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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

斑尾高原の沼の原湿原へ。2万年以上の時を経てできた貴重な自然の宝庫。信越トレイルの一部です。素敵な出会いも(妻女山里山通信)

2019-08-03 | アウトドア・ネイチャーフォト
 三日目は、斑尾高原へ行こうと決めていました。それも北信五岳の斑尾山に登るのではなく沼の原湿原を歩こうと。沼の原湿原は、関川の支流の土路川の源流域にある約21haの湿原で、2万年以上の年月をかけて形成されたものです。近年湿原の重要性がいわれています。長男の卒論が、飯綱の10万年ともいわれる逆谷地湿原の花粉研究で、ボーリングの手伝いもしたので、より興味があるのです。

 5時過ぎには起床して野尻湖に向かいました。パワースポットともいわれる弁天島。湿度が高いです。一休みした後で斑尾高原へ出発しました。

(左)野尻湖畔の船着き場の隅にある、A.R.ストーン先生の記念碑。アルフレッド・ラッセル・ストーンは、カナダ出身のメソジスト派の宣教師です。昭和時代の初期、柏原や古間で鍛冶の機械化をすすめ、ルバーブなどの野菜の植付けなど農業への取り組みもされた日本を愛し、野尻湖を愛した宣教師です。洞爺丸事故で遭難死する前に、救命胴衣を日本人の若者に与えた話は有名です。野尻湖に来たら必ず立ち寄ってください。(右)時代を感じさせる水門。こういう構造物が大好きです。

 7時20分頃に斑尾高原着。目的は、1980年代に友人たちと何年か訪れた「1982年にニューポート・ジャズ・フェスティバル・イン・斑尾」の現場がどうなっているか見るためでした。B.B.キング、ウェイン・ショーター、ジャッキー・マクリーン、ディジー・ガレスピー、マル・ウォルドロン、マッコイ・タイナーなどなどを思い出します。青空の下でバドワイザーを飲みながら聴くジャズは最高でした。なんとなく面影はありました。

(左)7時50分。野尻湖方面から来るとこのT字路に着きます。広い路肩に駐車して、看板の向かいの入り口へ。中央トレイルを下ります。(右)ウツボグサ(靫草)シソ科。別名は夏枯草(かごそう)。円筒形の花穂の形が、武士が弓矢を入れて背中に背負った道具の靫(うつぼ)に似ていることに由来します。

(左)ネジバナ(捩花)ラン科。低地から亜高山帯まで湿った草地に見られます。(右)トリアシショウマ(鳥足升麻 )ユキノシタ科チダケサシ属の多年草。 若葉は山菜です。

(左)シロキクラゲ(白木耳右)。抗酸化成分があり、古代中国では不老不死のキノコで、楊貴妃も愛したとか。保湿成分があり、化粧品の原料にも。濃い味はありませんが、中華スープや炒め物に。(右)壊れていますが食菌のタマゴタケ(卵茸)テングタケ科。ロシアでは帝王のキノコと呼ばれ、バターやクリームと合います。クリームパスタは絶品です。

(左)アカヤマドリ。イグチ科の食菌。これもバターやクリームと合うので、オムレツにすると最高です。虫が入りやすいので、直径8センチぐらいまでのひび割れていない幼菌がおすすめです。(右)チチタケ(乳茸)ベニタケ科。傷つけるとお乳がでるので乳茸。もしくはチタケ。栃木では、ナスと炒めてうどんや蕎麦の汁に入れます。放射能汚染されやすいので、注意が必要です。

(左)もの凄い湿度の谷。朴葉みそに使われるホウノキが見られます。(右)約40分での沼の原湿原入り口に到着。ショートコースを歩きます。

 ウバユリ(姥百合)ユリ科。高さが2m近くあるのでオオウバユリでしょうね。20センチぐらいある花が放射状に咲きます。この後、向こうから若い女性が大きなザックを背負って現れました。まだ朝の8時半です。彼女はジョージア州に住む環境学を学ぶ大学生で、日米のハーフ。お母さんが日本人だそうです。信越トレイル80キロを歩くのだとか。今朝は斑尾山から歩いてきたそうで、ここも信越トレイルの一部なんです。色々な話をしました。拙書も見せてお話を。可愛くて素敵な女性でした。

 彼女と別れて湿原の木道を歩きます。ドクウツギ、トリカブトと並んで日本三大毒草のひとつ、ドクゼリ(毒芹)。誤食すると、嘔吐、下痢、けいれん、呼吸困難などの中毒症状を起こし死亡することもあります。

(左)コバノギボウシ(小葉擬宝珠) ユリ科。(右)彼女が見せてくれたユリ。写真ではコオニユリかなと思ったのですが、実際に見ると大きく、クルマユリ(車百合)ユリ科でした(Lilium medeoloides)。数は少ないですが、コオニユリもありました。

 ベンチのある見晴らしのいい休憩所でサンドイッチで朝食。湿度は高いのですが、心癒される風景です。ウグイスやホトトギスの鳴き声が聞こえます。

(左)ホタルガ(蛍蛾)マダラガ科。ホタルへの擬態からの命名。(右)拙書のコラムでも紹介しているイカリモンガ(碇紋蛾・碇紋蛾)。前翅に錨形のオレンジの紋様があることから、そう命名されました。留まる時は翅を立てます。触角は細く一般的な蛾のように羽毛状ではありません。また、昼行性で昼間に活動します。

 帰る道を間違えてしまい、斑尾高原ホテルの前に出ました。ここから車まで車道を25分歩きました。その途中で撮影した斑尾山。10時40分に車に戻りました。信濃町に戻って昼食です。後半は次の記事で。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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