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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山の陣場平の貝母は見頃です。20日ぐらいまで。セリバオウレンの実、オオヤマザクラ、ヒナスミレ、樹液、コゴミ、山吹、花桃、枝垂れ桜(妻女山里山通信)

2023-04-05 | アウトドア・ネイチャーフォト
 4日は晴天、5日は花曇り。いずれも保全作業をして、その後で訪れてきた方にガイドをしました。4日は最低気温が1度で霜が降りました。最高気温が22度で気温差21度。自律神経失調症からくる腰痛が酷くなり参りました。スギ花粉は終わりですが今度はヒノキの花粉。きついです。貝母は見頃です。花期が長いのでゆっくりと楽しめると思います。里山での貝母の群生地は日本でここだけです。奈良時代に入ったとされる薬草でかなり強い毒草です。全草が毒ですが触れるのはかまいません。

 まず花曇りの5日から。訪れた女性が見つけた9枚の花びらがある貝母。雄しべも9本。貝母は普通は花びらが6枚です。雄しべは花弁の数と同じ。しかし、稀に7枚や8枚とかがあるのです。9枚は私が見つけたものでも最も多いものです。10枚は見たことがありません。

 同じ花を別の角度で撮影。こちらの方が數えやすいと思います。枚数の多い貝母を見つけるコツは、花が大きく開いているものを探すことです。

 もうひとつ珍しい花を見つけました。花びらは7枚なんですが、上2枚の花びらが重ならずくっついて上に盛り上がっていて花びらの内側の網目模様が外側に見えています。

 セリバオウレンは結実しています。

 東側にあるオオヤマザクラが咲き出しました。例年より10日ほど早めです。南側のオオヤマザクラは来週に咲くでしょう。カスミザクラ、ヤマザクラも咲き出すと思います。

 前の記事で紹介したスミレ。どうやらヒナスミレ(雛菫)の様です。画像検索でヒナスミレを見ると分かりますが、地方により変異が大きく、変種や交雑種もあるのでスミレの同定は大変です。もう少し早く丸葉のアオイスミレも咲くので勘違いしやすいのです。

 前日晴天の4日の貝母。入り口の西向きの真っ先に咲く貝母。まだ上の3輪ぐらいは蕾です。下から咲き始めますが全部開くまでは、天気にもよりますが、10日から2週間ぐらいかかります。

 中心部の貝母。苔むした古い倒木は景色の一部になっているので残してあります。フキの葉も出始めました。
「時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ」丈部(はせつかべ・はせべ)真麻呂(万葉集)
 これが貝母のことであるという説があります。丈部真麻呂は、遠江国山名郡(現在の静岡県袋井市)で徴兵され九州に派遣され国境警備にあたった兵士・防人(さきもり)でした。
 意味は、季節ごとに花は咲くのに、どうして今、母という花は咲かないのだろうか(咲くのだったら摘み取って共に行くのに)。防人というのは、2月に出立しますが、まだ貝母は咲いていません。21歳から60歳までの健康な男子が徴兵されました。任期は三年で、延長もされたそうです。食料・武器は自弁で帰郷は一人で帰るため、途中で野垂れ死ぬ者も少なくなかったとか。人民には重い負担になったようです。

 群生地の真ん中にあるクマノミズキが樹液を出しています。これからもっと出ます。やがて発酵して酸味を帯びてきます。無毒なので舐められます。楓の樹液はメープルシロップ。これでパンを焼いたりビールを作っている人もいます。

 日向ぼっこする越冬したヒオドシチョウ。ルリタテハも舞っています。テングチョウやゼフィルスも散見します。

 某所でコゴミも出始めました。一株から全部採ると絶えます。一株からは2、3本。天ぷらや茹でてマヨネーズで。旬のホタルイカとパスタも美味。クセがないので和洋中華エスニックに応用できます。

 こちらも山菜のヨモギ(蓬)。ヨモギ団子やヨモギ大福、ヨモギ餅、ヨモギ天が人気ですが、実は制癌作用がある薬草でもあるのです。

 高速のトンネルの先の斜面にヤマブキ(山吹)が咲きました。これも早いです。

「七重八重花は咲けども山吹の実の(蓑)ひとつだになきぞ哀しき」兼明親王(後拾遺和歌集) 実のと雨具の箕をかけているんですね。太田道灌の逸話で知られる花。 古今亭志ん生『道灌』は一聴の価値あり。花を乾燥させて煎じたものは、慢性のせきに効くそうです。右上の花にワカバグモ(若葉蜘蛛)がいますね。カニグモ科の蜘蛛の網を張らないきれいな色のクモです。以前どこから入ったかパソコンディスプレイの前に現れて外へ逃してあげたことがあります。

 例年なら咲き出す杏は散ってしまいました。ソメイヨシノが満開です。ヤマザクラはこれから。里では桃の花が咲き始めました。赤紫はホトケノザです。レンギョウやユキヤナギも満開です。4月下旬には、向こうに霞んでいる中尾山や茶臼山の林檎畑のリンゴの花も咲き出します。信州の春は短く、次々と花が咲き乱れ、あっという間に初夏を迎えます。

 翌日の6日は朝から暖かく南風が吹いて雲は多めでしたが日も差しました。最高気温は23度。陣場平下の入口のズミも一気に開花しました。

 林道のあちこちにはミヤマセセリがたくさん舞っています。
 ミヤマセセリ(深山せせり)はセセリチョウ科セセリチョウ亜科ミヤマセセリ属。セセリという字は難しいのですが、手偏に弄という字で、つつくとか穿(ほじ)るという意味です。セセリチョウの中で最も早く春に出現するチョウ。早春に産卵し、初夏には蛹になり越冬する年1化の蝶です。食草はコナラ。 コナラの芽ぶきに合わせて繁殖行動をします。

 もしやと思い堂平大塚古墳へ下ると、古墳脇の花桃が満開になっていました。

 花桃のアップ。セイヨウミツバチやハナアブが吸蜜に訪れていました。

 ログハウス横の枝垂れ桜も満開になっていました。昨年より10日ぐらい早いでしょうか。貝母はほぼ満開で、見頃は20日頃までかと思いますが、23日の日曜ぐらいまではなんとか楽しめると思います。

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