世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

魔王

2012-03-21 07:04:03 | 詩集・貝の琴

今更 どの面を下げて
家に 帰れようか

今更 どうして 言えようか
全ては 嘘だったと

背負わなければならない
あまりにも 重い荷と
目の前に続く 果てしない道の
溶けあった 巨大な 林檎の
薄みを帯びた 影が
おれの血に しのびこんでくる
ゆるゆると 骨が腐って くる

何かが 落ちてくる 音が
聞こえる
星に 頭を かち割られる
その日が 近いと
おれが おれに言う

今更 何を 言える のか
おれが おれに
すべて こんなことは 馬鹿だったと

ああ おぞましい 喜劇の
きりのない 繰り返しの
あまりにも 滑稽な 悲劇の
幕が 闇のように 落ちてくる

おしまいだ



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする