シャルル・アントワーヌ・コワペル
夫アモールと幸せに暮らしていたプシュケはある日家族が恋しくなり、夫を説き伏せて姉を家に呼びよせ、自分の幸福ぶりを二人の姉に見せつける。嫉妬した姉たちはプシュケに、姿の見せない夫の正体は大へびだと嘘を吹き込み、それを信じたプシュケは夫を疑い、眠っている夫の正体を見ようと蝋燭をもって近づいた。するとそこには麗しい神の姿があった。妻の裏切りに起こったアモールは、プシュケを捨てて飛び去っていく。
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女性が男に捨てられるなどということは、厳しくてつらいことかもしれません。たいていは夫に非があるものと思いたいが、女性が悪い場合も多々あるのです。プシュケも幸福を姉に見せつけたいなどというみっともないことを考えなければ、夫に捨てられることもなかったでしょう。愛に捨てられた魂ほどつらいものはない。だがプシュケは、過ちながらも懸命に夫を追いかけ、様々な試練を通して学び、愛を取り戻すのです。