世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

詩島瑠璃の実践詩の書き方4

2014-10-05 06:46:53 | 月夜の考古学・本館
     ★

詩書きの練習⑭「詩の鑑賞」。今日は詩を鑑賞してみましょう。瑠璃の好きな詩を三つここに引用してみる。実に有名な詩です。知っている人も多いと思うけど、ここで改めて読んで、深く味わってみよう。

  初恋      島崎藤村

まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅(うすくれない)の秋の実に
人こひ初めしはじめなり

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃(さかづき)を
君が情けに酌みしかな

林檎畑の樹(こ)の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ

    ★

切ないね。かわいくて愛おしくて美しくて、すきです。瑠璃だいぶ影響受けている。次は金子みすずから

    ★

  犬          金子みすず

うちのダリアのさいた日に、
酒屋のクロは死にました。

おもてであそぶわたしらを、
いつでもおこるおばさんが、
おろおろないておりました。

その日、学校(がっこ)でそのことを、
おもしろそうに、話してて、

ふっとさみしくなりました。


    ★

この詩のすばらしいのは、一行目。
「うちのダリアのさいた日に」
これは誰にでも書ける詩ではないとこれでわかる。
詩人は、だれにも気づけないことに気付く。
一行目があることで、読んだ人が忘れられない詩になった。

    ★

  星めぐりの歌       宮澤賢治

あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の  つばさ
あをいめだまの 小いぬ、
ひかりのへびの とぐろ。

オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす、
アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち。

大ぐまのあしを きたに
五つのばした  ところ。
小熊のひたいの うへは
そらのめぐりの めあて。


    ★

賢治はただただ美しいね。この詩に意味があると何かを探すことは必要ない。
歌そのものが魔法になっている。
それわかる人天才です。瑠璃それわかるので、天才です。はは。

いろいろと詩を読んで鑑賞してみましょう。青空文庫なんか瑠璃もよく利用する。

    ★

   どこへゆく       詩島瑠璃

もくれんの 白い春の
はかなく はらはらとすぎてゆく
風の中を ひとりいて
時の手触りを抱きしめながら
どこへゆく 
閉じた目の中をさまよう
わたしの小さな白い小鳥よ

白いすみれの 白い春の
確かに 淋しさを耐えながら
宵の星の落とすかすかな火種を拾い
水晶のように悲しみを燃やす
どこへゆく
閉じた目の中でささやく
わたしの見知らぬ赤い花よ

   ★

今即興で書いた。瑠璃天才だね。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 詩島瑠璃の実践詩の書き方3 | トップ | 詩島瑠璃の実践詩の書き方5 »
最新の画像もっと見る

月夜の考古学・本館」カテゴリの最新記事