江戸時代の軍記物語に書かれた茶臼山へ。きのこ狩りを兼ねたハイキングに出かけました。暖かい日が続いているため紅葉の色付きはもうひとつですが、所々に鮮やかなモミジがあって目を楽しませてくれます。今回は、登山道は横切るくらいでほとんど歩かず、山の中を縦横無尽に歩き回りました。
いつも登っている妻女山山系は、尾根がはっきりしていて斜面は急です。ところが、西山と呼ばれる茶臼山山系は、なだらかな山塊が褶曲しているような地形で、尾根が細かく分かれたり、尾根の中に小さな窪地があったりと変化に富んでいます。茶臼山から中尾山(山頂はない)にかけての尾根は高低差があまりなく、登山道を辿れば散歩気分で歩けます。しかし、それではきのこ狩りになりません。登山道から見えるようなところには、きのこはありません。そこで森の中に入っていくわけですが、複雑な地形のため方向を見失いやすいのです。
茶臼山でのきのこ狩りは初めてなので、やみくもに歩いても見つかるわけがありません。こういう時は、目当てのきのこの生態を考え、ピンポイントでアタリをつけて探します。きのこによって好む環境が異なるからです。その辺が腕の見せ所です。
途中、小さな男の子と女の子を連れた家族が4人できのこ狩りをしていました。私が通りかかったところで、きのこありましたかと声を掛けると、女の子が「きのこいっぱい見つけたところ」とばらしてしまいました。あららシロがばれてしまいました。お父さんが採ったばかりの両手いっぱいの紫占地を見せてくれました。「たくさん採ってね」といって私はその場を後にしました。
息子達が小さな頃、紫占地の菌輪を見つけて大喜びで採り始めたのはいいけれど、小さな足で大事なきのこをいくつも踏みつけてしまったのを思い出しました。小さな頃からこういう里山に馴染んでいるのはとてもいいことです。藪もものともせずに歩けるようになるし、自然は実にたくさんのことを親以上に教えてくれますから。ただ最低限の注意事項は必ず言い聞かせておくことですね。また、藪山の場合は、ゴーグルかメガネをつけさせること。枝で目を突くのを防止するためです。
茶臼山は、カエデなどの小低木が藪を作り歩きにくく、モミジイチゴがたくさんあってうかつに歩くと痛い目に遭うのが難点です。そのため、きのこ狩りでも藪の中に入るのをためらう人が多いのでしょう。複雑な地形で迷いやすいのも難点ですし、そのためポイントが分散してしまっているのも初心者には難しいかもしれません。熊はいないと思いますが、家族連れはつけていましたし、地元の青池から来たというおじさんは、熊が出たことがあるよと言ってましたから、まったくいないというわけでもないようです。
北アルプス展望所でお昼を食べました。雲はなかったのですが北アルプスは霞んでいました。暖かくてハエが何十匹ととりついて参りました。4時間ほどで紫占地、剥茸、平茸、栗茸がそこそこ採れました。土質のせいかきのこが少ない山だなという印象でした。そこでいつものことですが、老菌は生えて欲しい生えるだろう場所に移植してきました。こういう小さな積み重ねでシロは増えていくんです。
★きのこ料理は、MORI MORI RECIPE(モリモリ レシピ)をご覧ください。色々あります。
★茶臼山のハイキングは、フォトドキュメントの手法で綴るトレッキング・フォトレポート【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】にアップします。春の茶臼山トレッキングルポもこちらです。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。トレッキング・フォトルポにない写真もたくさんアップしました。