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ニコラ・レニエ
人間に火を与えたプロメテウスに対するゼウスの怒りはおさまらなかった。それゆえにゼウスは人間を苦しめることにした。そこでヘパイストスに女を作らせて、それに息を吹き込み、パンドラと名をつけて、プロメテウスの弟エピメテウスの所に連れていった。エピメテウスは美しいパンドラに一目で夢中になり、すぐに結婚した。ところでエピメテウスの家にはプロメテウスが残した一つの箱があった。それは決して開けてはならないと言われていた箱だったが、パンドラは好奇心を抑えることができずにそれを開けてしまった。するととたんに、箱の中から病気や、ぬすみや、嫉妬、憎しみなど、人間を苦しめるありとあらゆるものが飛び出した。
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あさはかな女性の考えが、社会に不幸をもたらすことはよくあります。勉強をしない女性というのは、男に甘えて嫌なことをしようとすることがある。それが社会に多大な迷惑をかけることはあるのです。しかしこの神話はこの世界の不幸をすべて女のせいにしようとした男のたくらみが隠れている。男はこれを利用して、女を馬鹿にして支配しようとするのです。そこは外してはいけません。イヴの神話にもあるように、本当は、先に悪いことをして、世界に悪の種をまいたのは男の方なのです。女は、そのまねをしたのです。
神話というものには、時に、決して語らない物語の中に、大事なことがあるのです。