからね。二律背反的な命題ですね。
江戸末期の江戸を写した写真がありますが、二階建ての瓦屋根が整然とどこまでも続いていて、それは美しい街でした(URL)。ワルシャワは、大戦で破壊された街を完全に復元しましたからね。日本人は水に流してしまうんですね。今、下北沢の開発計画が問題になっています。古い街並みを恥とか貧しいとか思う人がいるんですね。新しいもの好きっていうか。反面「三丁目の夕日」が注目されたりね。
最もローカルなものが、最もインターナショナルである、という言葉になにかヒントが隠れているような気もしますが。私も色々問題をかかえていまして、そんな時は山へ行くんです。アマゾンへ行けないかわりに。
「ブラジルへの郷愁」はAmazon.comでも書店でも手に入りますよ。では。